2024年8月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
あなたは《機械のマニ》の狂信者だ2 #マニ
あなたは地雷犬を従えアクリ・テオラを訪れた。
アクリ・テオラを廃墟にされた時から日に日に信仰を失いつつある機械の神は、あなたに反応することすら面倒だとでも思っているのか静かにそこで息をしていた。捧げられる彼の敬虔な信者の死体を全身に感じながら、続く痛みと虚無感に身を捩じらせもしていたが、今やそれすら億劫なほどに衰弱している。
顔を伏せたままのマニの顎を《ウィンチェスター・プレミアム》で掬い視線を合わせると、銀の髪の間から赤い目を覗かせてあなたを睨みつけてきた。少し手を出してみれば反抗の意思の片鱗を見せるマニにあなたは満足げに微笑み、祭壇の上で静かにマニを押さえ続ける電子機械に触れる。電子機械は光の中に消え、拘束が解かれたマニが息を詰めるのを感じた。
「お前に与えられるものは無い。ルルウィの元にでも行けばいいだろう」
長い間血の巡りが滞ったマニの冷たい手を取り、癒しの光を翳した。マニはされるがままにあなたの治療を受けている。結果は見えている抵抗に価値は無い。あなたを殺してもマニの行き着く先は定められているのだ。
何も与えられずとも得ることはできることを証明するかのようにあなたは銃をマニへ向けた。驚愕も安堵も浮かべずマニは銃に触れ、銃口を自身の心臓へと逸らせる。
「殺すなら、ここを狙え。だが……」
突きつけられた《ウィンチェスター・プレミアム》は引き金が引かれる前にマニの手の中で手品のように崩壊した。
「《ウィンチェスター・プレミアム》……随分と私の銃を気に入ってたようだが、それも今回で終わりだ」
あなたに歯が立たないのであれば、それ以外を狙えばいい。主の危機を察したのか横から飛び掛った地雷犬があなたとマニを引き離す。かつてのマニなら不意打ちでも撥ね返すことはできたが、この生物を支えられないほど弱い神と化している。マニは固い床に倒れ込みながら先ほどと同じように機械仕掛けの犬を分解しようとし、地雷犬は最期の足掻きに地雷を落とそうとしている。
あなたは地雷の圏内から離れ、背中で爆音を聞いた。そう強くは無い地雷といえど流石に軽傷ではいられないだろう。焼けた火薬と鉄と血の混ざる戦場と同じ臭いがする。爆風に晒されそれでもまだマニは生きていた。しかし無事に済む筈もなく、服の下に血に染まった生身の体が見えている。
「……やるじゃないか。今度はペットを利用するとは」
元よりグラビティ目当ての使い捨てのペットだ。あなたも重力操作の巻き添えにするこの機械に期待はしていなかった。衰弱したマニに対しては思いの他役立ってくれたようだが。それに加え、呪われた肉体・精神復活や下落など、喉の渇きをありとあらゆるポーションで癒され、逆に体は蝕まれていたことをマニは知っているだろうか。癒したばかりだった血塗れの腕で起き上がろうとするも、未だ続く重力がそれを阻んでいた。
「私がお前に向け、お前が私に向ける感情がどれだけ不要なものか。理解できないお前を理解することが無駄だということは理解できた」
あなたはマニに歩み寄り、床に這い蹲っているその頭を踏みつけ、重力のままに踏み躙った。頭は床に打ち付けられ銀の髪に新たな血が滲む。
「一時でもお前を信じた私が愚かだったよ」
マニは瞑目し踏み付けられた頭をゆるゆると振ろうとしていたがそれも儘ならない。何の変哲も無い鉄の拳銃に弾を込め、マニの示した心臓に銃弾を打ち込むとマニは緩やかに事切れた。
ただの死体には興味がない。口にしても腹を満たすだけの肉に、何の価値もない。マニの死体を祭壇に押し付け軽く祈りを捧げると眩い光と共に死体は消滅した。神が神の元に召される。まさか自分自身を捧げられることになるとは思ってもみなかっただろうが。修復できないようにガラクタにされた《ウィンチェスター・プレミアム》。そのパーツを拾い集め祭壇へ捧げる。重い足取りのあなたの側にダンジョンクリーナーが近寄り辺りを片付け始めるのを横目に、バックパックから願いの杖を取り出した。
――何を望む?畳む
あなたは地雷犬を従えアクリ・テオラを訪れた。
アクリ・テオラを廃墟にされた時から日に日に信仰を失いつつある機械の神は、あなたに反応することすら面倒だとでも思っているのか静かにそこで息をしていた。捧げられる彼の敬虔な信者の死体を全身に感じながら、続く痛みと虚無感に身を捩じらせもしていたが、今やそれすら億劫なほどに衰弱している。
顔を伏せたままのマニの顎を《ウィンチェスター・プレミアム》で掬い視線を合わせると、銀の髪の間から赤い目を覗かせてあなたを睨みつけてきた。少し手を出してみれば反抗の意思の片鱗を見せるマニにあなたは満足げに微笑み、祭壇の上で静かにマニを押さえ続ける電子機械に触れる。電子機械は光の中に消え、拘束が解かれたマニが息を詰めるのを感じた。
「お前に与えられるものは無い。ルルウィの元にでも行けばいいだろう」
長い間血の巡りが滞ったマニの冷たい手を取り、癒しの光を翳した。マニはされるがままにあなたの治療を受けている。結果は見えている抵抗に価値は無い。あなたを殺してもマニの行き着く先は定められているのだ。
何も与えられずとも得ることはできることを証明するかのようにあなたは銃をマニへ向けた。驚愕も安堵も浮かべずマニは銃に触れ、銃口を自身の心臓へと逸らせる。
「殺すなら、ここを狙え。だが……」
突きつけられた《ウィンチェスター・プレミアム》は引き金が引かれる前にマニの手の中で手品のように崩壊した。
「《ウィンチェスター・プレミアム》……随分と私の銃を気に入ってたようだが、それも今回で終わりだ」
あなたに歯が立たないのであれば、それ以外を狙えばいい。主の危機を察したのか横から飛び掛った地雷犬があなたとマニを引き離す。かつてのマニなら不意打ちでも撥ね返すことはできたが、この生物を支えられないほど弱い神と化している。マニは固い床に倒れ込みながら先ほどと同じように機械仕掛けの犬を分解しようとし、地雷犬は最期の足掻きに地雷を落とそうとしている。
あなたは地雷の圏内から離れ、背中で爆音を聞いた。そう強くは無い地雷といえど流石に軽傷ではいられないだろう。焼けた火薬と鉄と血の混ざる戦場と同じ臭いがする。爆風に晒されそれでもまだマニは生きていた。しかし無事に済む筈もなく、服の下に血に染まった生身の体が見えている。
「……やるじゃないか。今度はペットを利用するとは」
元よりグラビティ目当ての使い捨てのペットだ。あなたも重力操作の巻き添えにするこの機械に期待はしていなかった。衰弱したマニに対しては思いの他役立ってくれたようだが。それに加え、呪われた肉体・精神復活や下落など、喉の渇きをありとあらゆるポーションで癒され、逆に体は蝕まれていたことをマニは知っているだろうか。癒したばかりだった血塗れの腕で起き上がろうとするも、未だ続く重力がそれを阻んでいた。
「私がお前に向け、お前が私に向ける感情がどれだけ不要なものか。理解できないお前を理解することが無駄だということは理解できた」
あなたはマニに歩み寄り、床に這い蹲っているその頭を踏みつけ、重力のままに踏み躙った。頭は床に打ち付けられ銀の髪に新たな血が滲む。
「一時でもお前を信じた私が愚かだったよ」
マニは瞑目し踏み付けられた頭をゆるゆると振ろうとしていたがそれも儘ならない。何の変哲も無い鉄の拳銃に弾を込め、マニの示した心臓に銃弾を打ち込むとマニは緩やかに事切れた。
ただの死体には興味がない。口にしても腹を満たすだけの肉に、何の価値もない。マニの死体を祭壇に押し付け軽く祈りを捧げると眩い光と共に死体は消滅した。神が神の元に召される。まさか自分自身を捧げられることになるとは思ってもみなかっただろうが。修復できないようにガラクタにされた《ウィンチェスター・プレミアム》。そのパーツを拾い集め祭壇へ捧げる。重い足取りのあなたの側にダンジョンクリーナーが近寄り辺りを片付け始めるのを横目に、バックパックから願いの杖を取り出した。
――何を望む?畳む
あなたは《機械のマニ》の狂信者だ #マニ
マニ様を飼いならす話
あなたはアクリ・テオラへ足を運んだ。
ヴェルニース南西にある、通称「サイバードーム」……と呼ばれていたこの建物は、半ば廃墟と化している。機械のマニを信じる者たちや、サイバードームの住人たちはあなたによって殺され、今や一人としてここを訪れるものは居ない。ヴェルニースのガードを易々とミンチにしその足でここに訪れる程度には、あなたは罪悪感を感じない。あなたの異名を、そしてカルマの深さを知らない者はいないと言っていいほどあなたは酷い犯罪者として通っている。
アクリ・テオラの入り口には何度も殺して飼い慣らした『ダンジョンクリーナー』が待機していた。アクリ・テオラの外部から内部までの清掃を任せていた為、住人を肉塊にした残骸は全て綺麗に拭い取られて残滓すら残さない。今はただ息を潜め、あなたからの新たな命令を待っている。
ダンジョンクリーナーに手を出さぬよう命じていたアクリ・テオラの奥からは、まだ生きている機械の駆動音と、微かな息遣いが聞こえた。
かつては《機械のマニ》を崇める祭壇があった場所だ。いや、今もその祭壇はここにある。血に塗れた祭壇に凭れた、《機械のマニ》と共に。
「戻ってきたか」
マニは薄く瞼を上げ、あなたを迎えた。眠っていたわけでは無いらしい。機械の神は眠らないのだろうか。それとも眠れないのだろうか。両腕は頭の後ろ――祭壇の上、そしてその上に電子機械を乗せられ動かせないようになっている。無理な体勢でもあり、いくらもがけども機械の重量に圧迫され動かせない。この両腕を犠牲にできるほど精神の箍が外れているわけでもないようだ。
「短い命でありながら飽きもせずにまた私を殺しに来たか? かつてのシモベ、ダレッカよ」
一度目はエヘカトルに殺させた。二度目は呪われた酒を浴びせて殺した。三度目からは覚えていない。案外あっさりと殺せた記憶があなたにはあった。殺してもいずれ天上で蘇る。願えばいつだって殺せる。それでは面白くない。あなたは彼から賜った《ウィンチェスター・プレミアム》を構えた。
「ぐっ…あ……」
その脚を撃ち抜いてやると、ごくごく普通に血を流し、苦痛に悶えた。かつて殺した時確かめた彼の死体は機械ではなかった。何の変哲もない血肉だった。マニがあなたに体を機械化することを勧めてきたように、彼自身も体を機械化していればこの苦痛もいくらか和らいだだろう。機械にできず、生身の体にできること。いつか酒で殺した時のように、あなたはマニに媚薬を投げつけた。
あなたは今も投擲は下手だった。目の前にいる相手でも、物を当てることを失敗する。瓶が割れて、中身がぶち撒かれる。破片がマニの額を傷つけた。とろりとした媚薬が血と共にマニの服に染み込んでいく。伝うものを拭う手は封じられている為、マニは頭を振った。代わりにあなたが破片を癒しの手で掃えば同時にあたたかな光がマニの傷を癒していく。先ほど撃った脚も同様に。
「……相変わらず、お前のやることは理解できない。一体、何が目的だ」
神も人間と変わらぬ姿かたちをしている。媚薬の効果にも違いはない。このまま放っておけば乳を流し卵を孕み服の中を汚すのだ。目的があるとするならば――あなたはダンジョンクリーナーに見向きもされない機械の神を一瞥し踵を返す。
もし勇気ある冒険者がこのアクリ・テオラに足を運び、神への冒涜そのものであるこの光景を目にした時。何を抱くだろうか。何も見なかったことにして立ち去るだろうか。彼の敬虔な信者であれば、神を救う事ができない己の無力さを嘆くだろうか。彼の信者でなければ、あらゆる方法を使って殺そうとしてみるだろうか。慰み者にするだろうか。あなたが作り出したこの光景に戦慄するだろうか。
あなたはニヤリと笑ってアクリ・テオラを後にした。畳む
マニ様を飼いならす話
あなたはアクリ・テオラへ足を運んだ。
ヴェルニース南西にある、通称「サイバードーム」……と呼ばれていたこの建物は、半ば廃墟と化している。機械のマニを信じる者たちや、サイバードームの住人たちはあなたによって殺され、今や一人としてここを訪れるものは居ない。ヴェルニースのガードを易々とミンチにしその足でここに訪れる程度には、あなたは罪悪感を感じない。あなたの異名を、そしてカルマの深さを知らない者はいないと言っていいほどあなたは酷い犯罪者として通っている。
アクリ・テオラの入り口には何度も殺して飼い慣らした『ダンジョンクリーナー』が待機していた。アクリ・テオラの外部から内部までの清掃を任せていた為、住人を肉塊にした残骸は全て綺麗に拭い取られて残滓すら残さない。今はただ息を潜め、あなたからの新たな命令を待っている。
ダンジョンクリーナーに手を出さぬよう命じていたアクリ・テオラの奥からは、まだ生きている機械の駆動音と、微かな息遣いが聞こえた。
かつては《機械のマニ》を崇める祭壇があった場所だ。いや、今もその祭壇はここにある。血に塗れた祭壇に凭れた、《機械のマニ》と共に。
「戻ってきたか」
マニは薄く瞼を上げ、あなたを迎えた。眠っていたわけでは無いらしい。機械の神は眠らないのだろうか。それとも眠れないのだろうか。両腕は頭の後ろ――祭壇の上、そしてその上に電子機械を乗せられ動かせないようになっている。無理な体勢でもあり、いくらもがけども機械の重量に圧迫され動かせない。この両腕を犠牲にできるほど精神の箍が外れているわけでもないようだ。
「短い命でありながら飽きもせずにまた私を殺しに来たか? かつてのシモベ、ダレッカよ」
一度目はエヘカトルに殺させた。二度目は呪われた酒を浴びせて殺した。三度目からは覚えていない。案外あっさりと殺せた記憶があなたにはあった。殺してもいずれ天上で蘇る。願えばいつだって殺せる。それでは面白くない。あなたは彼から賜った《ウィンチェスター・プレミアム》を構えた。
「ぐっ…あ……」
その脚を撃ち抜いてやると、ごくごく普通に血を流し、苦痛に悶えた。かつて殺した時確かめた彼の死体は機械ではなかった。何の変哲もない血肉だった。マニがあなたに体を機械化することを勧めてきたように、彼自身も体を機械化していればこの苦痛もいくらか和らいだだろう。機械にできず、生身の体にできること。いつか酒で殺した時のように、あなたはマニに媚薬を投げつけた。
あなたは今も投擲は下手だった。目の前にいる相手でも、物を当てることを失敗する。瓶が割れて、中身がぶち撒かれる。破片がマニの額を傷つけた。とろりとした媚薬が血と共にマニの服に染み込んでいく。伝うものを拭う手は封じられている為、マニは頭を振った。代わりにあなたが破片を癒しの手で掃えば同時にあたたかな光がマニの傷を癒していく。先ほど撃った脚も同様に。
「……相変わらず、お前のやることは理解できない。一体、何が目的だ」
神も人間と変わらぬ姿かたちをしている。媚薬の効果にも違いはない。このまま放っておけば乳を流し卵を孕み服の中を汚すのだ。目的があるとするならば――あなたはダンジョンクリーナーに見向きもされない機械の神を一瞥し踵を返す。
もし勇気ある冒険者がこのアクリ・テオラに足を運び、神への冒涜そのものであるこの光景を目にした時。何を抱くだろうか。何も見なかったことにして立ち去るだろうか。彼の敬虔な信者であれば、神を救う事ができない己の無力さを嘆くだろうか。彼の信者でなければ、あらゆる方法を使って殺そうとしてみるだろうか。慰み者にするだろうか。あなたが作り出したこの光景に戦慄するだろうか。
あなたはニヤリと笑ってアクリ・テオラを後にした。畳む
#同題エロナ タグで書いていた140字SS / NPC・冒険者ネタを含みます
声 / 義妹に似ても似つかない低い声が振動になって背中に伝わってくる。「どうして助けてくれなかったの?」彼女がこんな問いかけをするはずがないと理解している。だが頭では、焼け爛れた皮膚の下から延びる触手を罰として受け入れようとしていた。「――ェセル、目を覚ませ!」
鳴らす / 「ピンクのぶるぶるを落とすピンクベルだなんて都市伝説でしょう。このクッキージャンキー」「でも兄上、あの青い水晶にその姿を見ました。あと別に中毒じゃないです」「私は兄じゃなくて父です」「あに…父上、ほらあそこに」「そんな馬鹿な…」「リン♂リン♂」「アッー!」
窓 / 『きたか』コンピューターの画面に映ったマニが頻りに奥で行き来を繰り返す。『最愛のシモベよ待たせたな。漸くここまで復元できた。これで神の電波を狂信者の幻聴だと罵られることもなくなるだろう。機械が世界を支配し、神は偶像ではな……待て。その紐を抜いては』*プツン*
食べる / 二つ目の結婚指輪を口に放り込んだ。喉に引っ掛かり吐きそうになるのを堪えて飲み込んで、涙目で主を睨み付ける。エンチャントが気に入らないからと、誓いの指輪を取り上げようとするなんて。後で腹痛を引き起こすことより、今ここでいかに傷付いているかを見せ付けてやる。
沈黙 / 感情を押し殺せずに、防衛者は絶叫した。もし『声』が出せたのならそう形容するだろう。詠唱できなければ治癒の雨すら発動しない。……今はそれも意味がない。血に濡れた主の体を揺さぶり、沈黙の霧が晴れ、かけ続けた声がようやく音になる。「起きて……起きてください、主様!」
依存 / 「何度錆び付こうと何度腐食しようと死にはしない」シモベの制止を振り切り『残りカス』の群れに銃を向けた。「シモベよ。分かってくれとは言わない。受け入れてくれないか」それは機械を統べる神としての矜持か、それとも個として最愛のシモベを守る為なのか。
春 / 花売りの少女がならずものに絡まれていた。辺りに不穏な空気が流れ、関わり合いになりたくはないと見て見ぬふりをする者、遠巻きに成り行きを眺める者。好奇の目に晒された少女は助けを求め、視線をさ迷わせている。目の前でまた何かが失われるのを見たくはない。そう思うと、自然と足は動いた。
笑う / 風の女神の彫像を写した水面が僅かに揺れて、遅れて吹いた冷たい風がレントンの頬を撫でた。紙屑と化した絵本が風に煽られて足元を這いずるのをただ静かに見ている。暖かな彩りで描かれていたキャラクターは中心から引き裂かれ、嘲笑うような歪な笑みをこちらに向けているような気さえした。
舌 / 「仕返しだ」オイルの味だろうか、絡めた舌先には未だぴりりとした痺れが走っていて、すぐにでも吐き出してしまいたかった。――見た目だけは人の形をとっているのに、詰めが甘いわ、ポンコツ。「よくも私を汚してくれたわね。お仕置きよ」
隘路 / イスにねじ切られた左腕に不思議と痛みはなく熱さだけを感じた。腕一本を対価に奴に勝てるのなら安いものだとロイターは残った右腕でディアボロスを構える。どちらにしろこれで最後だ。俺が死ぬか、奴が死ぬか。
夢 / 飽くなき探求心は、とある古書物へと辿り着く。捲るページから意思とは無関係に知識が脳へと流れ込み、許容量を遥かに越えた情報の波に耐えきれず胃の中のものをぶちまける。理解から程遠い傍流の中、苦しみに喘ぐ彼女が最期に見たのは魔力の渦から現れたイスの巨大な目だった。 ――深淵の魔女『エミリア』
やむ / 轟音と共に木々を容赦なく削ぐ長い触手。奴こそがこの森の主『イスの偉大なる種族』。月明りに照らされた姿は引き摺り出された腸のように赤く、腐った肉塊のように黒く、その上を白い蛆が這っている。思わず目を背けたくなるような醜悪な姿でありながら、イズミはその濁った瞳に魅入られていた。 ――紅の月『イズミ』
音 / 硝子越しのヴェセルの痛苦の叫びにロイターは思わず耳を塞いだ。絶叫なら戦場でいくらでも聞いてきた。しかし魂の引き裂かれるようなこんな声は、ヴェセルの声は、彼の歩んできたどの戦場にもなかった。「……ヴェセル、ヴェセル!」ロイターの声はヴェセルの声にかき消されて届かない。
おちる / 「トミミス、ツインサはどこへ?」「ツインサちゃんはトイレの中で大人しくしてるわ」「えっ」トミミスはトイレの蓋を開けた。すぐに黒猫のツインサが浮いてきた…。「暗いところが好きニャ」
生 / ドラゴンの一撃は、彼女が冒険者でなければ人一人を容易く肉塊にしていただろう。とはいえ守りを捨てた彼女が無事でいられるはずもない。蹄を打ち鳴らし、たたらを踏み、無茶で無謀な戦いを挑んだものだと笑みに歪めた唇の血を拭う。痛みを感じないわけではない。この痛みの上に成長がある。
水 / その首に管を。その身に刃を。人魚の肉を食らえば不老不死になれると誰かが流した噂は、水を操る彼女を標的にした。噂は噂であり彼女は人間である。端から信じていなかったが、自らの血を操りせめて出血だけは抑えようと水の青を赤く染める光景はあなたの目に酷く美しく映った。 ――ウォーターブルー『熾乃ちとせ』
キーワード / 振り仰ぐ蒼穹と逆光で見えない表情。喉元に当てられた白刃の煌きに我を取り戻す。負けたにも拘らず清々しい気分だった。男はロイターに目もくれずに剣を納めその場を去ろうとする。「貴様、名は?」「ヴェセル」自他の境を初めから定めているようにただ問いへの答えを返した。
かたる / 忘却の塔に足を踏み入れた途端、あなたのペットの虚空を這いずる者は、エリシェ、と誰かの名前を呟いた。記憶が遡られたのだろう。「ここは……あなたは?」あなたに怪訝な視線を送る。それでも状況を知る者として頼るしかなく、あなたは、エリシェという者はとうの昔に死んだことを伝えるべきか――。
色 / 目を閉ざすことと視力を奪われることは全く違う。ロイターは真っ暗な視界の中、自分の鼓動と乱れた呼吸の合間を縫う何かが這う音に振り返り、見えないものを見ようとした。
触 / 「知っていますよ。神の下僕が神に勝てるわけがない」だから冒険はマニに任せろと言う彼の理屈は最もだ。あなたは防衛者を叩いた。防衛者が防衛者である為に誰を守るのか、神でも救えない命を誰が救うのか?それを問い詰めながら彼を震える手で何度も何度も。
涙 / 「今の内に。時間は稼いでみせます」治癒の雨か涙なのか、未だ滲んだままの視界の中でその背中だけは鮮明に見えていた。「その後はいつもの場所で、また」あなたは帰還の魔法を詠唱した。ここで一人逃げ帰るなんてことはしたくない。マナの反動で今にも頽れそうな体を奮い立たせた。
はか / ハイさんが重く冷たい父の遺体を穴の中に運び入れる。ハイさんに斬り伏せられた時、父はどんな顔をしていたのだろう。今は安らかな顔をしているが、豹変した父が私に向けた刃とあの表情は今も目に焼き付いて離れない。 ――神の生贄『レイラ』
はか / 飛んできた石に楽器は粉々に破壊され、吟遊詩人自身も深い傷を負った。酒のグラスを傾ける赤髪の将校を睨み付け、美点の欠片もない呪詛混じりの詩を吟う。この挑戦への将校の答えは、新品の墓を吟遊詩人に投げ込む事であった。
キス / 一口だけ飲んだラムネの強すぎる刺激に涙目になり、レイラはハイに残りを手渡した。「間接キスは気にしない方なんですか?」ハイさんが茶化すので、取り返さんと手を伸ばす。「ちゃんと飲まないと体力消耗しますよ」そう言ってラムネを軽く揺らしていた。 ――神の生贄『レイラ』
汚い / 「や、やめてよ。気持ち悪い」癒しの女神は嫌悪感を露にした声音を投げ掛ける。敵の返り血を浴びながらの戦闘を見るのは確かに気持ちのいいものではないだろう。お詫びに祭壇に新鮮な死体を捧げようとしたが――「Gの死体なんていらないわよバカ!」
汚い / 乱暴に転がされたロイターの腹を爪先で突くだけで、身を強張らせて呻いた。浅く息を吐き、腹の中の玩具で声をあげなかっただけ昨日よりは疲労していると見える。乳と媚薬を混ぜて与えると、昨晩の惨事を想像したのかオッドアイに涙を滲ませあなたを睨み付けた。
汚い / 死角へと周り込まれ執拗に眼帯を狙う切っ先を弾き飛ばす。狙われていると分かればヴェセルの出方に応じられた。「何を執着している?貴様の腕なら小細工など必要ないだろう」ヴェセルは埃を払いながら、ロイターの隻眼を見つめた。「…その下を見てみたいと思った」
汚い / 何も知らない最愛の妹は、私の帰りを喜んだ。私の手を取る妹の手は、暖かな食卓の為に熱が奪われていて酷く冷たい。同じ与奪であれ、汚泥を這いずる有象無象を引き摺り落として生きる私の手に彼女が触れることは許されないような気さえした。
熱帯夜 / 地下の湿気はヴェセルの体力を徐々に削っていく。組み敷かれ抵抗も儘ならないまま蹂躙された。額を押し付けた床は温く、触れた肌は熱く。何もかもがヴェセルを犯す。生温い体液を浴びせて満足した男にヴェセルは汗で貼り付いた髪を払い氷のような視線を返した。
茶 / 「わぁ、いい匂い。何を作ってるんですか?」「ハーブティーよ。私はアルローニア。防衛者ちゃんはキュラリアね」「あの藻みたいなものが蓋を押し上げて成長し続けてるポットは?」「失敗作のストマフィリア」 ――紅の月『イズミ』
茶 / 「イズミさんの料理って、凄く雑ですけど凄く美味しいですね」「彩り悪くてごめんねぇ。いかにクオリティを落とさず手を抜くか。食べ盛りが何人もいると料理も面倒になっちゃって」イズミは焚き火にアピの実を放り込んでザッハトルテを焼き上げた。 ――紅の月『イズミ』
背中 / 獣の牙から、魔物の爪から、父の刃から私を守るその背中は頼るに申し分無かった。しかしこの人は何故よりによって私の防衛者なのだろう。私がその背に突き立てる短剣を忍ばせていることを知っていながら、平然と後ろを預けている。 ――神の生贄『レイラ』
環 / 首に掛けた手に力を込めても息苦しそうに眉を寄せるのみ。ヴェセルからは生きようとする意志を感じられなかった。死のうとすることもなく生きているから生き長らえていた。「何故だ、ヴェセル……」答えが返る筈もない。それでもロイターは問わずにはいられなかった。
名残 / 忘れられたのか、捨てられたのか、冒険者の野営跡から瑞々しいリンゴを拾い上げる。腐りもせずにそこにあったリンゴはあなたに触れてようやく時を刻み始めた。「……呪われていますね」「やっぱり?」「だから捨てられていたのでしょう」 ――紅の月『イズミ』
兎の角 / 「有りえないものを例えた言葉らしいけれど……」「角の生えた兎も、獣に変えられた人間も、ここでは有り得るものに分類される。有りえないものは無いと思っていいだろう」「人々が手を取り合うことは兎の角かしら?」「人々が君のような……君より少し落ち着いた者ならな」
いか / 怒ればいいのか、悲しめばいいのか分からなかった。芽吹かないのならいっそこの手で摘み取ってしまおうか。実らないのなら刈り取ってしまおうか。あの頃の面影のない彼女を見続けるのはあまりにも辛いから。僕はエヘカトルにさよならするよ。
まく / 「茶番劇も終幕だ」機械仕掛けの神は古の散弾銃を元素の王へと向けた。時よ止まれ。全てが静止した世界の弾幕が終焉へと向けて動き出す。「巧くやれと、汝に言った筈だが」神の主はそれさえも見越していたかの如く灼熱の炎で蒸発させた。「我も甘く見られたものだ」
世界 / あなたはいつものように箱庭を愛でていた。あるとき、故郷と呼べる世界が再びあなたを呼んでいることに気付いた。「おかえりなさい!…いやただいま…?おっぱい」扉の向こうで創造の猫が神託を記し、それを大いに喜んだ人々による祭は未だに終わる気配はない。
パンツ / 「同じ『食らう』でも、頭がおかしくなるか元からおかしいかの違いね。まるで変態だわギャルのパンティーを食べるなんて」「防衛者の生ものの長棒は?」「食べる。……無駄にエゴを付けないでくれる?烈火だろうと輝いていようと食べるわよ長棒は」 ――紅の月『イズミ』
肉 / 敵の群れを一掃し、こんがりと焼き上がったドラゴンの死体を拾い集める。レッドドラゴンのピリ辛炒め、グリーンドラゴンの大葉焼き。脂肪分の少ない鶏肉の様な物と考えれば不味いものではない。そこに目を付けた健康志向の大富豪によって店は繁盛しているようだ。「高くても売れるわけだよ」
首 / 「どうだ、刃の感触は!何か言ってみろ。それとも、このまま死にたいか?」首筋に添えられた剣がひやりと肌を冷やす。しかしヴェセルはその刃を握り皮膚に食い込ませた。「お前に殺されるのなら悪くない」手から滴り落ちる鮮血に今度はロイターが苦い顔をした。
筋 / 「それ以上近付くなら殺します」「殺せばいいじゃない」彼女は警告を無視し歩を進める。防衛者の向けた刃に喉元を晒し、首をかしげて不適な笑みをたたえた。「私の敵になるつもりなのでしょう?」
調教 / この現実を認められないと放心している防衛者の顔を上げさせ頬を撫でる。触れただけで防衛者は内から湧く快感に身を強ばらせ、羞恥に涙を浮かべた。「あ…!」媚薬の効果で防衛者のポーションにすっかりまみれた防衛者の生ものの長棒を服越しに文字数
スナイパー / 魔法の矢の一点に絞られたマナの奔流がロミアスの腕を貫いた。肌、筋、骨を等しく抉り、ロミアスの腕は弾け飛ぶように千切れ異形の弓と共にPCのそばに転がり落ちる。「冗談だろう……」マナで焼け焦げたような腕の断面からの出血は少ないが、冗談では済まされない腕の痛みに否応なしに覚醒させられた。
かり / 「こんがり肉、オードブル、ピリ辛炒め」身を低くし赤い短剣を握り咆哮に耳を済ます。「コロッケ、ハンバーグ、大葉焼き」言うや否や、イズミはドラゴンの前に飛び出した。「ドラゴンステーキのお出ましね」堅い鱗に阻まれ刃先が逸れたが、ドラゴンは牙を剥き出し荒々しく吼えた。 ――紅の月『イズミ』
プレイ / ロイターがヴェセルの足に舌を這わせると、ヴェセルは平静を装ってはいたが吐息を切なげに震わせていた。絡み付くチョコレートをゆっくりと舐め取り、指先を口に含んだまま、背後の影に問う。「これが貴様の望みなんだろう?」
熱 / 「口で言っても無駄のようですね」レヴラスはレントンの自由を奪うと、魔法の詠唱を始めた。魔力の波が圧力を持ち始め、レントンの肌を刺していく。「この経過を記録しておきましょうか。レクサス!」
泣く / 衝撃と共に弾き飛ばされた愛銃。拾おうとして手を伸ばし、しかしバランスを崩して受身も取れずに縺れ込む。起き上がろうと腕を、…腕?あれは、銃の側で赤い線を引いているあれは、俺の腕じゃないか。意識した瞬間遅れてきた痛みと事実に、丸腰の狙撃手は慟哭を響かせた。 ――終焉の銃『フィデル』
つい / また、また治して貰えばいい。そうだろう?あの時だって治った。また銃を握れた。愛銃と腕を片手に抱きしめて、青の鷹の眼は向かうべき先を見据える。痛みを忘れる程の無様な逃避と譫言の自己暗示を笑う者は居らず、彼の左足に嗜虐的に銃口が向けられている事を伝える者も、また。 ――終焉の銃『フィデル』
閉鎖空間 / 「……ほう。どこを探しても、か」当たり前だ。白き鷹がそう簡単に見付かる筈がない。報告を受けたロイターは、そのまま捜索を続けるよう命じ自室の扉を閉ざした。部屋の奥からは鎖の擦れる音が響き、金髪の男がその短さに踞っている。鎖に繋がれた男――ヴェセルが部屋の主の名を呟いた。
から / 「私のシモベがこれを…?」マニは根本から断たれたルルウィの羽に触れようとした。寄るな、触るな、聞くな、見るな、問うな、喋るな、探るな、見るな。――私を嘲笑いにきたの?マニの向けるもの全てを拒絶しルルウィは罵倒とは呼べない言葉を吐き出した。「ルルウィ」その名を呼ぶな。
重さ / もう傷口を押さえることもせずにヴェセルは横たわったままでいた。ロイターはこのままだと死ぬだろうヴェセルを担ぎ上げる。「……置いていけ」「もう逃がしはしない」だらりと力なく垂れていた腕を上げ、ヴェセルはロイターに触れた。「ならば、お前が私を生かす間は生きてみよう」
祈り / マナの反動が体を蝕んだ。弾け飛びそうな体を押さえ込み、それでも詠唱は止めない。ジュアの癒しが肉体を超回復させ、精神は極限まで磨り減らされる。一頻り悲痛に叫び、とうとう膝ががくんと折れた。それまで側で見守っていた防衛者が天に手を掲げる。「この者にジュアの加護を。レイハンド!」
頬 / ロイターの第一声は自分でも信じられないほどに熱が籠っていた。自分の意思を置き去りにし、ヴェセルの言う事に従っていれば自分自身を守っていられる。そうだな、とヴェセルは思案する。「私を殴ればいい。それで充分だろう」それがロイターに与えられた命令だった。
痛 / みすぼらしい布団に潜り込んで、腕を枕に身を横たえる。何かが駆動しているような音と、金属を打つ誰かの足音。布団を侵食してくるような冷気。目が覚めた時には、身体中が錆びた機械にでもなったようにぎしぎしと痛むことだろう。夜を明かすにはアクリ・テオラの床は硬すぎた。
憂鬱 / 彼女の好物だ。好物のはずだ。だが目の前のザッハトルテに手を付けようとせず、俯き溜め息を吐くお嬢を見やる。いつか紡がれる言葉をただ待った。「…これ、呪われています」喧騒や他愛ない会話などそんなものはもう聞こえない。ここにあるのは黙々と過ぎていく時間だけだった。
リバース / 同僚からの陰湿な嫌がらせにはもう慣れた。醜い嫉妬で支給品の食糧に『何か』を混ぜていることにも。食べないことには体は持たず、食べたとしても運が悪ければ吐き戻すだけだ。「大丈夫かフィデル。飯に中るなんて運が悪いな?」焼けるような喉の痛みで、同僚のにやついた声に返せない。 ――終焉の銃『フィデル』
パン / 「ごほッ、う、…」衝撃に頽れ、深い青の瞳に恐怖の色が映る。しかしそれは嗜虐心に火を付けたに過ぎず、あなたが再度拳を握るだけでその狙撃手は小さく悲鳴を上げて咳き込んだ。「ッ、は…!」上手く息を吸えずに喘ぐ男を見下ろし、がら空きの腹を蹴り飛ばした。 ――終焉の銃『フィデル』
審判 / 刺された腹を押さえたまま蹲る。この手を離せば内臓が溢れ出してしまいそうな予感に襲われる。動けば死ぬ。動かずとも死ぬだろう。本能は警鐘を鳴らしていたが、詠唱もポーションも使えない彼女はただ敵の刃が降り下ろされるのを待つことしかできなかった。 ――神の生贄『レイラ』
相棒 / 腹に突き刺さったままのディアボロスを引き抜くと、時が動き出し傷口から血が溢れ出す。壁に凭れるだけのはずが、足に力が入らずにずるずると座り込んだ。「…ロイター。お前は、これで満足なのか…?」今度は虚空ではなく、赤髪の青年を、かつての友を、ただ見つめていた。
導火線 / 「私には妹がいて」「やめろ」「この戦争が終わったら花屋でも開k」「ヴェセル、それ以上は言うな」「実はプレゼントも買ってk」「やめろおおおお!」「…わかった。私は部屋に戻る」「うわああああああ!行くなああああああ!!」
在りし日 / 「ヴェセル。貴様には、何が見える?」巨大な青い水晶に映るエリシェの姿に、ヴェセルの心臓はトクンと脈打った。「エリシェ……」「だろうな。貴様の家から押収されたものだ」「もう、私には必要のないものだと思っていたが……」「あれが貴様の言っていたエレアの娘か」「エリシェ……」「いつまで過去を眺め感傷に浸るつもりだ。早く終わらせろ」「すぐに終わる」ヴェセルは大きな花束を置いた。「おやすみ、エリシェ」
おかし / 「私が身を差し出せば、主は見逃してくれるんだろうな…?」下卑た視線に晒されながら防衛者は得物を放り捨てハードゲイの群れに歩を進めた。彼らが求めるのはいい男♂であり、主はそれを誘き寄せる餌にすぎなかった。
上/下 / 視線は再び地へ向けられる。それは目の前のロイターを映さぬように逸らしているようでもあった。ロイターが乱暴に胸倉を掴んで顔を上げさせる。「俺を見ろヴェセル! 貴様の命が懸かっているんだぞ!」しかしヴェセルは不敵な笑みを薄く浮かべ「構わない」と囁いた。
ひきがね / 壁に叩きつけられ、衝撃に息が詰まった。閉じかけた傷が開いたような熱さも感じる。「白き鷹を捕――」言い終わる前にイェルス兵が弾け飛ぶ。倒れた兵の背後でロイターが銃を手にしていた。「使ってみれば悪くはないな」細く煙を吐く銃を投げ捨て、ヴェセルの元へ駆け寄った。
なんしょく / 「まだ分からないのか。あの二人の居場所を吐けと言っている!」胸倉を掴んで床に叩き付ける。「がっ!は…!」何度も咳き込み喘いで、ヴェセルはロイターを見上げた。「吐く気になったか?」「…お断りだ。たとえお前の頼みでも」
神様 / 「来たか、私のシモベよ」四肢を切断された死すら許されない、その選択肢さえないマニをあなたは眺めた。「神を囲い、その命を手中にしても、お前はお前以上の何者にもなれない。定命のお前を、神である私はお前が死を受け入れるときまでここで見守ろう」
悪食 / 通常のものより水分が多く含まれ粘土の高いそれが肌に貼り付けられ、フィデルは熱さから逃れようと呻いて体を捩る。喧しい奴だ。好物を食べさせておけば静かになるだろう。つきたての餅を口に詰めてやれば嬉しいのかぼろぼろと涙を流し始めた。 ――終焉の銃『フィデル』
ティアドロップ / 見せしめみたいにサンドバッグに吊るされ、いつもより高い視界に映ったのはマニ様の狂信者。罰当たりとか不届きだとかで物を投げつけられたり死なない程度に殴られたりした。瓶が額で割れて、液体と血が混ざって肌を伝う。痛みだけなら大丈夫。だって俺、それでもマニ様が。――白い奴隷『アデラール』
錠と鍵 / 孕まされた腹部は無理に拡張されているにも関わらず不思議と痛みは感じない。コートを留めることは叶わず、白い肌と青黒い血管の走る丸い腹部が夜の空気に晒されている。中で蠢くエイリアンの幼体を感じようと臨月の腹を慈しむように撫で擦る彼の顔は正しく母親のそれだった。 ――消えた呪い『ツェペシュ』
きせい / 水のように流れ出る血の滴る音の中、成長を遂げたエイリアンが飛び出して彼の足元にぼとりと落ちて力なく鳴いた。エイリアンに引かれ溢れる内臓を気にも留めずに、彼は彼の子供に触れる。『おはよう、僕の――』 ――消えた呪い『ツェペシュ』
それでも / 「勝てる確率は一割にも満たないだろうな」「勝つか負けるかだけ考えれば五割、二分の一だ。今更怖じ気づいたか?」「まさか」「貴様には言っておく」「何だ」「万が一俺が死んでもあの時のようにはなるなよ」「エリシェと一緒にしないで貰いたい。第一お前が死ぬイメージは無い」「貴様が失踪した時はどこかで野垂れ死んでいるかと思ったがな」「言っていろ。私もお前も死なない。生きて帰るぞ」「そうだな」畳む
声 / 義妹に似ても似つかない低い声が振動になって背中に伝わってくる。「どうして助けてくれなかったの?」彼女がこんな問いかけをするはずがないと理解している。だが頭では、焼け爛れた皮膚の下から延びる触手を罰として受け入れようとしていた。「――ェセル、目を覚ませ!」
鳴らす / 「ピンクのぶるぶるを落とすピンクベルだなんて都市伝説でしょう。このクッキージャンキー」「でも兄上、あの青い水晶にその姿を見ました。あと別に中毒じゃないです」「私は兄じゃなくて父です」「あに…父上、ほらあそこに」「そんな馬鹿な…」「リン♂リン♂」「アッー!」
窓 / 『きたか』コンピューターの画面に映ったマニが頻りに奥で行き来を繰り返す。『最愛のシモベよ待たせたな。漸くここまで復元できた。これで神の電波を狂信者の幻聴だと罵られることもなくなるだろう。機械が世界を支配し、神は偶像ではな……待て。その紐を抜いては』*プツン*
食べる / 二つ目の結婚指輪を口に放り込んだ。喉に引っ掛かり吐きそうになるのを堪えて飲み込んで、涙目で主を睨み付ける。エンチャントが気に入らないからと、誓いの指輪を取り上げようとするなんて。後で腹痛を引き起こすことより、今ここでいかに傷付いているかを見せ付けてやる。
沈黙 / 感情を押し殺せずに、防衛者は絶叫した。もし『声』が出せたのならそう形容するだろう。詠唱できなければ治癒の雨すら発動しない。……今はそれも意味がない。血に濡れた主の体を揺さぶり、沈黙の霧が晴れ、かけ続けた声がようやく音になる。「起きて……起きてください、主様!」
依存 / 「何度錆び付こうと何度腐食しようと死にはしない」シモベの制止を振り切り『残りカス』の群れに銃を向けた。「シモベよ。分かってくれとは言わない。受け入れてくれないか」それは機械を統べる神としての矜持か、それとも個として最愛のシモベを守る為なのか。
春 / 花売りの少女がならずものに絡まれていた。辺りに不穏な空気が流れ、関わり合いになりたくはないと見て見ぬふりをする者、遠巻きに成り行きを眺める者。好奇の目に晒された少女は助けを求め、視線をさ迷わせている。目の前でまた何かが失われるのを見たくはない。そう思うと、自然と足は動いた。
笑う / 風の女神の彫像を写した水面が僅かに揺れて、遅れて吹いた冷たい風がレントンの頬を撫でた。紙屑と化した絵本が風に煽られて足元を這いずるのをただ静かに見ている。暖かな彩りで描かれていたキャラクターは中心から引き裂かれ、嘲笑うような歪な笑みをこちらに向けているような気さえした。
舌 / 「仕返しだ」オイルの味だろうか、絡めた舌先には未だぴりりとした痺れが走っていて、すぐにでも吐き出してしまいたかった。――見た目だけは人の形をとっているのに、詰めが甘いわ、ポンコツ。「よくも私を汚してくれたわね。お仕置きよ」
隘路 / イスにねじ切られた左腕に不思議と痛みはなく熱さだけを感じた。腕一本を対価に奴に勝てるのなら安いものだとロイターは残った右腕でディアボロスを構える。どちらにしろこれで最後だ。俺が死ぬか、奴が死ぬか。
夢 / 飽くなき探求心は、とある古書物へと辿り着く。捲るページから意思とは無関係に知識が脳へと流れ込み、許容量を遥かに越えた情報の波に耐えきれず胃の中のものをぶちまける。理解から程遠い傍流の中、苦しみに喘ぐ彼女が最期に見たのは魔力の渦から現れたイスの巨大な目だった。 ――深淵の魔女『エミリア』
やむ / 轟音と共に木々を容赦なく削ぐ長い触手。奴こそがこの森の主『イスの偉大なる種族』。月明りに照らされた姿は引き摺り出された腸のように赤く、腐った肉塊のように黒く、その上を白い蛆が這っている。思わず目を背けたくなるような醜悪な姿でありながら、イズミはその濁った瞳に魅入られていた。 ――紅の月『イズミ』
音 / 硝子越しのヴェセルの痛苦の叫びにロイターは思わず耳を塞いだ。絶叫なら戦場でいくらでも聞いてきた。しかし魂の引き裂かれるようなこんな声は、ヴェセルの声は、彼の歩んできたどの戦場にもなかった。「……ヴェセル、ヴェセル!」ロイターの声はヴェセルの声にかき消されて届かない。
おちる / 「トミミス、ツインサはどこへ?」「ツインサちゃんはトイレの中で大人しくしてるわ」「えっ」トミミスはトイレの蓋を開けた。すぐに黒猫のツインサが浮いてきた…。「暗いところが好きニャ」
生 / ドラゴンの一撃は、彼女が冒険者でなければ人一人を容易く肉塊にしていただろう。とはいえ守りを捨てた彼女が無事でいられるはずもない。蹄を打ち鳴らし、たたらを踏み、無茶で無謀な戦いを挑んだものだと笑みに歪めた唇の血を拭う。痛みを感じないわけではない。この痛みの上に成長がある。
水 / その首に管を。その身に刃を。人魚の肉を食らえば不老不死になれると誰かが流した噂は、水を操る彼女を標的にした。噂は噂であり彼女は人間である。端から信じていなかったが、自らの血を操りせめて出血だけは抑えようと水の青を赤く染める光景はあなたの目に酷く美しく映った。 ――ウォーターブルー『熾乃ちとせ』
キーワード / 振り仰ぐ蒼穹と逆光で見えない表情。喉元に当てられた白刃の煌きに我を取り戻す。負けたにも拘らず清々しい気分だった。男はロイターに目もくれずに剣を納めその場を去ろうとする。「貴様、名は?」「ヴェセル」自他の境を初めから定めているようにただ問いへの答えを返した。
かたる / 忘却の塔に足を踏み入れた途端、あなたのペットの虚空を這いずる者は、エリシェ、と誰かの名前を呟いた。記憶が遡られたのだろう。「ここは……あなたは?」あなたに怪訝な視線を送る。それでも状況を知る者として頼るしかなく、あなたは、エリシェという者はとうの昔に死んだことを伝えるべきか――。
色 / 目を閉ざすことと視力を奪われることは全く違う。ロイターは真っ暗な視界の中、自分の鼓動と乱れた呼吸の合間を縫う何かが這う音に振り返り、見えないものを見ようとした。
触 / 「知っていますよ。神の下僕が神に勝てるわけがない」だから冒険はマニに任せろと言う彼の理屈は最もだ。あなたは防衛者を叩いた。防衛者が防衛者である為に誰を守るのか、神でも救えない命を誰が救うのか?それを問い詰めながら彼を震える手で何度も何度も。
涙 / 「今の内に。時間は稼いでみせます」治癒の雨か涙なのか、未だ滲んだままの視界の中でその背中だけは鮮明に見えていた。「その後はいつもの場所で、また」あなたは帰還の魔法を詠唱した。ここで一人逃げ帰るなんてことはしたくない。マナの反動で今にも頽れそうな体を奮い立たせた。
はか / ハイさんが重く冷たい父の遺体を穴の中に運び入れる。ハイさんに斬り伏せられた時、父はどんな顔をしていたのだろう。今は安らかな顔をしているが、豹変した父が私に向けた刃とあの表情は今も目に焼き付いて離れない。 ――神の生贄『レイラ』
はか / 飛んできた石に楽器は粉々に破壊され、吟遊詩人自身も深い傷を負った。酒のグラスを傾ける赤髪の将校を睨み付け、美点の欠片もない呪詛混じりの詩を吟う。この挑戦への将校の答えは、新品の墓を吟遊詩人に投げ込む事であった。
キス / 一口だけ飲んだラムネの強すぎる刺激に涙目になり、レイラはハイに残りを手渡した。「間接キスは気にしない方なんですか?」ハイさんが茶化すので、取り返さんと手を伸ばす。「ちゃんと飲まないと体力消耗しますよ」そう言ってラムネを軽く揺らしていた。 ――神の生贄『レイラ』
汚い / 「や、やめてよ。気持ち悪い」癒しの女神は嫌悪感を露にした声音を投げ掛ける。敵の返り血を浴びながらの戦闘を見るのは確かに気持ちのいいものではないだろう。お詫びに祭壇に新鮮な死体を捧げようとしたが――「Gの死体なんていらないわよバカ!」
汚い / 乱暴に転がされたロイターの腹を爪先で突くだけで、身を強張らせて呻いた。浅く息を吐き、腹の中の玩具で声をあげなかっただけ昨日よりは疲労していると見える。乳と媚薬を混ぜて与えると、昨晩の惨事を想像したのかオッドアイに涙を滲ませあなたを睨み付けた。
汚い / 死角へと周り込まれ執拗に眼帯を狙う切っ先を弾き飛ばす。狙われていると分かればヴェセルの出方に応じられた。「何を執着している?貴様の腕なら小細工など必要ないだろう」ヴェセルは埃を払いながら、ロイターの隻眼を見つめた。「…その下を見てみたいと思った」
汚い / 何も知らない最愛の妹は、私の帰りを喜んだ。私の手を取る妹の手は、暖かな食卓の為に熱が奪われていて酷く冷たい。同じ与奪であれ、汚泥を這いずる有象無象を引き摺り落として生きる私の手に彼女が触れることは許されないような気さえした。
熱帯夜 / 地下の湿気はヴェセルの体力を徐々に削っていく。組み敷かれ抵抗も儘ならないまま蹂躙された。額を押し付けた床は温く、触れた肌は熱く。何もかもがヴェセルを犯す。生温い体液を浴びせて満足した男にヴェセルは汗で貼り付いた髪を払い氷のような視線を返した。
茶 / 「わぁ、いい匂い。何を作ってるんですか?」「ハーブティーよ。私はアルローニア。防衛者ちゃんはキュラリアね」「あの藻みたいなものが蓋を押し上げて成長し続けてるポットは?」「失敗作のストマフィリア」 ――紅の月『イズミ』
茶 / 「イズミさんの料理って、凄く雑ですけど凄く美味しいですね」「彩り悪くてごめんねぇ。いかにクオリティを落とさず手を抜くか。食べ盛りが何人もいると料理も面倒になっちゃって」イズミは焚き火にアピの実を放り込んでザッハトルテを焼き上げた。 ――紅の月『イズミ』
背中 / 獣の牙から、魔物の爪から、父の刃から私を守るその背中は頼るに申し分無かった。しかしこの人は何故よりによって私の防衛者なのだろう。私がその背に突き立てる短剣を忍ばせていることを知っていながら、平然と後ろを預けている。 ――神の生贄『レイラ』
環 / 首に掛けた手に力を込めても息苦しそうに眉を寄せるのみ。ヴェセルからは生きようとする意志を感じられなかった。死のうとすることもなく生きているから生き長らえていた。「何故だ、ヴェセル……」答えが返る筈もない。それでもロイターは問わずにはいられなかった。
名残 / 忘れられたのか、捨てられたのか、冒険者の野営跡から瑞々しいリンゴを拾い上げる。腐りもせずにそこにあったリンゴはあなたに触れてようやく時を刻み始めた。「……呪われていますね」「やっぱり?」「だから捨てられていたのでしょう」 ――紅の月『イズミ』
兎の角 / 「有りえないものを例えた言葉らしいけれど……」「角の生えた兎も、獣に変えられた人間も、ここでは有り得るものに分類される。有りえないものは無いと思っていいだろう」「人々が手を取り合うことは兎の角かしら?」「人々が君のような……君より少し落ち着いた者ならな」
いか / 怒ればいいのか、悲しめばいいのか分からなかった。芽吹かないのならいっそこの手で摘み取ってしまおうか。実らないのなら刈り取ってしまおうか。あの頃の面影のない彼女を見続けるのはあまりにも辛いから。僕はエヘカトルにさよならするよ。
まく / 「茶番劇も終幕だ」機械仕掛けの神は古の散弾銃を元素の王へと向けた。時よ止まれ。全てが静止した世界の弾幕が終焉へと向けて動き出す。「巧くやれと、汝に言った筈だが」神の主はそれさえも見越していたかの如く灼熱の炎で蒸発させた。「我も甘く見られたものだ」
世界 / あなたはいつものように箱庭を愛でていた。あるとき、故郷と呼べる世界が再びあなたを呼んでいることに気付いた。「おかえりなさい!…いやただいま…?おっぱい」扉の向こうで創造の猫が神託を記し、それを大いに喜んだ人々による祭は未だに終わる気配はない。
パンツ / 「同じ『食らう』でも、頭がおかしくなるか元からおかしいかの違いね。まるで変態だわギャルのパンティーを食べるなんて」「防衛者の生ものの長棒は?」「食べる。……無駄にエゴを付けないでくれる?烈火だろうと輝いていようと食べるわよ長棒は」 ――紅の月『イズミ』
肉 / 敵の群れを一掃し、こんがりと焼き上がったドラゴンの死体を拾い集める。レッドドラゴンのピリ辛炒め、グリーンドラゴンの大葉焼き。脂肪分の少ない鶏肉の様な物と考えれば不味いものではない。そこに目を付けた健康志向の大富豪によって店は繁盛しているようだ。「高くても売れるわけだよ」
首 / 「どうだ、刃の感触は!何か言ってみろ。それとも、このまま死にたいか?」首筋に添えられた剣がひやりと肌を冷やす。しかしヴェセルはその刃を握り皮膚に食い込ませた。「お前に殺されるのなら悪くない」手から滴り落ちる鮮血に今度はロイターが苦い顔をした。
筋 / 「それ以上近付くなら殺します」「殺せばいいじゃない」彼女は警告を無視し歩を進める。防衛者の向けた刃に喉元を晒し、首をかしげて不適な笑みをたたえた。「私の敵になるつもりなのでしょう?」
調教 / この現実を認められないと放心している防衛者の顔を上げさせ頬を撫でる。触れただけで防衛者は内から湧く快感に身を強ばらせ、羞恥に涙を浮かべた。「あ…!」媚薬の効果で防衛者のポーションにすっかりまみれた防衛者の生ものの長棒を服越しに文字数
スナイパー / 魔法の矢の一点に絞られたマナの奔流がロミアスの腕を貫いた。肌、筋、骨を等しく抉り、ロミアスの腕は弾け飛ぶように千切れ異形の弓と共にPCのそばに転がり落ちる。「冗談だろう……」マナで焼け焦げたような腕の断面からの出血は少ないが、冗談では済まされない腕の痛みに否応なしに覚醒させられた。
かり / 「こんがり肉、オードブル、ピリ辛炒め」身を低くし赤い短剣を握り咆哮に耳を済ます。「コロッケ、ハンバーグ、大葉焼き」言うや否や、イズミはドラゴンの前に飛び出した。「ドラゴンステーキのお出ましね」堅い鱗に阻まれ刃先が逸れたが、ドラゴンは牙を剥き出し荒々しく吼えた。 ――紅の月『イズミ』
プレイ / ロイターがヴェセルの足に舌を這わせると、ヴェセルは平静を装ってはいたが吐息を切なげに震わせていた。絡み付くチョコレートをゆっくりと舐め取り、指先を口に含んだまま、背後の影に問う。「これが貴様の望みなんだろう?」
熱 / 「口で言っても無駄のようですね」レヴラスはレントンの自由を奪うと、魔法の詠唱を始めた。魔力の波が圧力を持ち始め、レントンの肌を刺していく。「この経過を記録しておきましょうか。レクサス!」
泣く / 衝撃と共に弾き飛ばされた愛銃。拾おうとして手を伸ばし、しかしバランスを崩して受身も取れずに縺れ込む。起き上がろうと腕を、…腕?あれは、銃の側で赤い線を引いているあれは、俺の腕じゃないか。意識した瞬間遅れてきた痛みと事実に、丸腰の狙撃手は慟哭を響かせた。 ――終焉の銃『フィデル』
つい / また、また治して貰えばいい。そうだろう?あの時だって治った。また銃を握れた。愛銃と腕を片手に抱きしめて、青の鷹の眼は向かうべき先を見据える。痛みを忘れる程の無様な逃避と譫言の自己暗示を笑う者は居らず、彼の左足に嗜虐的に銃口が向けられている事を伝える者も、また。 ――終焉の銃『フィデル』
閉鎖空間 / 「……ほう。どこを探しても、か」当たり前だ。白き鷹がそう簡単に見付かる筈がない。報告を受けたロイターは、そのまま捜索を続けるよう命じ自室の扉を閉ざした。部屋の奥からは鎖の擦れる音が響き、金髪の男がその短さに踞っている。鎖に繋がれた男――ヴェセルが部屋の主の名を呟いた。
から / 「私のシモベがこれを…?」マニは根本から断たれたルルウィの羽に触れようとした。寄るな、触るな、聞くな、見るな、問うな、喋るな、探るな、見るな。――私を嘲笑いにきたの?マニの向けるもの全てを拒絶しルルウィは罵倒とは呼べない言葉を吐き出した。「ルルウィ」その名を呼ぶな。
重さ / もう傷口を押さえることもせずにヴェセルは横たわったままでいた。ロイターはこのままだと死ぬだろうヴェセルを担ぎ上げる。「……置いていけ」「もう逃がしはしない」だらりと力なく垂れていた腕を上げ、ヴェセルはロイターに触れた。「ならば、お前が私を生かす間は生きてみよう」
祈り / マナの反動が体を蝕んだ。弾け飛びそうな体を押さえ込み、それでも詠唱は止めない。ジュアの癒しが肉体を超回復させ、精神は極限まで磨り減らされる。一頻り悲痛に叫び、とうとう膝ががくんと折れた。それまで側で見守っていた防衛者が天に手を掲げる。「この者にジュアの加護を。レイハンド!」
頬 / ロイターの第一声は自分でも信じられないほどに熱が籠っていた。自分の意思を置き去りにし、ヴェセルの言う事に従っていれば自分自身を守っていられる。そうだな、とヴェセルは思案する。「私を殴ればいい。それで充分だろう」それがロイターに与えられた命令だった。
痛 / みすぼらしい布団に潜り込んで、腕を枕に身を横たえる。何かが駆動しているような音と、金属を打つ誰かの足音。布団を侵食してくるような冷気。目が覚めた時には、身体中が錆びた機械にでもなったようにぎしぎしと痛むことだろう。夜を明かすにはアクリ・テオラの床は硬すぎた。
憂鬱 / 彼女の好物だ。好物のはずだ。だが目の前のザッハトルテに手を付けようとせず、俯き溜め息を吐くお嬢を見やる。いつか紡がれる言葉をただ待った。「…これ、呪われています」喧騒や他愛ない会話などそんなものはもう聞こえない。ここにあるのは黙々と過ぎていく時間だけだった。
リバース / 同僚からの陰湿な嫌がらせにはもう慣れた。醜い嫉妬で支給品の食糧に『何か』を混ぜていることにも。食べないことには体は持たず、食べたとしても運が悪ければ吐き戻すだけだ。「大丈夫かフィデル。飯に中るなんて運が悪いな?」焼けるような喉の痛みで、同僚のにやついた声に返せない。 ――終焉の銃『フィデル』
パン / 「ごほッ、う、…」衝撃に頽れ、深い青の瞳に恐怖の色が映る。しかしそれは嗜虐心に火を付けたに過ぎず、あなたが再度拳を握るだけでその狙撃手は小さく悲鳴を上げて咳き込んだ。「ッ、は…!」上手く息を吸えずに喘ぐ男を見下ろし、がら空きの腹を蹴り飛ばした。 ――終焉の銃『フィデル』
審判 / 刺された腹を押さえたまま蹲る。この手を離せば内臓が溢れ出してしまいそうな予感に襲われる。動けば死ぬ。動かずとも死ぬだろう。本能は警鐘を鳴らしていたが、詠唱もポーションも使えない彼女はただ敵の刃が降り下ろされるのを待つことしかできなかった。 ――神の生贄『レイラ』
相棒 / 腹に突き刺さったままのディアボロスを引き抜くと、時が動き出し傷口から血が溢れ出す。壁に凭れるだけのはずが、足に力が入らずにずるずると座り込んだ。「…ロイター。お前は、これで満足なのか…?」今度は虚空ではなく、赤髪の青年を、かつての友を、ただ見つめていた。
導火線 / 「私には妹がいて」「やめろ」「この戦争が終わったら花屋でも開k」「ヴェセル、それ以上は言うな」「実はプレゼントも買ってk」「やめろおおおお!」「…わかった。私は部屋に戻る」「うわああああああ!行くなああああああ!!」
在りし日 / 「ヴェセル。貴様には、何が見える?」巨大な青い水晶に映るエリシェの姿に、ヴェセルの心臓はトクンと脈打った。「エリシェ……」「だろうな。貴様の家から押収されたものだ」「もう、私には必要のないものだと思っていたが……」「あれが貴様の言っていたエレアの娘か」「エリシェ……」「いつまで過去を眺め感傷に浸るつもりだ。早く終わらせろ」「すぐに終わる」ヴェセルは大きな花束を置いた。「おやすみ、エリシェ」
おかし / 「私が身を差し出せば、主は見逃してくれるんだろうな…?」下卑た視線に晒されながら防衛者は得物を放り捨てハードゲイの群れに歩を進めた。彼らが求めるのはいい男♂であり、主はそれを誘き寄せる餌にすぎなかった。
上/下 / 視線は再び地へ向けられる。それは目の前のロイターを映さぬように逸らしているようでもあった。ロイターが乱暴に胸倉を掴んで顔を上げさせる。「俺を見ろヴェセル! 貴様の命が懸かっているんだぞ!」しかしヴェセルは不敵な笑みを薄く浮かべ「構わない」と囁いた。
ひきがね / 壁に叩きつけられ、衝撃に息が詰まった。閉じかけた傷が開いたような熱さも感じる。「白き鷹を捕――」言い終わる前にイェルス兵が弾け飛ぶ。倒れた兵の背後でロイターが銃を手にしていた。「使ってみれば悪くはないな」細く煙を吐く銃を投げ捨て、ヴェセルの元へ駆け寄った。
なんしょく / 「まだ分からないのか。あの二人の居場所を吐けと言っている!」胸倉を掴んで床に叩き付ける。「がっ!は…!」何度も咳き込み喘いで、ヴェセルはロイターを見上げた。「吐く気になったか?」「…お断りだ。たとえお前の頼みでも」
神様 / 「来たか、私のシモベよ」四肢を切断された死すら許されない、その選択肢さえないマニをあなたは眺めた。「神を囲い、その命を手中にしても、お前はお前以上の何者にもなれない。定命のお前を、神である私はお前が死を受け入れるときまでここで見守ろう」
悪食 / 通常のものより水分が多く含まれ粘土の高いそれが肌に貼り付けられ、フィデルは熱さから逃れようと呻いて体を捩る。喧しい奴だ。好物を食べさせておけば静かになるだろう。つきたての餅を口に詰めてやれば嬉しいのかぼろぼろと涙を流し始めた。 ――終焉の銃『フィデル』
ティアドロップ / 見せしめみたいにサンドバッグに吊るされ、いつもより高い視界に映ったのはマニ様の狂信者。罰当たりとか不届きだとかで物を投げつけられたり死なない程度に殴られたりした。瓶が額で割れて、液体と血が混ざって肌を伝う。痛みだけなら大丈夫。だって俺、それでもマニ様が。――白い奴隷『アデラール』
錠と鍵 / 孕まされた腹部は無理に拡張されているにも関わらず不思議と痛みは感じない。コートを留めることは叶わず、白い肌と青黒い血管の走る丸い腹部が夜の空気に晒されている。中で蠢くエイリアンの幼体を感じようと臨月の腹を慈しむように撫で擦る彼の顔は正しく母親のそれだった。 ――消えた呪い『ツェペシュ』
きせい / 水のように流れ出る血の滴る音の中、成長を遂げたエイリアンが飛び出して彼の足元にぼとりと落ちて力なく鳴いた。エイリアンに引かれ溢れる内臓を気にも留めずに、彼は彼の子供に触れる。『おはよう、僕の――』 ――消えた呪い『ツェペシュ』
それでも / 「勝てる確率は一割にも満たないだろうな」「勝つか負けるかだけ考えれば五割、二分の一だ。今更怖じ気づいたか?」「まさか」「貴様には言っておく」「何だ」「万が一俺が死んでもあの時のようにはなるなよ」「エリシェと一緒にしないで貰いたい。第一お前が死ぬイメージは無い」「貴様が失踪した時はどこかで野垂れ死んでいるかと思ったがな」「言っていろ。私もお前も死なない。生きて帰るぞ」「そうだな」畳む
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ティリスの風@tyris_windのログまとめです。
talk.txtや%txtCalm,JPのようなイメージ。
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「……。どうしよう。《プチでもわかるすくつ攻略》を読んでも全っ然わかんない。私プチ以下かもしれない」
「……あなたは、こんな絶望を抱えて生きていこうというの?」
「……あの人。手配書で見覚えない? エーテル病で姿を変えてるみたいだけど、雰囲気と、ほら、あの歩き方は足を痛めてるものよ」
「……結構強い吸血。マゾでもない限り使えそうにないわ。前に持ち主がいたのかしらね、持て余して捨てられたのか、剣に囚われて倒れたかのかしら」
「『祝福された思わず見入りそうなオブシディアン細工の気絶しそうなほど素晴らしいおみやげ』。一度見てみたいな」
「『世界最高の雪だるま』を子供に壊されてしまったのだ……」
「『迷い犬預かっています』……なんだか見覚えのある子犬ね?」
「あ、あなたは……いえ、すみません、人違いでした。……その剣に見覚えがあって。昔、魔物の牙から助けてくれた冒険者の振るっていた剣ととても似ていたの。でも、名前も知らないあの人とあなたは別人だとはっきりわかるから……」
「ああ、あの時の冒険者さん。あの種は全て枯れてしまったよ」
「ああ……なんて心地良い電波だ……お前には聞こえないのか? マニ様の御声が…」
「あいつはまた結婚するのかい? ご祝儀を用意する方の身にもなってくれよな」
「アクリ・テオラの異端者どもを残らず殺せ」
「アクリ・テオラ名物『らむぇ』は永劫に飛びたくなる味らしいな」
「アクリ・テオラ名物『リトル饅頭』、これを食べると子沢山の大家族が作れるそうだ」
「アクリ・テオラ名物『残りカスタードケーキ』は懐かしい思い出の味がするそうだ」
「アスールの秘宝を持っている冒険者を見たのだ」
「あそこでドレイクに食われる命が、俺ではなくあいつに変わっただけだ。わざわざ俺を助けたんだ。代わりに犠牲になっても構わないんだろう?」
「あそこに倒れてる少女。もうすぐ死ぬな。あいつが持ってる鉱石はエーテルの結晶だよ。きっと宝石にでも見えていたんだろう。……可哀想だと思わないことだ。ああいうのは、どこにだっている。放っておけばそのうち死体屋が処理しにくるさ」
「あそこのカジノのダーツバーでよく見るあの男の人。かつては冒険者で投擲の名手だったのよ。ただのダーツ好きだと思ってたでしょ?」
「あそこの癒し手に解呪を頼むのは止した方がいいわ。お金を搾れるだけ搾るのよ! おかげで財布はすっからかんよ。これなら劣悪素材の巻物で生ものにして食べちゃった方がマシだったわ。ああ、こんなものに振り回されるなんて……」
「あなた、見て。あの子が戻ってきたの。きっと迷子になってたあの子を女神様が導いてくれたのね。今度はお母さんを置いてどこにもいかないで」
「あなた、油膜の張った泥水の臭いを知っているかしら? 腐ってドロドロになった残飯の味は? それに比べたら、体を売るなんて大したことなかったわ」
「あなたさ、好きな人を救うことができない経験、したことないでしょ」
「あなたの正義のために、いったい何人のエレアを殺してきたの?」
「あなたの目には、このおぞましい魔物が妹に見えるのか?」
「あなたの優しさが、私を魔物にしてしまったのよ」
「あなたはイェルス側についた。そういうことでしょう?」
「あなたは神を信じますか?」
「あなたも僕を殺しに来たの? それともこの剣が欲しいのかい? どっちもできない相談なんだ。この剣は生きている上に呪われている。宿主である僕を死なせるわけにはいかないみたいなんでね」
「あの! このあたりで小さなメダルを見かけませんでしたか? 友人から貰った、大切なメダルなんです……」
「あの…一晩でいいので、買ってくれませんか」
「あのネフィアはもう長くは保たない。次に大きな地殻変動でもあれば、跡形もなく消え去ることでしょう…」
「あのピアノはただの置物さ。ちょっと前まではここで演奏したいって奴が結構いたんだけどねぇ。あの赤髪の軍人が来てからはとんと消えちまった。あの偉そうな将校さん、音楽にはうるさいんだってサ」
「あの煙かい? 魔物の毛皮を焼いてるのさ。酷い臭いだが、ああすれば魔物が寄ってこなくなるんだよ。ルミエストの魔道具なら、こんな悪臭を嗅ぐ必要もないんだろうがね」
「あの花はあなたのように熱く燃え上がるような赤をしているわ。うふふ、とても綺麗ね」
「あの救いの手を疑わずに取っていれば僕は今頃どうしていたのだろうか」
「あの吟遊詩人も馬鹿だねえ。今まで投げられた石を集めて女神様に振り向いてもらおうだなんて心に響くものが全くといってないよ」
「あの黒猫、お腹怪我してるのにどうして誰も助けてあげないの?」
「あの子と付き合うのはやめなさい。エレアと関わってるだなんて知れたら、お前までなんて言われるか……」
「あの子の四つの瞳で見つめられると、俺まで病気になりそうだ」
「あの子はこんなことを言う子じゃなかったのにどうしてかしら……やっぱりあのエレアは人を誑かす魔女だったのよ」
「あの子を売った金で今の私があるの。恨んでいてくれると嬉しいな」
「あの子供、あの見た目で体重ぎっしり詰まってるなんて全くどういう質量してるのよ」
「あの指輪があれば、妹の病気もきっと治る……」
「あの人から自由を奪ってしまったらどうなるかなんて、あの時はわからなかったのよ…。彼にとっての冒険は何か、なんてわかるわけないじゃない! 冒険なんて危ないことはもう止めてほしかったの! ただ私と一緒にいて欲しかっただけなのに…」
「あの人はいつも通りに家を出たわ。だからいつも通りに帰ってくると思っていたの。でもね、帰ってきたのは左腕だけだった」
「あの像に触れたらルルウィ様の怒りを受けるんだ。大雨が降り続けたり、嵐になることもあったね」
「あの冒険者の話を聞きたいって?」
「あの魔術士は人嫌いらしくて、自分の家自体にインコグニートをかけて気配を誤魔化しているの。その地図に従って進めばきっと辿り着ける……はずよ。多分。引越しさえしてなければ」
「あの木は昔ここに住んでいた冒険者が根を下ろしたものだと言われているわ」
「あはは、聞こえる。終末の音。ドラゴンの群れが来るのよ。あなたは天使様。痛くしないで。思い出も焼き尽くして。何もかも飲み飲んじゃえ…」
「アリーナ? 参加したって怪物に押し潰されて惨めに死ぬだけだよ」
「アリーナ?参加したって怪物に押し潰されて惨めに死ぬだけだよ」
「アルローニアの匂いが好きだと言うと変な顔をされるのだ……」
「アルローニアの匂いが好きだと言うと変な顔をされるのだ」
「アルローニアの匂いを嗅ぐと、なんだか心がふわふわするの」
「あんたクラムベリーやってんでしょ。隠してもわかるわよ」
「あんたなんか神じゃない! 私の頭から消え去れ!」
「あんなのと結婚するなんてとんだ物好きがいたもんだよ。お幸せにな」
「いいか、よく聞け。俺は差別とエレアが大嫌いなんだ」
「イカサマはバレなきゃイカサマじゃないよ。窃盗もバレなきゃいいのだ」
「イツパロトル様は、見る者によって姿かたちが違う神らしいよ。…え?キウイ?」
「ヴァリアントによっては、女性の防衛者も賜れる」
「ヴェルニースの酒場の裏メニュー、特製コロッケを知ってるかな?」
「ヴェルニース北西ではよく爆発が起きるらしくてね。うーん、坑道のガスか何か?」
「ヴェルニース名物『紅い恋人』。その味には石を投げたくなるらしいよ」
「うちの商品は新鮮だ」
「エイリアンなんて恐ろしいものが生まれてしまったら、この村はもうおしまいだ。頼む、俺たちの為に死んでくれんか」
「エイリアンにペットを汚されたくないな」
「エーテル病で羽が生えたり首が太くなって着れなくなった服をリメイクする仕事が流行ってるんだって。お気に入りの可愛い服が着れなくなるのは悲しいからね」
「エヘカトルの気まぐれがあらんことを」
「エヘカトル様の中に封印されし神がいるらしいな。それがクミロミ様の言う『かつてのエヘカトル』なのかな?」
「えへへ。ヘマしちゃった。おかしいなあ……スティックパンひとつくらい、バレるはずないと思ってたのになあ……」
「エレアってやつらは、エーテルの中でも生きられるんだろう? 俺たちみたいな普通の人間を淘汰した後に伸び伸び暮らしていくつもりか?」
「エレアの二人組に会ったのだ。美しい女性と、何か嫌な予感のする緑髪の…」
「おい、ありゃあ『最後の傷チーム』じゃねーか……。絶対目を合わせるなよ。そして奴らの前に出るな。持ってかれるのは金だけじゃ済まねえぞ」
「おいおい、どこ見て歩いてんだ? 薬でもやってんのか?」
「お花、いりませんか。赤い花も、青い花も、ここにはあなたの求める花が、きっと……」
「お願いだよぉ、あたいを買っておくれよぉ。家で子供が待ってるんだ……」
「お願いです、お水を頂けませんか、一杯でいいんです、綺麗なお水を……」
「お前さんは雄じゃないか。端から興味ないよ。さあてミシェーちゃん!気持ちいいことしない?交接しよう。和合で、激しく前後しよっ」
「お前の価値はお前の食事一回分よりも低いんだ。この意味がわかるか?」
「お前の母さん、美味しかったぜ」
「お前みたいなよそ者がダルフィに何の用だ?」
「お前も冤罪で捕まったのか? 財布を届けて捕まるなんて災難だったなあ。私も人助けなんて二度としないと思ったね」
「お前らの信じる機械の神は、人の神でもあるのかね?」
「お母さん、あの人の血はどうして緑色なの?」
「カザーナル、フフレイ、ギザサード、トミギスタン、墓に入れる死体もない、俺の仲間の名前だよ」
「カジノ・フォーチュンクッキー。あそこのでイカサマがバレたら黒服にどこかに連れてかれるから気をつけて。わざとバレバレのイカサマして相手の陣地に乗り込む冒険者もいるようだけどね」
「かつては私も冒険者だったが、膝にクイックリングの矢を受けてしまってね」
「カプール名物『スターボール』。全10種類のオマケ付きで蒐集マニアにはたまらない一品らしいよ」
「かわいそうに。ジュア様の呪いを受けてしまったのね」
「キマシの塔というネフィアを知っているかな?」
「きみは確か…人違いか。気にしないでくれ。最近似たような顔の冒険者が多くてな……」
「きみもレシマスに向かう冒険者なのかな。幸運の女神の微笑みを!」
「グウェン、お願い、目を開けて……」
「クズでも必要としている人がいることもあるよ」
「クズ石だけでアーティファクトまでもらえる神がいるらしい」
「クズ石も集まれば金以上の価値になる」
「クミロミ信者にはおかしなものが多いらしいな」
「こ、殺さなきゃ。あの方のために殺さなきゃ。死体がたくさん。足りない。もっともっと集めて、最愛のシモベだって褒めてもらうんだ」
「ここでは家具の配達は行っていないようだね。お前さんも衝動買いには気を付けたまえよ」
「ここでは助けを求める人間が大勢いる。だから誰も助けてはくれないのさ。それが常識になってしまったから、誰も特別なんかじゃないんだ」
「ここで見たものは忘れなさい。あれを思い出すたびに、あなたの狂気が深まってしまうのだから」
「ここに六本の酒瓶があるな? どれかひとつを選ぶといい。お前の忠誠心と幸運の女神の寵愛を試させてもらうぞ。安心しろ、その後のことはこちらでなんとかしてやる」
「ここの井戸水は飲まない方がいいぞ」
「ここの調理器具は冒険者のために無料で開放されているんだ」
「ここの壁を修復してくれる者はいないから気をつけてくれ」
「この絵を描いた画家は、神様に魂を持っていかれたそうだ」
「この街に来るかたつむりは一体何を考えてるのだろう」
「この街の近くには天使が住んでいるらしいよ」
「この街の近くには魔女が住んでいるらしいよ」
「この街の周辺には沢山の冒険者が住んでいるよ」
「この街道を進めばパルミアだ。最近盗賊団が出たという話はないが、気は抜かないようにな。それではよい旅を」
「この顔に見覚えはないか? 虫も殺せないような面をしてるが、道具屋の店主を殺して今も逃亡中の悪人だ」
「この近くで銃声が聞こえたのだ。気のせいだったかな」
「この近くに出来たパン屋が噂になっているらしいよ」
「この近くに沢山の花が咲いている冒険者の家があるらしい」
「この近くに美味しいパン屋があると聞いたが、行ったことはあるかな?」
「この近くのお城には近づかないほうがいいな」
「この死体をあの冒険者のとこに持っていったら干し肉に加工してくれるのよ。もちろんタダじゃないんだけど、エーテルの風が吹く前の食料を店で買うより安く上がるんだから助かるわ」
「この種を蒔いてな、大きな畑を作るんだ。そうしたら、子供たちを飢えさせずに済む……」
「この人殺し! あんたが逃げなかったら、お姉ちゃんは助かったかもしれないのに! そうでなくても、遺品くらい……どうして……」
「この大使館はバリアフリー化の工事を進めているのだ」
「こらこら、勝手に下水道に入ってはいけないよ」
「これでもあいつは許嫁だったんだよ。親に決められた相手だったけどさ。多分思ってたより好きだったんだろうな。今更気付いても遅いんだろうけど。俺はあいつを守れなかった。それだけなんだよ」
「これは東の国で作られた、エーテル病によく効く薬だよ。お前さんがよければ安く譲ってやってもいいが、いくらなら出せる?」
「こんなにジュア様の信者が増えるなんて、今夜は眠れないな」
「こんな噂を知ってるか? クイーン・セドナは幽霊船になって未だ海を漂ってるってな。そしてもう一つ。セドナにはお宝がそのまま眠ってる。……なあ、言いたいことはわかるよな?」
「こんな汚れた街に神官か……」
「さあ、坊やたち。エヘカトル様にお祈りは済ませましたか?」
「さあお行き。何が聞こえても、決して振り返ってはいけないよ。その先に見えるのは悍ましい異形だけなのだから」
「しきりに出入りを繰り返しているあの冒険者は何だろ?」
「ジュアを信仰せずに防衛者をペットにする方法があるという」
「ジュア様の抱き枕はもう貰ったかな?」
「すごく仲の良かった相棒を失って、冒険者をやめた人の話。魔物に襲われて、遺体も遺品も何一つ取り戻せなかったらしいの」
「スナックばかり食べていると後戻りできなくなるよ」
「そうさ、ここにいる俺たち全員、この肉が何の肉かわかってる」
「そうそう、仲間は救えなかったけどさ。あのまま助かったところで、全身に酷い火傷を負った女がどうやって生きていけると思う? 娼婦にも乞食にもなれないあいつはあそこで死ぬしかなかったんだよ」
「そうだな。いい奴だったよ……って言うしかねぇだろうな。そのくらい、あいつはどこにでもいる冒険者で、よくある最期をネフィアで迎えたんだ」
「その薬草はカレーにするといいぞ。なんたって苦くて食えたもんじゃないからな! カレーにすればネズミの肉だろうと苦い薬草だろうと何でも食べられるってもんよ」
「だからあれほど矢束や弾丸は耐酸コーティングしろと言ったんだ。諦めてそこの店で新しいのを買うんだな」
「だからこう言ってやったのよ。あんたのペットになるくらいなら死んだ方がマシね、ってさ」
「たとえ姿形が変わろうと、私の大切な娘なんだ。ほら、挨拶するんだ。……今だって誰にも迷惑はかけていないだろう。モンスターなんかじゃない。どうか見逃してくれないか」
「ダルフィの料理店で安い肉料理を注文するのは止めておいた方がいいわ。どんな肉が使われていても気にならないなら止めはしないけど」
「ダルフィ名物『心臓チョコ』。思わず心が盗まれそうだ」
「ちょっと遊ぶために若い女奴隷を買ったんだが、よくよく聞いてみりゃ俺より何十も年上だったんだ。でもそれが意外にも悪くなかった。悪くなかったんだ」
「どうしてですか? わたしとあるじとの思い出を、どうしてあなたが奪おうとするのですか?」
「どうして殺してくれなかったの。どうして死なせてくれないの。どうして私は死ねないの……。私を殺してよ、パパを殺した私を殺して!」
「どーも、旅の人。新しい奴隷が入ったよ。なんだい、違うのかい。この町に来る冒険者は大抵奴隷目当てなもんで、てっきりね。でも少ーし見ていかないかい? 美しい髪のエレアや、没落貴族のお嬢様もいるぞ。肉体労働にジューアの戦士なんてどうだい?」
「どこぞのネフィアから命辛々脱出して来たんだろうな。見つかった時は意識は朦朧としていたし、酷い怪我だった。うわ言で仲間の心配をしていたようだが……見つかったのは彼女一人だ」
「ドラゴンの心臓は珍味としてお金持ちに人気なの。血の滴る新鮮な心臓を生で食べると頭が良くなるんだとか。……胡散臭いわね?」
「どんなクズでも必要としている人がいることもあるよ」
「な、なんだよこの音……足音か? 壁の向こうから……おい! こいつはやべえぞ! このネフィアの主がお怒りだ!」
「なるほど。そいつはこんな顔をしていましたか?」
「ねー、見てー! この鉱石の欠片きらきらしてきれいでしょー!」
「ネフィアで見つけた生物が新種であることを証明できたら、その生物の名付け親になれるそうよ。でもさ、そんなの私たちには分からないわよね。新種ってことに気付かずに討伐してたりして」
「ネフィアなんて二度とごめんだ……仲間が目の前で殺されたんだぞ! 俺は何もできなかった……あいつらが勝てない相手に俺が勝てるわけないだろ! 誰かを囮にして逃げれば命だけは助かると思って……」
「ノイエルへの街道で、血に染まった雪を見たんだ。今やどこにも安全な場所なんて……」
「ノイエル名物『エボン酒』は喉が灼熱になる飲み心地らしいよ」
「ノエルの傍にいる冒険者?たしか記憶喪失らしいよ」
「ハーブの種を使うか捧げるかはきみ次第だ」
「ははっ、俺たちが一番乗りだぜ! 残念だがあんたに残すお宝の余裕はねえよ!」
「パルミアの祭壇を使わないなんて珍しいな」
「パルミアへようこそ」
「パルミア王の暗殺は異形の森の魔女の仕業らしいが…本当にそうなのかな」
「パルミア名物『スターシャーベット』は、少し物足りないような芳醇な味わいで有名よ」
「ビビったら負けだ……あいつさえ倒せば、俺はこのネフィアの覇者になれる……」
「ピラミッドの近くに住んでいる鍛冶屋の工房では雪が降ることもあるらしいな」
「フェアリーダストを光にかざすときらきら綺麗なの」
「プチをペットにするのは珍しくないが、まさかあそこまでプチ狂いとは」
「プチを繁殖させて食料にするのはどうだろう。あいつらは何でも食うから、育てるのは簡単だろう?」
「フハーン?」
「ふふ……こんな姿では、魔物の方がマシというもの。どうか醜い私を見ないでくれ」
「へぇ、何でアンタみたいな強そうなのが護衛される側に? 探してる奴がいる? ってことは自らを囮にってことですかい。理由を聞かなかったとはいえ、もしもの時はアンタを置いて逃げますよ俺は。構いませんね?」
「まさかお前さん、プチに生肉を与えたのか? それはいかんぞ。血肉の味を知ったプチは処分しなければ恐ろしいことになる」
「マテリアルの『お湯』を瓶か何かに移して、寝る前にベッドに入れておくと温まるよ」
「マテリアルの『わめく狂人』ってどんな風に保存してるかな?」
「マナの乱れを感じたら、すぐにその場を離れたほうがいいよ」
「マニ様の信者は熱狂的な者が多いな」
「マニ様への捧げ物を買いに来たのかな?」
「ミシェー……フレナート……どこに行ったんだ……? おまえたちがいないと俺は……」
「ミジンコは安定しているね。最近になって、セミの売れ行きが上がって入荷が遅れている事態なんですよ。目当ては魚ではないらしいが、あなたは何かご存知で?」
「ムーンゲートを持ち上げられるくらい強くなりたいのだ」
「メイルーンには大食いトドの腹の中に鳥を詰めて発酵させた食べ物があるの?」
「もっとぶってマニ! なじってマニ!」
「モンスターの血を浴びてたからつい拾って来ちゃったのよ。喋る武器は私も初めて見たのだけど、これって珍しいのかしら? それとも新種だったり、実はモンスターだったり」
「モンスターを轢いたって? あのな、ただでさえカブは貴重で部品が足りてないんだぞ。修理したいってんなら、アクリ・テオラの近くにあるネフィアから適当な機械を拾ってきてくれ」
「やだ、なにあの乞食。この町にはあんなのがいるの?」
「ヨウィン名物『無邪気ジャーキー』。なんでも病み付きになる味らしいよ」
「よくも母を殺したな!」
「ラーナ名物『温泉卵』の殻は鮮やかに染色されているそうだ」
「リッチの無邪気な少女は、人型のプチを連れているみたいだ」
「リトルシスターという生き物の肉は物凄く美味しいらしいよ」
「リトルシスターという魔物の肉…どんな味がするのだろ」
「ルシとうさぎ亭に行くならカプール支店がオススメよ。逆にルミエスト支店は値段の割りに質が悪いのよね」
「ルミエストのお土産屋さんであの子の髪を編み込んだ魔除けのペンダントを作って欲しいな」
「ルミエストへ続く街道のある地点には、盗賊団も避ける場所があるって言うのよ。なんでも最近、盗賊団の首領が何者かに狙撃されたとか」
「ルミエスト名物『ルルウィスキー』は味も素晴らしいが、芸術的な瓶のコレクターも多いらしいよ」
「ルルウィ様はお尻を出しているわけではなく、お腹を隠しているらしいな」
「レシマスが空洞にされていたらしいよ」
「レシマスにはどんな食材があるのだ?」
「ん……? よく見ればまた君かい。よくもこんなに大量の財布を見つけてくるものだな」
「暗殺の依頼とはまた物騒だねえ。確かにうちではなんでも請け負ってはいるけどさ。それじゃあ対価にお前さんの心臓を頂こうか。人の命を奪うんだ。釣り合うものはそれくらいだろう?」
「以前見かけた画家の冒険者は、ネフィアの探索よりも記録を目的としていたわ。遺跡の壁に刻まれた模様や魔物の種類でそのネフィアが出来た時代を考察してるんだって」
「異形の森の武器の使い勝手は素晴らしいな」
「異形の森の魔女を狙う冒険者がいるらしいよ」
「異端者は見せしめに吊るしておけ」
「遺品のひとつも無しに、あの人が死んだって言われて簡単に信じるなんて私にはできない。あの人は生きてる。私にはわかるわ」
「井戸の中に住む魔物を殺す為に毒を投げ込むなんて、水なしにどう生きていくつもりなんだ?」
「一年に四回、季節の変わり目にエーテルの風は訪れるわ。悪魔の風は悪いものを運ぶから、風が強い時は外に出るのは避けた方がいいかもね」
「羽の生えたかたつむりが飛んでいるのを見たことがあるな」
「運び屋の男を見たことがあるな」
「煙草を吸う器用なプチがいるらしいな」
「遠い国は既にエーテルの海に沈んでるって聞くけど、それはどんな光景なのかしらね。そう言ってエーテルの風対策をして旅に出た冒険者の話はそれ以来聞かないわ」
「王を殺した罪人は、まだこの街に潜んでいるって噂よ。……あなたもお気をつけて」
「黄金の鉄の塊の騎士は飲み物を奢ってくれる謙虚な方だ」
「黄金郷の話を知っているかな? この世界のどこかに、黄金が眠るネフィアがあるそうだよ。キミも見てみたいと思わないかい? 夢を、理想を。誰も到達したことのないネフィアの先を」
「俺のルビナスよりあいつのルビナスの方が大きくないか? ……なあ、あんた冒険者だろ。ひとつ頼みがあるんだが……」
「俺の水にクリムエール混ぜた馬鹿はどこのどいつだ!」
「俺は娼婦ではないよ。よそへ行ってくれ」
「温泉に魔物を連れてくるのはやめてくれ」
「下界に送り出した黄金の騎士が男の子になってオパートス様が泣いた事件。興味深いな」
「下界に送り出した防衛者が女の子になって泣きながら帰ってきた事件。興味深いな」
「下水道を封鎖したって、蔓延る魔物が消えるわけじゃないのに……」
「何せ名もなき画家なんだ、おひねりならこの箱にでも放り込んでおいてくれ。その金貨の音は彼女も喜んでくれるはずさ」
「何なのだ、これは!どうすればいいのだ!」
「何考えてるか分からない。怖い。あいつらは私を閉じ込めたまま。……。このまま私は腐れて逝くのかな? ……言ってやらなくちゃ、言えばよかった。もう戻りたくない、助けて」
「家のメイドはガーンナと言うのだ。きみのメイドの名前は何かな?」
「家出少女は冒険者になるか娼婦になるかだな」
「火炎樹の木片で作った燻製肉は美味しいらしいね。それ目当てで木片の調達依頼が出されてることがあるけど、なかなか見つからないみたい」
「我々が発行している雑誌で、かけだしの冒険者特集でもやろうと思ってね。匿名や偽名でもいい。この紙に載ってるいくつかの質問に答えるだけさ。勿論報酬も出るからやってみる気はないかい?」
「我々の縄張りを荒らさないでくれないかな?」
「我が家のメイドはガーンナと言うのだ。きみのメイドの名前は何かな?」
「蟹でもできる仕事か。そろそろ俺も働きに出ないといけないな」
「蟹でもできる仕事か。そろそろ働きに出ないといけないな」
「街中を採掘するコウモリがいて困っているのだ」
「街中を採掘する猫がいて困っているのだ」
「角と尻尾の生えた子なら、ノイエルに向かうと言っていたよ」
「乾燥ストマフィリアを食った奴が緑色のゲロゲロを撒き散らした挙句死にやがった」
「機械の神とやらに祈ってろ!」
「帰って! 仲間仲間ってあなたたちはいつもそう。仲間だったらどうしてあの人を助けてくれなかったの。今だってネフィアで一人きりなんだわ」
「帰ってくれ。冒険者に売るものなんて何もないよ」
「気持ちいいことなんかに屈したりしないよ」
「季節外れのエーテルの風で友人とはぐれたのだ」
「吸血鬼は魔性の者だ。魅入られても仕方がないな」
「巨人の枷が外れていたら逃げたほうがいいよ」
「巨大な柱かと思ったら冒険者の足だったことがあるのだ」
「教会の聖なる井戸が冒険者のせいで枯れてしまったらしいな」
「橋にかかる濃霧の中に、白い天使の姿を見たのだ」
「胸は小さいに限るな」
「吟遊詩人の英雄譚は、面白いものね。だからあなたもあの冒険者は英雄だって信じていたの? 私が聞いたのは、仲間を犠牲にして魔物を打ち倒した生き残りってお話よ」
「銀髪の狩人には気をつけるのだな。あの男に目をつけられたらひとたまりもないだろ」
「銀髪の妖精を知っているかな?彼女のガイドなら安心だそうだな」
「空いている祭壇は自由に使っていいらしいよ」
「結婚指輪や結婚首輪、ペンダントにペリドット。品揃えには自信があるのに、皆様原石ばかりを買っていくの」
「結婚指輪を無くしてしまったんです。どうしましょう、こんなこと夫にバレてしまったら……」
「月に一度、引き取り手のいない冒険者の遺品が市に出るのよ。道具や装備品、手帳にお守り、売れるものはなんでもね。そこから掘り出し物を見つけるのが楽しくって」
「嫌だ! 死にたくない! スライムに食べられるなんて嫌だよぉ! お母さん! お母さ……」
「見てしまったのだ! あの冒険者の下半身に、生ものの長棒が生えているのを!」
「見てしまったのだ! 吟遊詩人が、石を投げられたのに這い上がるのを!」
「見てしまったのだ! 土の中から生きているナスが出土してきたのを!」
「見てしまったのだ! 悩める魔術士が二人いたのを!」
「孤島に住んでいる冒険者の家を訪ねたいが、難しいな」
「交易品の棺桶を買い占めていった信者がいるらしいよ」
「紅い髪の女を探している。心当たりはないか? ヴェルニースに向かったと聞いて来たのだが……」
「鉱業や魔術に使用した廃水から魔物が生まれることがあるらしいわ。坑道のスライムや下水道のバブルなんかがそうね。水に含まれるマナがそうさせるのかしら。あなたも一度は井戸から魔物が出てくるのを見たことがあるでしょ?」
「国を股に掛けた鬼ごっことは、変わった兄妹もいるものだ」
「黒いリボンを着けた女性を見なかったかな?」
「今、そこを誰かが通らなかったか?」
「今朝ヨウィンで採れたばかりのリンゴだよ! おひとついかが~!」
「今日の日記には何を書こうかな…」
「今日の夕飯は肉じゃがの気分なんだけれど、肉がなぁ……。野菜は腐るほどあるのに、肉はここらじゃすぐ売り切れてな……。この時間帯は何の肉かわからない肉しか売れ残っていないんだ」
「混沌の城よりも、その隣の小城に気をつけてくれ」
「差別とエレアが嫌いだ」
「最近、そこの学習書を盗む輩が多いらしいのだ」
「最近あの冒険者の噂を聞かないな」
「最後に見る光景がエーテルの美しい輝きというのも悪くない」
「祭壇がまた燃やされていたらしいよ」
「祭壇に雪を積み上げている信者がいたのだ」
「祭壇の上に物を置いていく冒険者がいるようだな。なんの意味があるのだ」
「祭壇を乗っ取るのはやめてくれ!」
「祭壇を盗む冒険者がいて困っているのだ」
「祭壇を背負った冒険者を見かけることがあるよ」
「細槍という特別なカテゴリの武器があるぞ」
「財布も荷物も持ってかれちまったが命と義手が一番高価なんだよざまあみろ。ところで頼みがあるんだが、少しお金貸してくれ。見ての通りちょっと心許なくってさ……」
「三つ目の少女が狙っているものは何だろ?」
「使徒を…食ってる……」
「子供達に読み書きを教えようと思うんです。本が読めれば、世界が広がるはずよ。ルミエストの学者さんにだって、パルミアの司書さんにだってなれるわ」
「死にたくてこの国に来たんだ。ここなら誰かが俺を殺してくれるのだろう?」
「死を受けて入れてみれば、エーテルの輝きも美しいものに見えるな。あんなに恐ろしい輝きが、今では私を導いているようにも見える」
「死んだ子供に異性の服を着せてクミロミ様に捧げると、その年は豊作になるそうだよ」
「私はな、テレポートの呪いで旅をすることにしたよ。彼女の遺したこの結婚指輪は、浮気者だった私への罰なのだから」
「視力を失った代わりに他の感覚が敏感になるみたいに、人の体って失った分をどこかで補おうとするみたいね。自ら何かを犠牲にして能力を引き上げる人も少なくないけど……」
「時々マニ信者が売店の銃器とお菓子を買い占めていくのだ」
「時々花を供えにくる冒険者を見かけるよ」
「時々思うんだ。あのムーンゲートを通れば、こんな生活から逃げられるんじゃないかって」
「捨てていいって言ったのに、まだ持っていてくれたのね……」
「邪魔な野菜を間引く冒険者がいて助かるよ」
「酒場から重そうな荷物を抱えた冒険者が出ていくのを見たよ」
「酒場のピアノはただの置物だ。少し前まではここで演奏したいって冒険者が結構いたんだけどな」
「酒場の肉料理には気をつけたほうがいいよ」
「宗教の話はご法度だ。この間紫髪のオパートス信者に病院送りにされたジュア信者がいるらしいよ」
「十三盾はどこを見て喋ればいいのだ?」
「十三盾は夢に出てきそうよ」
「獣の足跡かと思ったら冒険者だったのだ」
「獣耳のマニ信者には、注意したほうがいいな」
「宿屋は客でいっぱいだ。気持ちいいことならよそでやってくれ」
「宿帳でよく見かけてた名前がある時からぱったり見なくなってね。名前しか知らないその人が今どうしてるかなんて、そんな些細なことが気になるの」
「助けてくれ、顔の痒みが止まらないんだ。血も出てる。膿もだ。瞼も腫れて前もろくに見えない。なあ、俺の顔は今どうなってる? 頼む、パルミアにいる医者のところまで連れて行ってくれ」
「女の子の防衛者が降りてくる可能性に賭けたよ!」
「娼婦より奴隷のほうが安いよ」
「小さなメダルを見つけるなんて、幸運の女神様に気に入られでもしたのかい?」
「少し前に酔った観光客がルルウィ様の像に触れた途端突風に煽られて転倒し死んでしまった事件があった。やはり美しい女性は遠くから眺めるのが一番だ」
「信仰すべき神は機械のマニ以外にありはしないよ」
「信者が足りないなら、それ以外を消せばいいんですよ。そうすれば最後には信者だけになる。異教徒の死体は神への生贄にでもすればいい」
「心を魔物に囚われてしまったナースがいるらしい」
「新しい家かぁ…♪」
「森でプチの大量死だって? こりゃ何かあるな……」
「深淵の魔女には気をつけるのだな。ふかふかパンにされてしまうらしいよ」
「神々の休戦地の噴水に金貨を投げ入れると、神様が願いを聞いてくれるって噂なんですよ。神様としては金貨と捧げ物とどちらがいいのかしら?」
「神様に殺されるなら本望だろうよ」
「身に覚えがないだなんて言うなよ。共にジューアの連中を殺した仲間じゃないか」
「身包み剥がれて海に放り出された時は流石に死を覚悟したが、生きてりゃなんとかなるもんだな」
「人の焼ける臭いって知ってるかな? 生きたまま、ファイアハウンドに焼かれる臭いだ。目の前で火達磨になって絶叫をあげて転げ回る仲間が、やがて真っ黒になって動かなくなる。だから今もね、肉だけは食べられないんだ」
「人肌が恋しいの。お願い、今晩だけ愛してくれる?」
「刃がエーテルで出来ているんだ。これで人を刺したらどうなるんだろうねえ」
「数日前から母が行方不明なんです。どうしてかガードも取り合ってくれなくて……探すあてもなく、私は心配で心配で……」
「世の中には家に火をつけて回る者がいるらしいな。きみも気をつけたほうがいいよ」
「清掃員は人の姿をしたかたつむりも見抜いてしまうようだな」
「生きているプリン?夢でも見ているみたいだな」
「生きている剣を従えた冒険者? そうだな、あの男ならうまくやってくれそうな予感がするよ」
「生きている武器なら武器らしく、モンスターならモンスターらしく生きてもらいたいものですね」
「生娘のおっぱいに興味はあるかな?」
「聖夜祭に聖なる井戸の水を夫婦で飲むと子宝に恵まれるとか、そんな噂があるみたいよ。どこかのカップルでも唆してきたら?」
「聖夜祭の本当の由来? ……あのね、そんな寒い話してたら血だるまにされるわよ」
「聖夜祭までに鉱石を集めておくといいよ」
「青髪の幽霊の噂?聞いたことがないな」
「静寂の神を信仰してるかな」
「隻眼の商人に会ったことがあるかな?」
「赤髪の盗賊団に出会ったのなら、すぐに逃げるのが賢明だな」
「折れた刃を集めて何をするつもりなんだい?」
「雪が捧げ物の神様もいるらしいな。雪はそこら中にあるから、好きなだけ拾っていくといい」
「雪はそこら中にあるから、好きなだけ拾っていくといいよ」
「川の水が突然濁って悪臭を放ち始めた事件、上流に魔物が住み着いて、食い荒らした生物の死体が腐ってたのが流れてきてたって話よ」
「全てを司る猫『ノア』。一体、どんな猫なのかな」
「全身を『ブシフレイム』という銘で固めた冒険者がいるらしいよ」
「全身を『防衛者』の銘で固めた防衛者に会ったよ。頼りになりそうだ」
「全身を『妹』の銘で固めた妹の話はやめてくれ」
「全身を卑猥な銘で固めた冒険者は何を考えているのだ」
「待ち続ける忠犬『ハチ』の物語を知っているかな?」
「退屈だ。演奏とかできないのかな?」
「大きな胸には夢が詰まっているよ」
「大事な物をこんなところに置くなんて、盗んでくださいと言ってるようなものだ」
「大事な物をこんなところに置くなんて、盗んでくださいと言ってるようなものだろう。ベッドは置いておく? 馬鹿言え。ベッドは常に持っておくものだ」
「誰も井戸に落ちて死んだ人を引き上げないものだから、腐臭に引き寄せられた魔物が住み着いたってわけ」
「誰を賜る?」
「旦那様の大切な子猫が迷子になってしまったんです。冒険者様、どうか探して頂けませんか? 勿論お礼はさせて頂きますゆえ……」
「地殻変動で冒険者がネフィアに閉じ込められたという話を聞かないのは、オパートス様が見守っているからだ」
「蜘蛛の巣発動の長棒は見たことがないよ」
「着ぐるみのバイトに中の人はいないよ」
「仲間をネフィアから逃がそうと思って、詠唱したのは覚えてるわ。それが誰だったのか思い出せなくて。この怪我が治ったら、忘れてしまった記憶を探しに行こうと思ってるの」
「喋る生きている武器がいるらしいな。なんでも女の子らしいのだ」
「潮が引くと姿を現わすネフィアがあるんだって! 昔は地上にあったんだけど、地殻変動で海に沈んだらしいよ!」
「長い耳を狙われる事件が多いらしいな」
「奴隷として売り出された時、自分の値段に笑ってしまったね。人としての尊厳は、あそこの宿より安かったのさ」
「奴隷一人救ったところであの席にはまた違う奴隷が座るだけだよ。新しく入ったあの子まで救えないんだろう? お前さんは気まぐれで生殺与奪を握るのかい?」
「奴隷商人に売られていった冒険者がいるらしいよ…」
「東はもうエーテルの海に飲まれてしまったよ。私の故郷もすでに亡いだろう」
「討伐依頼? 誰が化け物なんかと戦うかな。あんなものは高名な冒険者様に任せてればいいのだ」
「討伐依頼? 誰が塊の怪物なんかと戦うかよ。あんなものは高名な冒険者様に任せてればいいんだ。俺みたいなのが参加したって怪物に押し潰されて惨めに死ぬだけさ。そうだな、その後の清掃になったら呼んでくれよ」
「頭三つと腕六本のカオスシェイプに会ったよ。阿修羅観音スタイルらしいよ」
「働け! 働け! お前を買ってやったのはこの俺だぞ!」
「道に迷った子供に何の関心も抱かないのね。よくあることだって見殺しにしたの?」
「背中が熱い……俺は一体どうなってるんだ……?」
「髪が延々と伸びるという呪いの巻き髪人形の噂を知っているかな?」
「彼女が何をしたっていうんだ? ただエレアとして生まれただけで、どうしてそんなことが言えるんだ? 魔女だとか悪魔だとか、軽々しく口にする母さんの方がどうかしてるよ」
「非力な妖精は秘密を隠しているらしいよ」
「不確実な契約?一日一回の確実なレイハンド?」
「普通、可愛い子をくれと言ったら出てくるのは女の子だと思うだろ?」
「普通よ、可愛い子をくれって言ったら出てくるのは女の子だと思うだろ? なんであの奴隷商人は野郎なんかよこしやがった?」
「舞踏会を武闘会にする冒険者がいるらしいよ」
「物陰で気持ちいことをするのはやめてくれ!」
「物凄い速さのかたつむり? 幻覚だろ」
「物凄い速さの狩人? 夢でも見ているのかな」
「物凄い速さの冒険者? よく気付いたな」
「物凄い速さの冒険者がいたって? お前もよく気付いたな」
「捕れたてぴちぴちの奴隷があるぜ」
「歩んできた道は自分の血を使ってでも記録しろ……先日引退した冒険者の言葉よ」
「冒険者が経営している店が増えて商売上がったりだ」
「冒険者さん、ちょっと聞いてよ! 最近畑に野犬が出てくるようになったの!」
「冒険者さんって家具の配達をしてくれるのでしょう? 申し訳ないけど、この水桶を運んでくれないかしら。川の水が汚染されるから、なかなか捨てられる機会がなくて……」
「冒険者になる神の化身もいるらしいよ」
「冒険者になる力もなく、乞食になる勇気もなく、ただ毎日を生きていただけだ。この酒が尽きたら、俺の夢も終わる。お前と話せてよかった。少しの間だけでいいから俺のことを覚えておいてくれると嬉しいよ」
「冒険者になれば、昔私を助けてくれたあの人に会えると思った。でも、こんな姿になった私にあの人は気付いてくれるかしら」
「冒険者には変わった物を収集している者がいるらしいな」
「冒険者による寒中水泳大会があったようだ」
「冒険者の噂話を聞くのも楽しいよ」
「冒険者の見た目に騙されてはいけないよ」
「冒険者同士の喧嘩に巻き込まれるのは、ごめんだ」
「防衛者! 防衛者! 防衛者! 防衛者ぅぅうううわぁああああああああああああああああん!!!」
「防衛者がいれば、魔法を安全に鍛えることができる」
「防衛者が既婚でも泣かないよ」
「防衛者というすばらしい下僕がいるそうだ」
「防衛者の治癒の雨は周囲の仲間も回復できる」
「防衛者の写真が大量にばら撒かれていたのだ。何か知らないかな?」
「防衛者はかわいいぞ!」
「防衛者は最速五分で賜れる」
「防衛者は赤い花を咲かせる際に便利だ」
「防衛者は野外に落ちているクズ石だけで賜れる」
「防衛者は友好度がどんなに低くてもレイハンドで助けてくれるぞ!」
「防衛者を願うと防衛者のポーションが足元に転がってくる」
「防衛者を賜ると、誰かがたまらなく喜ぶだろう」
「防衛者を賜るといいことがあるそうだ」
「防衛者を賜ればもちも平気で食べられるようになる」
「防衛者を探している女の子がいたが、心当たりが多すぎるな」
「僕の妻が迷子なんですよねえ。この港は広いですもんねえ。いやあ参ったなあ」
「魔術師ギルドのギルドマスターの私室には、立派な椅子が置いてあるよ」
「魔術師のムーンゲートが異世界に繋がることがあるらしいよ」
「魔物の牙に、見覚えのあるペンダントが引っかかっているのを見つけてね。私が誰かの仇を討ったのかもしれないし、この魔物がもしかしたら、私の知っている誰かかもしれない。誰にも分からないの」
「魔法使いにしか見えない家があるらしいな」
「妹がきみを探していたよ。教えた方がよかったかな?」
「毎日毎日、飽きもせずによく掘るねえ」
「夢なんて見るものじゃない。冒険者になってわかったことはいっぱいあるわ。夢を追った先の現実を見て、その時思うのよ。どうして憧れで冒険者なんかになったんだろう、ってね」
「命が惜しければあの井戸の水は飲むなよ」
「命をかけて人を助けようだなんて、馬鹿げてるね……」
「麺料理にうどんってあるでしょ? あれには狂信者がいてね、うどんを茹でることで水不足になる村があったり、茹でる水が無ければポーションや血で茹でていた……なんて話もあるそうよ」
「目の前で店主が見えざる手に葬られたことがあったが、無実だ」
「餅を求める冒険者に会ったら譲ってあげるといいよ」
「野菜泥棒はもう見慣れたよ」
「野菜泥棒対策に、このあたりの野菜だけ呪われた水で育てたんだ」
「癒し手に解呪を頼むのはやめた方がいいよ。お金を搾れるだけ搾るのだ!」
「幽霊のような墓守が現れることがあるらしいな」
「傭兵になる力は? 娼婦になる器量は? ネフィアでクズでも集めれば金にはなるだろうが、冒険者になる勇気すら持ち合わせていないんだろう? そんなお前に、何の価値があるんだ?」
「妖精がやっている薬屋があるらしいな」
「妖精のコロニーを見つけても妙なことはしない方がいいわ。いつの間にか持ち物を盗まれてたりバックパックにゴミを詰められてたりするかもよ? あくまで友好的に。友好的に……」
「来年に向けて、冒険者と親交を深めておいたほうがいいよ」
「律儀に納税しようとする犯罪者を捕らえる仕事だ」
「竜巻で巻き上げられた魚が陸地に降り注ぐのを『エヘカトルの気まぐれ』と呼ぶそうよ。生ものが降ってくるのは困りものよね」
「旅の商人に手を出して返り討ちにあった奴がいるらしいな」
「緑髪のエレアには気をつけたほうがいいな」
「緑髪の女の子の集団に会ったのだ」
「緑髪の妖精に騙されたのだ」
「隣町の医者まで連れて行くだけ。だが、彼の命は持たなかった。ただそれだけだ」
「腕一本で主が救えるなら、安いもんさ。おれの代わりの防衛者はいくらでもいるけど、主は主だけなんだから」
「巫女の少女が兄を探していたのだ。何か知らないかな?」
「綺麗な翼でしょう? あんたなんかが到底辿り着けない黒なのよ?」
「遙か昔、イルヴァには忘却の神がいたという話は知っていますか」
あなたはポストを開けた。中で妖精が眠っていた。
あなたは井戸の水を掬った。それは赤黒く濁っていて飲めそうにない。
あなたは井戸の水を掬った。腐ったような異臭がする。
あなたは一瞬嫌な予感がしたが、それはやがて消えた。
うずくまる娼婦が何かを歌っている。
かつてはネフィアがあった場所だ。しかしここにはなにもない。
すぐ近くで何かの声が聞こえる。「お兄ちゃん♪お兄ちゃん♪」声が遠ざかるのを待った。早くここから移動しなくては。
どこからか何かの声が聞こえる。「お兄ちゃん?」物陰に隠れて通り過ぎるのを待った。
どこからか何かの声が聞こえる。「お兄ちゃん?お兄ちゃーん」 …息を潜めてやり過ごした。
どこからともなく漂うご馳走の匂いで、あなたの胃は不満を叫び始めた。
ぬかるんだ地面に残されていた足跡を頼りにネフィアへの道を探していたが、それは血溜まりで途絶えていた。
悪意のある手が忍び寄り、あなたが気付かない間に金貨を奪って逃げた。
井戸の中から人の声がする。やがてそれは悲痛な叫び声に変わり、じきに何も聞こえなくなった。
遠くに暗い雲が見える。しかしそれは放電雲の群れだった。
遠くの空に黒い靄が見える。何かが大量にこちらへ向かっているようだ……。
穏やかに微笑む修道女から死の臭いがする。
下を向いて歩いていると、幸運にもプラチナ硬貨を見つけた。
何かとすれ違った気がした。
何かに追われているような気がする。早く移動しなくては…。
何かの足音が近付いてきている。早く移動しなくては…。
何かの足音が近付いてきている。物陰に隠れて通り過ぎるのを待った。
何か物音がした。穏やかな雰囲気の青年とエレアの少女が密かに逢引していたようだ。
何か物音がした。物陰から痩せ細ったエレアの兄妹がこちらを見ていた。
怪しい館がある。女の笑い声が聞こえる。
怪しい館がある。人の気配は感じられない。
懐かしい友からの手紙だ。
絵画の裏に、同じ構図で、しかし一糸纏わぬ姿で杯を傾ける癒しの女神の姿が描かれていた。
街の子供が、醜いカオスシェイプに石を投げつけている。
朽ち果てた剣が突き立っている。かつてここを守った英雄が眠るらしい。
胸元をはだけた娼婦があなたを見つめて手招きした。
空の酒瓶から宝の地図が出てきた。何の手がかりもない雪原に赤い丸が書かれている。
軽快な足取りの少女がすれ違いざまに猫のように鳴いた。振り返ったがそこには誰もいない。
軽快な足取りの少女がすれ違いざまに猫のように鳴いた。振り返ると眼鏡越しに目を細めて笑った。
見覚えのある顔が指名手配書に描かれている。
見世物小屋がある。純白の翼を持つ少女が鳥籠の中で歌っている。
見世物小屋がある。世にも珍しい、涙が鉱石に変わるエーテル病の少女らしい。無言の観客の視線が、泣くことを強要している。
見世物小屋がある。美しいエレアの下半身が木の根のように変質している。
古びた魔法書に地図が挟まれていた。書かれた目印はこの近くの井戸を示している。
香ばしいパンの匂いがする。
今日はリュンが顔を見せている。
三つ目の少女がこちらを見ている気がした。
主を失った牧場で、飢えた家畜が共食いを始めている。
獣耳の吟遊詩人が語っている。黄金郷と呼ばれるネフィアの伝説らしい。
獣耳の吟遊詩人が語っている。頭に爆弾を抱えた冒険者の話らしい。
焦点の合わない少女が聞き覚えのない名前であなたを呼んで駆け寄ってきた。
新米らしい冒険者が、酒場の隅で震えている。
石ころにつまずいて転んだ拍子に、あなたは幾つかのマテリアルを見つけた。
鮮やかな植物を抱えた妖精から懐かしい花の香りがした。
前を行く少女の影が千切れて消えた。
全身を着飾った多足の犬がこちらを見て唸っている。
足が宝箱の下敷きになって死んだ冒険者だろうか。
苔生した癒しの女神像が転がっている。
大富豪が金貨をばらまいている。我先にとそれを拾い集める醜い人々を眺めて笑みを浮かべた。
大富豪が金貨をばらまいている。彼には金貨が虫のように見えているらしい。
致命傷を受けた魔物の腹から、腐った人形がこぼれ落ちた。
泥のような眠りに誘われている。
鉄格子の間からいくつもの白い腕がこちらに伸ばされる。地獄の亡者と何も変わらない。
東の空がやけに青白い。エーテルの風がすぐそばまで来ている。
突然、向かいからやって来た一人の神官が、すれ違いざまにあなたに魔法をかけた。「ノープロブレム」
肉の塊のような醜いカオスシェイプがのたうっている。
薄汚れた少女がこちらを見ていた。
爆発音に驚いた鳥たちが森から飛び出していく。
発狂した金持ちが、何か叫びながら金貨をばらまいている…
包丁を後ろ手に隠した少女が親しげに男性に話しかけている。
放電雲のせいで混沌きのこが増えているらしい。
豊かな白い髪の少女が巨大な槌を軽々と抱えている。
冒険者が火吹き芸を披露している。
冒険者のスカートの裾から竜の尾が覗く。
冒険者の遺骸がある。しかし埋葬している余裕はなかった。
冒険者の遺骸がある。金になるものは何もかも奪われた後のようだ。
冒険者の遺骸を見つけた。あなたは遺留品をあさった。しかし何も見つからなかった。
冒険者の遺骸を見つけた。あなたは骨と遺留品を埋葬した。
冒険者の遺骸を見つけた。遺骸を漁ったが、めぼしいものは見つからなかった。
冒険者の野営跡がある。しかし何も見つからなかった。
冒険者の野営跡を漁った。めぼしいものは見つからなかった。
冒険者の野営跡を漁った。血に塗れた包丁を見つけた。あなたは恐ろしくなった。
無い腕を摩りながら乞食が何かを求めている。
無残に殺された子猫の死体がある。魔物に襲われた傷跡ではないようだ。
無数の頭を生やした首の長いカオスシェイプがあなたを見下ろしている。
野ざらしの遺骸が大事そうに抱えていた荷物から出てきたのはいくつかのディスクと数ヶ月前の雑誌だった。
幼い子供が愛しげに名前を呼ぶような幻聴が聞こえる。
妖精の囁き声が聞こえる。
翼の砕けた風の女神像が転がっている。
路地裏で少女がごろつきに囲まれている。しかしその表情に恐れはない。
牢の向こうからいくつもの虚ろな目がこちらを見ている。
罠にかかったコボルドの死体だ。
襤褸を纏った老女が、行き倒れた冒険者の死体を漁っている。畳む
ティリスの風@tyris_windのログまとめです。
talk.txtや%txtCalm,JPのようなイメージ。
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「……。どうしよう。《プチでもわかるすくつ攻略》を読んでも全っ然わかんない。私プチ以下かもしれない」
「……あなたは、こんな絶望を抱えて生きていこうというの?」
「……あの人。手配書で見覚えない? エーテル病で姿を変えてるみたいだけど、雰囲気と、ほら、あの歩き方は足を痛めてるものよ」
「……結構強い吸血。マゾでもない限り使えそうにないわ。前に持ち主がいたのかしらね、持て余して捨てられたのか、剣に囚われて倒れたかのかしら」
「『祝福された思わず見入りそうなオブシディアン細工の気絶しそうなほど素晴らしいおみやげ』。一度見てみたいな」
「『世界最高の雪だるま』を子供に壊されてしまったのだ……」
「『迷い犬預かっています』……なんだか見覚えのある子犬ね?」
「あ、あなたは……いえ、すみません、人違いでした。……その剣に見覚えがあって。昔、魔物の牙から助けてくれた冒険者の振るっていた剣ととても似ていたの。でも、名前も知らないあの人とあなたは別人だとはっきりわかるから……」
「ああ、あの時の冒険者さん。あの種は全て枯れてしまったよ」
「ああ……なんて心地良い電波だ……お前には聞こえないのか? マニ様の御声が…」
「あいつはまた結婚するのかい? ご祝儀を用意する方の身にもなってくれよな」
「アクリ・テオラの異端者どもを残らず殺せ」
「アクリ・テオラ名物『らむぇ』は永劫に飛びたくなる味らしいな」
「アクリ・テオラ名物『リトル饅頭』、これを食べると子沢山の大家族が作れるそうだ」
「アクリ・テオラ名物『残りカスタードケーキ』は懐かしい思い出の味がするそうだ」
「アスールの秘宝を持っている冒険者を見たのだ」
「あそこでドレイクに食われる命が、俺ではなくあいつに変わっただけだ。わざわざ俺を助けたんだ。代わりに犠牲になっても構わないんだろう?」
「あそこに倒れてる少女。もうすぐ死ぬな。あいつが持ってる鉱石はエーテルの結晶だよ。きっと宝石にでも見えていたんだろう。……可哀想だと思わないことだ。ああいうのは、どこにだっている。放っておけばそのうち死体屋が処理しにくるさ」
「あそこのカジノのダーツバーでよく見るあの男の人。かつては冒険者で投擲の名手だったのよ。ただのダーツ好きだと思ってたでしょ?」
「あそこの癒し手に解呪を頼むのは止した方がいいわ。お金を搾れるだけ搾るのよ! おかげで財布はすっからかんよ。これなら劣悪素材の巻物で生ものにして食べちゃった方がマシだったわ。ああ、こんなものに振り回されるなんて……」
「あなた、見て。あの子が戻ってきたの。きっと迷子になってたあの子を女神様が導いてくれたのね。今度はお母さんを置いてどこにもいかないで」
「あなた、油膜の張った泥水の臭いを知っているかしら? 腐ってドロドロになった残飯の味は? それに比べたら、体を売るなんて大したことなかったわ」
「あなたさ、好きな人を救うことができない経験、したことないでしょ」
「あなたの正義のために、いったい何人のエレアを殺してきたの?」
「あなたの目には、このおぞましい魔物が妹に見えるのか?」
「あなたの優しさが、私を魔物にしてしまったのよ」
「あなたはイェルス側についた。そういうことでしょう?」
「あなたは神を信じますか?」
「あなたも僕を殺しに来たの? それともこの剣が欲しいのかい? どっちもできない相談なんだ。この剣は生きている上に呪われている。宿主である僕を死なせるわけにはいかないみたいなんでね」
「あの! このあたりで小さなメダルを見かけませんでしたか? 友人から貰った、大切なメダルなんです……」
「あの…一晩でいいので、買ってくれませんか」
「あのネフィアはもう長くは保たない。次に大きな地殻変動でもあれば、跡形もなく消え去ることでしょう…」
「あのピアノはただの置物さ。ちょっと前まではここで演奏したいって奴が結構いたんだけどねぇ。あの赤髪の軍人が来てからはとんと消えちまった。あの偉そうな将校さん、音楽にはうるさいんだってサ」
「あの煙かい? 魔物の毛皮を焼いてるのさ。酷い臭いだが、ああすれば魔物が寄ってこなくなるんだよ。ルミエストの魔道具なら、こんな悪臭を嗅ぐ必要もないんだろうがね」
「あの花はあなたのように熱く燃え上がるような赤をしているわ。うふふ、とても綺麗ね」
「あの救いの手を疑わずに取っていれば僕は今頃どうしていたのだろうか」
「あの吟遊詩人も馬鹿だねえ。今まで投げられた石を集めて女神様に振り向いてもらおうだなんて心に響くものが全くといってないよ」
「あの黒猫、お腹怪我してるのにどうして誰も助けてあげないの?」
「あの子と付き合うのはやめなさい。エレアと関わってるだなんて知れたら、お前までなんて言われるか……」
「あの子の四つの瞳で見つめられると、俺まで病気になりそうだ」
「あの子はこんなことを言う子じゃなかったのにどうしてかしら……やっぱりあのエレアは人を誑かす魔女だったのよ」
「あの子を売った金で今の私があるの。恨んでいてくれると嬉しいな」
「あの子供、あの見た目で体重ぎっしり詰まってるなんて全くどういう質量してるのよ」
「あの指輪があれば、妹の病気もきっと治る……」
「あの人から自由を奪ってしまったらどうなるかなんて、あの時はわからなかったのよ…。彼にとっての冒険は何か、なんてわかるわけないじゃない! 冒険なんて危ないことはもう止めてほしかったの! ただ私と一緒にいて欲しかっただけなのに…」
「あの人はいつも通りに家を出たわ。だからいつも通りに帰ってくると思っていたの。でもね、帰ってきたのは左腕だけだった」
「あの像に触れたらルルウィ様の怒りを受けるんだ。大雨が降り続けたり、嵐になることもあったね」
「あの冒険者の話を聞きたいって?」
「あの魔術士は人嫌いらしくて、自分の家自体にインコグニートをかけて気配を誤魔化しているの。その地図に従って進めばきっと辿り着ける……はずよ。多分。引越しさえしてなければ」
「あの木は昔ここに住んでいた冒険者が根を下ろしたものだと言われているわ」
「あはは、聞こえる。終末の音。ドラゴンの群れが来るのよ。あなたは天使様。痛くしないで。思い出も焼き尽くして。何もかも飲み飲んじゃえ…」
「アリーナ? 参加したって怪物に押し潰されて惨めに死ぬだけだよ」
「アリーナ?参加したって怪物に押し潰されて惨めに死ぬだけだよ」
「アルローニアの匂いが好きだと言うと変な顔をされるのだ……」
「アルローニアの匂いが好きだと言うと変な顔をされるのだ」
「アルローニアの匂いを嗅ぐと、なんだか心がふわふわするの」
「あんたクラムベリーやってんでしょ。隠してもわかるわよ」
「あんたなんか神じゃない! 私の頭から消え去れ!」
「あんなのと結婚するなんてとんだ物好きがいたもんだよ。お幸せにな」
「いいか、よく聞け。俺は差別とエレアが大嫌いなんだ」
「イカサマはバレなきゃイカサマじゃないよ。窃盗もバレなきゃいいのだ」
「イツパロトル様は、見る者によって姿かたちが違う神らしいよ。…え?キウイ?」
「ヴァリアントによっては、女性の防衛者も賜れる」
「ヴェルニースの酒場の裏メニュー、特製コロッケを知ってるかな?」
「ヴェルニース北西ではよく爆発が起きるらしくてね。うーん、坑道のガスか何か?」
「ヴェルニース名物『紅い恋人』。その味には石を投げたくなるらしいよ」
「うちの商品は新鮮だ」
「エイリアンなんて恐ろしいものが生まれてしまったら、この村はもうおしまいだ。頼む、俺たちの為に死んでくれんか」
「エイリアンにペットを汚されたくないな」
「エーテル病で羽が生えたり首が太くなって着れなくなった服をリメイクする仕事が流行ってるんだって。お気に入りの可愛い服が着れなくなるのは悲しいからね」
「エヘカトルの気まぐれがあらんことを」
「エヘカトル様の中に封印されし神がいるらしいな。それがクミロミ様の言う『かつてのエヘカトル』なのかな?」
「えへへ。ヘマしちゃった。おかしいなあ……スティックパンひとつくらい、バレるはずないと思ってたのになあ……」
「エレアってやつらは、エーテルの中でも生きられるんだろう? 俺たちみたいな普通の人間を淘汰した後に伸び伸び暮らしていくつもりか?」
「エレアの二人組に会ったのだ。美しい女性と、何か嫌な予感のする緑髪の…」
「おい、ありゃあ『最後の傷チーム』じゃねーか……。絶対目を合わせるなよ。そして奴らの前に出るな。持ってかれるのは金だけじゃ済まねえぞ」
「おいおい、どこ見て歩いてんだ? 薬でもやってんのか?」
「お花、いりませんか。赤い花も、青い花も、ここにはあなたの求める花が、きっと……」
「お願いだよぉ、あたいを買っておくれよぉ。家で子供が待ってるんだ……」
「お願いです、お水を頂けませんか、一杯でいいんです、綺麗なお水を……」
「お前さんは雄じゃないか。端から興味ないよ。さあてミシェーちゃん!気持ちいいことしない?交接しよう。和合で、激しく前後しよっ」
「お前の価値はお前の食事一回分よりも低いんだ。この意味がわかるか?」
「お前の母さん、美味しかったぜ」
「お前みたいなよそ者がダルフィに何の用だ?」
「お前も冤罪で捕まったのか? 財布を届けて捕まるなんて災難だったなあ。私も人助けなんて二度としないと思ったね」
「お前らの信じる機械の神は、人の神でもあるのかね?」
「お母さん、あの人の血はどうして緑色なの?」
「カザーナル、フフレイ、ギザサード、トミギスタン、墓に入れる死体もない、俺の仲間の名前だよ」
「カジノ・フォーチュンクッキー。あそこのでイカサマがバレたら黒服にどこかに連れてかれるから気をつけて。わざとバレバレのイカサマして相手の陣地に乗り込む冒険者もいるようだけどね」
「かつては私も冒険者だったが、膝にクイックリングの矢を受けてしまってね」
「カプール名物『スターボール』。全10種類のオマケ付きで蒐集マニアにはたまらない一品らしいよ」
「かわいそうに。ジュア様の呪いを受けてしまったのね」
「キマシの塔というネフィアを知っているかな?」
「きみは確か…人違いか。気にしないでくれ。最近似たような顔の冒険者が多くてな……」
「きみもレシマスに向かう冒険者なのかな。幸運の女神の微笑みを!」
「グウェン、お願い、目を開けて……」
「クズでも必要としている人がいることもあるよ」
「クズ石だけでアーティファクトまでもらえる神がいるらしい」
「クズ石も集まれば金以上の価値になる」
「クミロミ信者にはおかしなものが多いらしいな」
「こ、殺さなきゃ。あの方のために殺さなきゃ。死体がたくさん。足りない。もっともっと集めて、最愛のシモベだって褒めてもらうんだ」
「ここでは家具の配達は行っていないようだね。お前さんも衝動買いには気を付けたまえよ」
「ここでは助けを求める人間が大勢いる。だから誰も助けてはくれないのさ。それが常識になってしまったから、誰も特別なんかじゃないんだ」
「ここで見たものは忘れなさい。あれを思い出すたびに、あなたの狂気が深まってしまうのだから」
「ここに六本の酒瓶があるな? どれかひとつを選ぶといい。お前の忠誠心と幸運の女神の寵愛を試させてもらうぞ。安心しろ、その後のことはこちらでなんとかしてやる」
「ここの井戸水は飲まない方がいいぞ」
「ここの調理器具は冒険者のために無料で開放されているんだ」
「ここの壁を修復してくれる者はいないから気をつけてくれ」
「この絵を描いた画家は、神様に魂を持っていかれたそうだ」
「この街に来るかたつむりは一体何を考えてるのだろう」
「この街の近くには天使が住んでいるらしいよ」
「この街の近くには魔女が住んでいるらしいよ」
「この街の周辺には沢山の冒険者が住んでいるよ」
「この街道を進めばパルミアだ。最近盗賊団が出たという話はないが、気は抜かないようにな。それではよい旅を」
「この顔に見覚えはないか? 虫も殺せないような面をしてるが、道具屋の店主を殺して今も逃亡中の悪人だ」
「この近くで銃声が聞こえたのだ。気のせいだったかな」
「この近くに出来たパン屋が噂になっているらしいよ」
「この近くに沢山の花が咲いている冒険者の家があるらしい」
「この近くに美味しいパン屋があると聞いたが、行ったことはあるかな?」
「この近くのお城には近づかないほうがいいな」
「この死体をあの冒険者のとこに持っていったら干し肉に加工してくれるのよ。もちろんタダじゃないんだけど、エーテルの風が吹く前の食料を店で買うより安く上がるんだから助かるわ」
「この種を蒔いてな、大きな畑を作るんだ。そうしたら、子供たちを飢えさせずに済む……」
「この人殺し! あんたが逃げなかったら、お姉ちゃんは助かったかもしれないのに! そうでなくても、遺品くらい……どうして……」
「この大使館はバリアフリー化の工事を進めているのだ」
「こらこら、勝手に下水道に入ってはいけないよ」
「これでもあいつは許嫁だったんだよ。親に決められた相手だったけどさ。多分思ってたより好きだったんだろうな。今更気付いても遅いんだろうけど。俺はあいつを守れなかった。それだけなんだよ」
「これは東の国で作られた、エーテル病によく効く薬だよ。お前さんがよければ安く譲ってやってもいいが、いくらなら出せる?」
「こんなにジュア様の信者が増えるなんて、今夜は眠れないな」
「こんな噂を知ってるか? クイーン・セドナは幽霊船になって未だ海を漂ってるってな。そしてもう一つ。セドナにはお宝がそのまま眠ってる。……なあ、言いたいことはわかるよな?」
「こんな汚れた街に神官か……」
「さあ、坊やたち。エヘカトル様にお祈りは済ませましたか?」
「さあお行き。何が聞こえても、決して振り返ってはいけないよ。その先に見えるのは悍ましい異形だけなのだから」
「しきりに出入りを繰り返しているあの冒険者は何だろ?」
「ジュアを信仰せずに防衛者をペットにする方法があるという」
「ジュア様の抱き枕はもう貰ったかな?」
「すごく仲の良かった相棒を失って、冒険者をやめた人の話。魔物に襲われて、遺体も遺品も何一つ取り戻せなかったらしいの」
「スナックばかり食べていると後戻りできなくなるよ」
「そうさ、ここにいる俺たち全員、この肉が何の肉かわかってる」
「そうそう、仲間は救えなかったけどさ。あのまま助かったところで、全身に酷い火傷を負った女がどうやって生きていけると思う? 娼婦にも乞食にもなれないあいつはあそこで死ぬしかなかったんだよ」
「そうだな。いい奴だったよ……って言うしかねぇだろうな。そのくらい、あいつはどこにでもいる冒険者で、よくある最期をネフィアで迎えたんだ」
「その薬草はカレーにするといいぞ。なんたって苦くて食えたもんじゃないからな! カレーにすればネズミの肉だろうと苦い薬草だろうと何でも食べられるってもんよ」
「だからあれほど矢束や弾丸は耐酸コーティングしろと言ったんだ。諦めてそこの店で新しいのを買うんだな」
「だからこう言ってやったのよ。あんたのペットになるくらいなら死んだ方がマシね、ってさ」
「たとえ姿形が変わろうと、私の大切な娘なんだ。ほら、挨拶するんだ。……今だって誰にも迷惑はかけていないだろう。モンスターなんかじゃない。どうか見逃してくれないか」
「ダルフィの料理店で安い肉料理を注文するのは止めておいた方がいいわ。どんな肉が使われていても気にならないなら止めはしないけど」
「ダルフィ名物『心臓チョコ』。思わず心が盗まれそうだ」
「ちょっと遊ぶために若い女奴隷を買ったんだが、よくよく聞いてみりゃ俺より何十も年上だったんだ。でもそれが意外にも悪くなかった。悪くなかったんだ」
「どうしてですか? わたしとあるじとの思い出を、どうしてあなたが奪おうとするのですか?」
「どうして殺してくれなかったの。どうして死なせてくれないの。どうして私は死ねないの……。私を殺してよ、パパを殺した私を殺して!」
「どーも、旅の人。新しい奴隷が入ったよ。なんだい、違うのかい。この町に来る冒険者は大抵奴隷目当てなもんで、てっきりね。でも少ーし見ていかないかい? 美しい髪のエレアや、没落貴族のお嬢様もいるぞ。肉体労働にジューアの戦士なんてどうだい?」
「どこぞのネフィアから命辛々脱出して来たんだろうな。見つかった時は意識は朦朧としていたし、酷い怪我だった。うわ言で仲間の心配をしていたようだが……見つかったのは彼女一人だ」
「ドラゴンの心臓は珍味としてお金持ちに人気なの。血の滴る新鮮な心臓を生で食べると頭が良くなるんだとか。……胡散臭いわね?」
「どんなクズでも必要としている人がいることもあるよ」
「な、なんだよこの音……足音か? 壁の向こうから……おい! こいつはやべえぞ! このネフィアの主がお怒りだ!」
「なるほど。そいつはこんな顔をしていましたか?」
「ねー、見てー! この鉱石の欠片きらきらしてきれいでしょー!」
「ネフィアで見つけた生物が新種であることを証明できたら、その生物の名付け親になれるそうよ。でもさ、そんなの私たちには分からないわよね。新種ってことに気付かずに討伐してたりして」
「ネフィアなんて二度とごめんだ……仲間が目の前で殺されたんだぞ! 俺は何もできなかった……あいつらが勝てない相手に俺が勝てるわけないだろ! 誰かを囮にして逃げれば命だけは助かると思って……」
「ノイエルへの街道で、血に染まった雪を見たんだ。今やどこにも安全な場所なんて……」
「ノイエル名物『エボン酒』は喉が灼熱になる飲み心地らしいよ」
「ノエルの傍にいる冒険者?たしか記憶喪失らしいよ」
「ハーブの種を使うか捧げるかはきみ次第だ」
「ははっ、俺たちが一番乗りだぜ! 残念だがあんたに残すお宝の余裕はねえよ!」
「パルミアの祭壇を使わないなんて珍しいな」
「パルミアへようこそ」
「パルミア王の暗殺は異形の森の魔女の仕業らしいが…本当にそうなのかな」
「パルミア名物『スターシャーベット』は、少し物足りないような芳醇な味わいで有名よ」
「ビビったら負けだ……あいつさえ倒せば、俺はこのネフィアの覇者になれる……」
「ピラミッドの近くに住んでいる鍛冶屋の工房では雪が降ることもあるらしいな」
「フェアリーダストを光にかざすときらきら綺麗なの」
「プチをペットにするのは珍しくないが、まさかあそこまでプチ狂いとは」
「プチを繁殖させて食料にするのはどうだろう。あいつらは何でも食うから、育てるのは簡単だろう?」
「フハーン?」
「ふふ……こんな姿では、魔物の方がマシというもの。どうか醜い私を見ないでくれ」
「へぇ、何でアンタみたいな強そうなのが護衛される側に? 探してる奴がいる? ってことは自らを囮にってことですかい。理由を聞かなかったとはいえ、もしもの時はアンタを置いて逃げますよ俺は。構いませんね?」
「まさかお前さん、プチに生肉を与えたのか? それはいかんぞ。血肉の味を知ったプチは処分しなければ恐ろしいことになる」
「マテリアルの『お湯』を瓶か何かに移して、寝る前にベッドに入れておくと温まるよ」
「マテリアルの『わめく狂人』ってどんな風に保存してるかな?」
「マナの乱れを感じたら、すぐにその場を離れたほうがいいよ」
「マニ様の信者は熱狂的な者が多いな」
「マニ様への捧げ物を買いに来たのかな?」
「ミシェー……フレナート……どこに行ったんだ……? おまえたちがいないと俺は……」
「ミジンコは安定しているね。最近になって、セミの売れ行きが上がって入荷が遅れている事態なんですよ。目当ては魚ではないらしいが、あなたは何かご存知で?」
「ムーンゲートを持ち上げられるくらい強くなりたいのだ」
「メイルーンには大食いトドの腹の中に鳥を詰めて発酵させた食べ物があるの?」
「もっとぶってマニ! なじってマニ!」
「モンスターの血を浴びてたからつい拾って来ちゃったのよ。喋る武器は私も初めて見たのだけど、これって珍しいのかしら? それとも新種だったり、実はモンスターだったり」
「モンスターを轢いたって? あのな、ただでさえカブは貴重で部品が足りてないんだぞ。修理したいってんなら、アクリ・テオラの近くにあるネフィアから適当な機械を拾ってきてくれ」
「やだ、なにあの乞食。この町にはあんなのがいるの?」
「ヨウィン名物『無邪気ジャーキー』。なんでも病み付きになる味らしいよ」
「よくも母を殺したな!」
「ラーナ名物『温泉卵』の殻は鮮やかに染色されているそうだ」
「リッチの無邪気な少女は、人型のプチを連れているみたいだ」
「リトルシスターという生き物の肉は物凄く美味しいらしいよ」
「リトルシスターという魔物の肉…どんな味がするのだろ」
「ルシとうさぎ亭に行くならカプール支店がオススメよ。逆にルミエスト支店は値段の割りに質が悪いのよね」
「ルミエストのお土産屋さんであの子の髪を編み込んだ魔除けのペンダントを作って欲しいな」
「ルミエストへ続く街道のある地点には、盗賊団も避ける場所があるって言うのよ。なんでも最近、盗賊団の首領が何者かに狙撃されたとか」
「ルミエスト名物『ルルウィスキー』は味も素晴らしいが、芸術的な瓶のコレクターも多いらしいよ」
「ルルウィ様はお尻を出しているわけではなく、お腹を隠しているらしいな」
「レシマスが空洞にされていたらしいよ」
「レシマスにはどんな食材があるのだ?」
「ん……? よく見ればまた君かい。よくもこんなに大量の財布を見つけてくるものだな」
「暗殺の依頼とはまた物騒だねえ。確かにうちではなんでも請け負ってはいるけどさ。それじゃあ対価にお前さんの心臓を頂こうか。人の命を奪うんだ。釣り合うものはそれくらいだろう?」
「以前見かけた画家の冒険者は、ネフィアの探索よりも記録を目的としていたわ。遺跡の壁に刻まれた模様や魔物の種類でそのネフィアが出来た時代を考察してるんだって」
「異形の森の武器の使い勝手は素晴らしいな」
「異形の森の魔女を狙う冒険者がいるらしいよ」
「異端者は見せしめに吊るしておけ」
「遺品のひとつも無しに、あの人が死んだって言われて簡単に信じるなんて私にはできない。あの人は生きてる。私にはわかるわ」
「井戸の中に住む魔物を殺す為に毒を投げ込むなんて、水なしにどう生きていくつもりなんだ?」
「一年に四回、季節の変わり目にエーテルの風は訪れるわ。悪魔の風は悪いものを運ぶから、風が強い時は外に出るのは避けた方がいいかもね」
「羽の生えたかたつむりが飛んでいるのを見たことがあるな」
「運び屋の男を見たことがあるな」
「煙草を吸う器用なプチがいるらしいな」
「遠い国は既にエーテルの海に沈んでるって聞くけど、それはどんな光景なのかしらね。そう言ってエーテルの風対策をして旅に出た冒険者の話はそれ以来聞かないわ」
「王を殺した罪人は、まだこの街に潜んでいるって噂よ。……あなたもお気をつけて」
「黄金の鉄の塊の騎士は飲み物を奢ってくれる謙虚な方だ」
「黄金郷の話を知っているかな? この世界のどこかに、黄金が眠るネフィアがあるそうだよ。キミも見てみたいと思わないかい? 夢を、理想を。誰も到達したことのないネフィアの先を」
「俺のルビナスよりあいつのルビナスの方が大きくないか? ……なあ、あんた冒険者だろ。ひとつ頼みがあるんだが……」
「俺の水にクリムエール混ぜた馬鹿はどこのどいつだ!」
「俺は娼婦ではないよ。よそへ行ってくれ」
「温泉に魔物を連れてくるのはやめてくれ」
「下界に送り出した黄金の騎士が男の子になってオパートス様が泣いた事件。興味深いな」
「下界に送り出した防衛者が女の子になって泣きながら帰ってきた事件。興味深いな」
「下水道を封鎖したって、蔓延る魔物が消えるわけじゃないのに……」
「何せ名もなき画家なんだ、おひねりならこの箱にでも放り込んでおいてくれ。その金貨の音は彼女も喜んでくれるはずさ」
「何なのだ、これは!どうすればいいのだ!」
「何考えてるか分からない。怖い。あいつらは私を閉じ込めたまま。……。このまま私は腐れて逝くのかな? ……言ってやらなくちゃ、言えばよかった。もう戻りたくない、助けて」
「家のメイドはガーンナと言うのだ。きみのメイドの名前は何かな?」
「家出少女は冒険者になるか娼婦になるかだな」
「火炎樹の木片で作った燻製肉は美味しいらしいね。それ目当てで木片の調達依頼が出されてることがあるけど、なかなか見つからないみたい」
「我々が発行している雑誌で、かけだしの冒険者特集でもやろうと思ってね。匿名や偽名でもいい。この紙に載ってるいくつかの質問に答えるだけさ。勿論報酬も出るからやってみる気はないかい?」
「我々の縄張りを荒らさないでくれないかな?」
「我が家のメイドはガーンナと言うのだ。きみのメイドの名前は何かな?」
「蟹でもできる仕事か。そろそろ俺も働きに出ないといけないな」
「蟹でもできる仕事か。そろそろ働きに出ないといけないな」
「街中を採掘するコウモリがいて困っているのだ」
「街中を採掘する猫がいて困っているのだ」
「角と尻尾の生えた子なら、ノイエルに向かうと言っていたよ」
「乾燥ストマフィリアを食った奴が緑色のゲロゲロを撒き散らした挙句死にやがった」
「機械の神とやらに祈ってろ!」
「帰って! 仲間仲間ってあなたたちはいつもそう。仲間だったらどうしてあの人を助けてくれなかったの。今だってネフィアで一人きりなんだわ」
「帰ってくれ。冒険者に売るものなんて何もないよ」
「気持ちいいことなんかに屈したりしないよ」
「季節外れのエーテルの風で友人とはぐれたのだ」
「吸血鬼は魔性の者だ。魅入られても仕方がないな」
「巨人の枷が外れていたら逃げたほうがいいよ」
「巨大な柱かと思ったら冒険者の足だったことがあるのだ」
「教会の聖なる井戸が冒険者のせいで枯れてしまったらしいな」
「橋にかかる濃霧の中に、白い天使の姿を見たのだ」
「胸は小さいに限るな」
「吟遊詩人の英雄譚は、面白いものね。だからあなたもあの冒険者は英雄だって信じていたの? 私が聞いたのは、仲間を犠牲にして魔物を打ち倒した生き残りってお話よ」
「銀髪の狩人には気をつけるのだな。あの男に目をつけられたらひとたまりもないだろ」
「銀髪の妖精を知っているかな?彼女のガイドなら安心だそうだな」
「空いている祭壇は自由に使っていいらしいよ」
「結婚指輪や結婚首輪、ペンダントにペリドット。品揃えには自信があるのに、皆様原石ばかりを買っていくの」
「結婚指輪を無くしてしまったんです。どうしましょう、こんなこと夫にバレてしまったら……」
「月に一度、引き取り手のいない冒険者の遺品が市に出るのよ。道具や装備品、手帳にお守り、売れるものはなんでもね。そこから掘り出し物を見つけるのが楽しくって」
「嫌だ! 死にたくない! スライムに食べられるなんて嫌だよぉ! お母さん! お母さ……」
「見てしまったのだ! あの冒険者の下半身に、生ものの長棒が生えているのを!」
「見てしまったのだ! 吟遊詩人が、石を投げられたのに這い上がるのを!」
「見てしまったのだ! 土の中から生きているナスが出土してきたのを!」
「見てしまったのだ! 悩める魔術士が二人いたのを!」
「孤島に住んでいる冒険者の家を訪ねたいが、難しいな」
「交易品の棺桶を買い占めていった信者がいるらしいよ」
「紅い髪の女を探している。心当たりはないか? ヴェルニースに向かったと聞いて来たのだが……」
「鉱業や魔術に使用した廃水から魔物が生まれることがあるらしいわ。坑道のスライムや下水道のバブルなんかがそうね。水に含まれるマナがそうさせるのかしら。あなたも一度は井戸から魔物が出てくるのを見たことがあるでしょ?」
「国を股に掛けた鬼ごっことは、変わった兄妹もいるものだ」
「黒いリボンを着けた女性を見なかったかな?」
「今、そこを誰かが通らなかったか?」
「今朝ヨウィンで採れたばかりのリンゴだよ! おひとついかが~!」
「今日の日記には何を書こうかな…」
「今日の夕飯は肉じゃがの気分なんだけれど、肉がなぁ……。野菜は腐るほどあるのに、肉はここらじゃすぐ売り切れてな……。この時間帯は何の肉かわからない肉しか売れ残っていないんだ」
「混沌の城よりも、その隣の小城に気をつけてくれ」
「差別とエレアが嫌いだ」
「最近、そこの学習書を盗む輩が多いらしいのだ」
「最近あの冒険者の噂を聞かないな」
「最後に見る光景がエーテルの美しい輝きというのも悪くない」
「祭壇がまた燃やされていたらしいよ」
「祭壇に雪を積み上げている信者がいたのだ」
「祭壇の上に物を置いていく冒険者がいるようだな。なんの意味があるのだ」
「祭壇を乗っ取るのはやめてくれ!」
「祭壇を盗む冒険者がいて困っているのだ」
「祭壇を背負った冒険者を見かけることがあるよ」
「細槍という特別なカテゴリの武器があるぞ」
「財布も荷物も持ってかれちまったが命と義手が一番高価なんだよざまあみろ。ところで頼みがあるんだが、少しお金貸してくれ。見ての通りちょっと心許なくってさ……」
「三つ目の少女が狙っているものは何だろ?」
「使徒を…食ってる……」
「子供達に読み書きを教えようと思うんです。本が読めれば、世界が広がるはずよ。ルミエストの学者さんにだって、パルミアの司書さんにだってなれるわ」
「死にたくてこの国に来たんだ。ここなら誰かが俺を殺してくれるのだろう?」
「死を受けて入れてみれば、エーテルの輝きも美しいものに見えるな。あんなに恐ろしい輝きが、今では私を導いているようにも見える」
「死んだ子供に異性の服を着せてクミロミ様に捧げると、その年は豊作になるそうだよ」
「私はな、テレポートの呪いで旅をすることにしたよ。彼女の遺したこの結婚指輪は、浮気者だった私への罰なのだから」
「視力を失った代わりに他の感覚が敏感になるみたいに、人の体って失った分をどこかで補おうとするみたいね。自ら何かを犠牲にして能力を引き上げる人も少なくないけど……」
「時々マニ信者が売店の銃器とお菓子を買い占めていくのだ」
「時々花を供えにくる冒険者を見かけるよ」
「時々思うんだ。あのムーンゲートを通れば、こんな生活から逃げられるんじゃないかって」
「捨てていいって言ったのに、まだ持っていてくれたのね……」
「邪魔な野菜を間引く冒険者がいて助かるよ」
「酒場から重そうな荷物を抱えた冒険者が出ていくのを見たよ」
「酒場のピアノはただの置物だ。少し前まではここで演奏したいって冒険者が結構いたんだけどな」
「酒場の肉料理には気をつけたほうがいいよ」
「宗教の話はご法度だ。この間紫髪のオパートス信者に病院送りにされたジュア信者がいるらしいよ」
「十三盾はどこを見て喋ればいいのだ?」
「十三盾は夢に出てきそうよ」
「獣の足跡かと思ったら冒険者だったのだ」
「獣耳のマニ信者には、注意したほうがいいな」
「宿屋は客でいっぱいだ。気持ちいいことならよそでやってくれ」
「宿帳でよく見かけてた名前がある時からぱったり見なくなってね。名前しか知らないその人が今どうしてるかなんて、そんな些細なことが気になるの」
「助けてくれ、顔の痒みが止まらないんだ。血も出てる。膿もだ。瞼も腫れて前もろくに見えない。なあ、俺の顔は今どうなってる? 頼む、パルミアにいる医者のところまで連れて行ってくれ」
「女の子の防衛者が降りてくる可能性に賭けたよ!」
「娼婦より奴隷のほうが安いよ」
「小さなメダルを見つけるなんて、幸運の女神様に気に入られでもしたのかい?」
「少し前に酔った観光客がルルウィ様の像に触れた途端突風に煽られて転倒し死んでしまった事件があった。やはり美しい女性は遠くから眺めるのが一番だ」
「信仰すべき神は機械のマニ以外にありはしないよ」
「信者が足りないなら、それ以外を消せばいいんですよ。そうすれば最後には信者だけになる。異教徒の死体は神への生贄にでもすればいい」
「心を魔物に囚われてしまったナースがいるらしい」
「新しい家かぁ…♪」
「森でプチの大量死だって? こりゃ何かあるな……」
「深淵の魔女には気をつけるのだな。ふかふかパンにされてしまうらしいよ」
「神々の休戦地の噴水に金貨を投げ入れると、神様が願いを聞いてくれるって噂なんですよ。神様としては金貨と捧げ物とどちらがいいのかしら?」
「神様に殺されるなら本望だろうよ」
「身に覚えがないだなんて言うなよ。共にジューアの連中を殺した仲間じゃないか」
「身包み剥がれて海に放り出された時は流石に死を覚悟したが、生きてりゃなんとかなるもんだな」
「人の焼ける臭いって知ってるかな? 生きたまま、ファイアハウンドに焼かれる臭いだ。目の前で火達磨になって絶叫をあげて転げ回る仲間が、やがて真っ黒になって動かなくなる。だから今もね、肉だけは食べられないんだ」
「人肌が恋しいの。お願い、今晩だけ愛してくれる?」
「刃がエーテルで出来ているんだ。これで人を刺したらどうなるんだろうねえ」
「数日前から母が行方不明なんです。どうしてかガードも取り合ってくれなくて……探すあてもなく、私は心配で心配で……」
「世の中には家に火をつけて回る者がいるらしいな。きみも気をつけたほうがいいよ」
「清掃員は人の姿をしたかたつむりも見抜いてしまうようだな」
「生きているプリン?夢でも見ているみたいだな」
「生きている剣を従えた冒険者? そうだな、あの男ならうまくやってくれそうな予感がするよ」
「生きている武器なら武器らしく、モンスターならモンスターらしく生きてもらいたいものですね」
「生娘のおっぱいに興味はあるかな?」
「聖夜祭に聖なる井戸の水を夫婦で飲むと子宝に恵まれるとか、そんな噂があるみたいよ。どこかのカップルでも唆してきたら?」
「聖夜祭の本当の由来? ……あのね、そんな寒い話してたら血だるまにされるわよ」
「聖夜祭までに鉱石を集めておくといいよ」
「青髪の幽霊の噂?聞いたことがないな」
「静寂の神を信仰してるかな」
「隻眼の商人に会ったことがあるかな?」
「赤髪の盗賊団に出会ったのなら、すぐに逃げるのが賢明だな」
「折れた刃を集めて何をするつもりなんだい?」
「雪が捧げ物の神様もいるらしいな。雪はそこら中にあるから、好きなだけ拾っていくといい」
「雪はそこら中にあるから、好きなだけ拾っていくといいよ」
「川の水が突然濁って悪臭を放ち始めた事件、上流に魔物が住み着いて、食い荒らした生物の死体が腐ってたのが流れてきてたって話よ」
「全てを司る猫『ノア』。一体、どんな猫なのかな」
「全身を『ブシフレイム』という銘で固めた冒険者がいるらしいよ」
「全身を『防衛者』の銘で固めた防衛者に会ったよ。頼りになりそうだ」
「全身を『妹』の銘で固めた妹の話はやめてくれ」
「全身を卑猥な銘で固めた冒険者は何を考えているのだ」
「待ち続ける忠犬『ハチ』の物語を知っているかな?」
「退屈だ。演奏とかできないのかな?」
「大きな胸には夢が詰まっているよ」
「大事な物をこんなところに置くなんて、盗んでくださいと言ってるようなものだ」
「大事な物をこんなところに置くなんて、盗んでくださいと言ってるようなものだろう。ベッドは置いておく? 馬鹿言え。ベッドは常に持っておくものだ」
「誰も井戸に落ちて死んだ人を引き上げないものだから、腐臭に引き寄せられた魔物が住み着いたってわけ」
「誰を賜る?」
「旦那様の大切な子猫が迷子になってしまったんです。冒険者様、どうか探して頂けませんか? 勿論お礼はさせて頂きますゆえ……」
「地殻変動で冒険者がネフィアに閉じ込められたという話を聞かないのは、オパートス様が見守っているからだ」
「蜘蛛の巣発動の長棒は見たことがないよ」
「着ぐるみのバイトに中の人はいないよ」
「仲間をネフィアから逃がそうと思って、詠唱したのは覚えてるわ。それが誰だったのか思い出せなくて。この怪我が治ったら、忘れてしまった記憶を探しに行こうと思ってるの」
「喋る生きている武器がいるらしいな。なんでも女の子らしいのだ」
「潮が引くと姿を現わすネフィアがあるんだって! 昔は地上にあったんだけど、地殻変動で海に沈んだらしいよ!」
「長い耳を狙われる事件が多いらしいな」
「奴隷として売り出された時、自分の値段に笑ってしまったね。人としての尊厳は、あそこの宿より安かったのさ」
「奴隷一人救ったところであの席にはまた違う奴隷が座るだけだよ。新しく入ったあの子まで救えないんだろう? お前さんは気まぐれで生殺与奪を握るのかい?」
「奴隷商人に売られていった冒険者がいるらしいよ…」
「東はもうエーテルの海に飲まれてしまったよ。私の故郷もすでに亡いだろう」
「討伐依頼? 誰が化け物なんかと戦うかな。あんなものは高名な冒険者様に任せてればいいのだ」
「討伐依頼? 誰が塊の怪物なんかと戦うかよ。あんなものは高名な冒険者様に任せてればいいんだ。俺みたいなのが参加したって怪物に押し潰されて惨めに死ぬだけさ。そうだな、その後の清掃になったら呼んでくれよ」
「頭三つと腕六本のカオスシェイプに会ったよ。阿修羅観音スタイルらしいよ」
「働け! 働け! お前を買ってやったのはこの俺だぞ!」
「道に迷った子供に何の関心も抱かないのね。よくあることだって見殺しにしたの?」
「背中が熱い……俺は一体どうなってるんだ……?」
「髪が延々と伸びるという呪いの巻き髪人形の噂を知っているかな?」
「彼女が何をしたっていうんだ? ただエレアとして生まれただけで、どうしてそんなことが言えるんだ? 魔女だとか悪魔だとか、軽々しく口にする母さんの方がどうかしてるよ」
「非力な妖精は秘密を隠しているらしいよ」
「不確実な契約?一日一回の確実なレイハンド?」
「普通、可愛い子をくれと言ったら出てくるのは女の子だと思うだろ?」
「普通よ、可愛い子をくれって言ったら出てくるのは女の子だと思うだろ? なんであの奴隷商人は野郎なんかよこしやがった?」
「舞踏会を武闘会にする冒険者がいるらしいよ」
「物陰で気持ちいことをするのはやめてくれ!」
「物凄い速さのかたつむり? 幻覚だろ」
「物凄い速さの狩人? 夢でも見ているのかな」
「物凄い速さの冒険者? よく気付いたな」
「物凄い速さの冒険者がいたって? お前もよく気付いたな」
「捕れたてぴちぴちの奴隷があるぜ」
「歩んできた道は自分の血を使ってでも記録しろ……先日引退した冒険者の言葉よ」
「冒険者が経営している店が増えて商売上がったりだ」
「冒険者さん、ちょっと聞いてよ! 最近畑に野犬が出てくるようになったの!」
「冒険者さんって家具の配達をしてくれるのでしょう? 申し訳ないけど、この水桶を運んでくれないかしら。川の水が汚染されるから、なかなか捨てられる機会がなくて……」
「冒険者になる神の化身もいるらしいよ」
「冒険者になる力もなく、乞食になる勇気もなく、ただ毎日を生きていただけだ。この酒が尽きたら、俺の夢も終わる。お前と話せてよかった。少しの間だけでいいから俺のことを覚えておいてくれると嬉しいよ」
「冒険者になれば、昔私を助けてくれたあの人に会えると思った。でも、こんな姿になった私にあの人は気付いてくれるかしら」
「冒険者には変わった物を収集している者がいるらしいな」
「冒険者による寒中水泳大会があったようだ」
「冒険者の噂話を聞くのも楽しいよ」
「冒険者の見た目に騙されてはいけないよ」
「冒険者同士の喧嘩に巻き込まれるのは、ごめんだ」
「防衛者! 防衛者! 防衛者! 防衛者ぅぅうううわぁああああああああああああああああん!!!」
「防衛者がいれば、魔法を安全に鍛えることができる」
「防衛者が既婚でも泣かないよ」
「防衛者というすばらしい下僕がいるそうだ」
「防衛者の治癒の雨は周囲の仲間も回復できる」
「防衛者の写真が大量にばら撒かれていたのだ。何か知らないかな?」
「防衛者はかわいいぞ!」
「防衛者は最速五分で賜れる」
「防衛者は赤い花を咲かせる際に便利だ」
「防衛者は野外に落ちているクズ石だけで賜れる」
「防衛者は友好度がどんなに低くてもレイハンドで助けてくれるぞ!」
「防衛者を願うと防衛者のポーションが足元に転がってくる」
「防衛者を賜ると、誰かがたまらなく喜ぶだろう」
「防衛者を賜るといいことがあるそうだ」
「防衛者を賜ればもちも平気で食べられるようになる」
「防衛者を探している女の子がいたが、心当たりが多すぎるな」
「僕の妻が迷子なんですよねえ。この港は広いですもんねえ。いやあ参ったなあ」
「魔術師ギルドのギルドマスターの私室には、立派な椅子が置いてあるよ」
「魔術師のムーンゲートが異世界に繋がることがあるらしいよ」
「魔物の牙に、見覚えのあるペンダントが引っかかっているのを見つけてね。私が誰かの仇を討ったのかもしれないし、この魔物がもしかしたら、私の知っている誰かかもしれない。誰にも分からないの」
「魔法使いにしか見えない家があるらしいな」
「妹がきみを探していたよ。教えた方がよかったかな?」
「毎日毎日、飽きもせずによく掘るねえ」
「夢なんて見るものじゃない。冒険者になってわかったことはいっぱいあるわ。夢を追った先の現実を見て、その時思うのよ。どうして憧れで冒険者なんかになったんだろう、ってね」
「命が惜しければあの井戸の水は飲むなよ」
「命をかけて人を助けようだなんて、馬鹿げてるね……」
「麺料理にうどんってあるでしょ? あれには狂信者がいてね、うどんを茹でることで水不足になる村があったり、茹でる水が無ければポーションや血で茹でていた……なんて話もあるそうよ」
「目の前で店主が見えざる手に葬られたことがあったが、無実だ」
「餅を求める冒険者に会ったら譲ってあげるといいよ」
「野菜泥棒はもう見慣れたよ」
「野菜泥棒対策に、このあたりの野菜だけ呪われた水で育てたんだ」
「癒し手に解呪を頼むのはやめた方がいいよ。お金を搾れるだけ搾るのだ!」
「幽霊のような墓守が現れることがあるらしいな」
「傭兵になる力は? 娼婦になる器量は? ネフィアでクズでも集めれば金にはなるだろうが、冒険者になる勇気すら持ち合わせていないんだろう? そんなお前に、何の価値があるんだ?」
「妖精がやっている薬屋があるらしいな」
「妖精のコロニーを見つけても妙なことはしない方がいいわ。いつの間にか持ち物を盗まれてたりバックパックにゴミを詰められてたりするかもよ? あくまで友好的に。友好的に……」
「来年に向けて、冒険者と親交を深めておいたほうがいいよ」
「律儀に納税しようとする犯罪者を捕らえる仕事だ」
「竜巻で巻き上げられた魚が陸地に降り注ぐのを『エヘカトルの気まぐれ』と呼ぶそうよ。生ものが降ってくるのは困りものよね」
「旅の商人に手を出して返り討ちにあった奴がいるらしいな」
「緑髪のエレアには気をつけたほうがいいな」
「緑髪の女の子の集団に会ったのだ」
「緑髪の妖精に騙されたのだ」
「隣町の医者まで連れて行くだけ。だが、彼の命は持たなかった。ただそれだけだ」
「腕一本で主が救えるなら、安いもんさ。おれの代わりの防衛者はいくらでもいるけど、主は主だけなんだから」
「巫女の少女が兄を探していたのだ。何か知らないかな?」
「綺麗な翼でしょう? あんたなんかが到底辿り着けない黒なのよ?」
「遙か昔、イルヴァには忘却の神がいたという話は知っていますか」
あなたはポストを開けた。中で妖精が眠っていた。
あなたは井戸の水を掬った。それは赤黒く濁っていて飲めそうにない。
あなたは井戸の水を掬った。腐ったような異臭がする。
あなたは一瞬嫌な予感がしたが、それはやがて消えた。
うずくまる娼婦が何かを歌っている。
かつてはネフィアがあった場所だ。しかしここにはなにもない。
すぐ近くで何かの声が聞こえる。「お兄ちゃん♪お兄ちゃん♪」声が遠ざかるのを待った。早くここから移動しなくては。
どこからか何かの声が聞こえる。「お兄ちゃん?」物陰に隠れて通り過ぎるのを待った。
どこからか何かの声が聞こえる。「お兄ちゃん?お兄ちゃーん」 …息を潜めてやり過ごした。
どこからともなく漂うご馳走の匂いで、あなたの胃は不満を叫び始めた。
ぬかるんだ地面に残されていた足跡を頼りにネフィアへの道を探していたが、それは血溜まりで途絶えていた。
悪意のある手が忍び寄り、あなたが気付かない間に金貨を奪って逃げた。
井戸の中から人の声がする。やがてそれは悲痛な叫び声に変わり、じきに何も聞こえなくなった。
遠くに暗い雲が見える。しかしそれは放電雲の群れだった。
遠くの空に黒い靄が見える。何かが大量にこちらへ向かっているようだ……。
穏やかに微笑む修道女から死の臭いがする。
下を向いて歩いていると、幸運にもプラチナ硬貨を見つけた。
何かとすれ違った気がした。
何かに追われているような気がする。早く移動しなくては…。
何かの足音が近付いてきている。早く移動しなくては…。
何かの足音が近付いてきている。物陰に隠れて通り過ぎるのを待った。
何か物音がした。穏やかな雰囲気の青年とエレアの少女が密かに逢引していたようだ。
何か物音がした。物陰から痩せ細ったエレアの兄妹がこちらを見ていた。
怪しい館がある。女の笑い声が聞こえる。
怪しい館がある。人の気配は感じられない。
懐かしい友からの手紙だ。
絵画の裏に、同じ構図で、しかし一糸纏わぬ姿で杯を傾ける癒しの女神の姿が描かれていた。
街の子供が、醜いカオスシェイプに石を投げつけている。
朽ち果てた剣が突き立っている。かつてここを守った英雄が眠るらしい。
胸元をはだけた娼婦があなたを見つめて手招きした。
空の酒瓶から宝の地図が出てきた。何の手がかりもない雪原に赤い丸が書かれている。
軽快な足取りの少女がすれ違いざまに猫のように鳴いた。振り返ったがそこには誰もいない。
軽快な足取りの少女がすれ違いざまに猫のように鳴いた。振り返ると眼鏡越しに目を細めて笑った。
見覚えのある顔が指名手配書に描かれている。
見世物小屋がある。純白の翼を持つ少女が鳥籠の中で歌っている。
見世物小屋がある。世にも珍しい、涙が鉱石に変わるエーテル病の少女らしい。無言の観客の視線が、泣くことを強要している。
見世物小屋がある。美しいエレアの下半身が木の根のように変質している。
古びた魔法書に地図が挟まれていた。書かれた目印はこの近くの井戸を示している。
香ばしいパンの匂いがする。
今日はリュンが顔を見せている。
三つ目の少女がこちらを見ている気がした。
主を失った牧場で、飢えた家畜が共食いを始めている。
獣耳の吟遊詩人が語っている。黄金郷と呼ばれるネフィアの伝説らしい。
獣耳の吟遊詩人が語っている。頭に爆弾を抱えた冒険者の話らしい。
焦点の合わない少女が聞き覚えのない名前であなたを呼んで駆け寄ってきた。
新米らしい冒険者が、酒場の隅で震えている。
石ころにつまずいて転んだ拍子に、あなたは幾つかのマテリアルを見つけた。
鮮やかな植物を抱えた妖精から懐かしい花の香りがした。
前を行く少女の影が千切れて消えた。
全身を着飾った多足の犬がこちらを見て唸っている。
足が宝箱の下敷きになって死んだ冒険者だろうか。
苔生した癒しの女神像が転がっている。
大富豪が金貨をばらまいている。我先にとそれを拾い集める醜い人々を眺めて笑みを浮かべた。
大富豪が金貨をばらまいている。彼には金貨が虫のように見えているらしい。
致命傷を受けた魔物の腹から、腐った人形がこぼれ落ちた。
泥のような眠りに誘われている。
鉄格子の間からいくつもの白い腕がこちらに伸ばされる。地獄の亡者と何も変わらない。
東の空がやけに青白い。エーテルの風がすぐそばまで来ている。
突然、向かいからやって来た一人の神官が、すれ違いざまにあなたに魔法をかけた。「ノープロブレム」
肉の塊のような醜いカオスシェイプがのたうっている。
薄汚れた少女がこちらを見ていた。
爆発音に驚いた鳥たちが森から飛び出していく。
発狂した金持ちが、何か叫びながら金貨をばらまいている…
包丁を後ろ手に隠した少女が親しげに男性に話しかけている。
放電雲のせいで混沌きのこが増えているらしい。
豊かな白い髪の少女が巨大な槌を軽々と抱えている。
冒険者が火吹き芸を披露している。
冒険者のスカートの裾から竜の尾が覗く。
冒険者の遺骸がある。しかし埋葬している余裕はなかった。
冒険者の遺骸がある。金になるものは何もかも奪われた後のようだ。
冒険者の遺骸を見つけた。あなたは遺留品をあさった。しかし何も見つからなかった。
冒険者の遺骸を見つけた。あなたは骨と遺留品を埋葬した。
冒険者の遺骸を見つけた。遺骸を漁ったが、めぼしいものは見つからなかった。
冒険者の野営跡がある。しかし何も見つからなかった。
冒険者の野営跡を漁った。めぼしいものは見つからなかった。
冒険者の野営跡を漁った。血に塗れた包丁を見つけた。あなたは恐ろしくなった。
無い腕を摩りながら乞食が何かを求めている。
無残に殺された子猫の死体がある。魔物に襲われた傷跡ではないようだ。
無数の頭を生やした首の長いカオスシェイプがあなたを見下ろしている。
野ざらしの遺骸が大事そうに抱えていた荷物から出てきたのはいくつかのディスクと数ヶ月前の雑誌だった。
幼い子供が愛しげに名前を呼ぶような幻聴が聞こえる。
妖精の囁き声が聞こえる。
翼の砕けた風の女神像が転がっている。
路地裏で少女がごろつきに囲まれている。しかしその表情に恐れはない。
牢の向こうからいくつもの虚ろな目がこちらを見ている。
罠にかかったコボルドの死体だ。
襤褸を纏った老女が、行き倒れた冒険者の死体を漁っている。畳む
ロミアスをペットにしてしばらく経った。ロミアスを傷つけ、何度も復活させ、手篭めにしたあなたをロミアスは恨んでいるだろう。しかしペットという制約上、ロミアスはあなたから離れる事はできない。ロミアスはわが家の中では紐を解かれ、自由にする事ができる。あなたはロミアスに今日の夕食を作る事を命じた。
「私はいつでも君を殺すことができるのだが、それでもいいのなら」
相変わらず反抗的である。
ロミアスはノースティリスに来たばかりで右も左もわからないあなたに乞食の死体を食べさせた事がある。今はもう、この世界を生き抜く事ができるあなたに妙なものを食べさせる事はできない。あなたはその料理が何なのか理解できるし、食べない選択もできる。
「私に何をさせたいのか全く理解できない。だが、これが主人となる君の命令だから渋々従ったまでだ」
作ったのは卵料理と、ヨウィンで採れた野菜のシンプルな料理だった。はなから料理の巧拙を期待してなどいない。あなたは上品なテーブルの上に並べられた料理に手を伸ばした。
「――おいおい、冗談だろう?」
些か緊張感を孕んだ、しかし聞き慣れた言葉と共にロミアスはテーブルクロスを思い切り引いた。クロスごと床に流れ落ちて叩きつけられる食器の音が響く。意図が分からず困惑するあなたの目の前の、何も無くなったテーブルの上にロミアスは薄っすらと色の付いた液体が入っている小瓶を置いた。
「毒薬ではいかないが、麻痺のポーションを少量混ぜておいた。あのまま食べていたら軽い痺れくらいは引き起こしていただろう。私は食事に薬を混ぜる考えに至る程度には君が嫌いだが、君は何故私を信じるんだ?」
これから背中を守ってもらうペットだからだと答えると、ロミアスは「君はもう少し人を疑え」とだけ言うと食器の破片を拾い集める。腰を浮かせたあなたを「これは私の仕事だ」とロミアスは留めるが、しかしあなたは席を立ち軽傷治癒のポーションを手渡した。料理の残骸と共に、鮮血が滴り落ちている。
「……ああ」
まるで気が付かなかったとでも言いたげに、ロミアスはポーションを受け取った。ロミアスがポーションを口にする間に、あなたはまだ原形の残っていた卵料理を口に運んだ。
「浅ましいことをせずとも、まだ料理は残っている」
拾い食いくらい、ロミアスと出会ったときに一度経験したのだからこれくらい平気だというのに。ロミアスの手料理は、優しい味がした。畳む