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アデルフォードがスライム姦される話 #deflayh_pc
防衛者のアデルフォードが空間を歪められ飛ばされた先にいたのは見たこともないスライムだった。それは薄い桃色に色付き、媚薬に酷似した甘い臭いを発していた。背筋に走る嫌な予感に聖なる盾を詠唱する。そして武器を構えようとしたが、スライムは体の一部分を勢いよく弾けさせてアデルフォードへ飛ばし、彼女を巻き込み壁へと張り付いた。絡み付いたスライムを引き剥がそうと力を込めるも、あの軟体から想像もつかない強さで壁に繋ぎ止められている。アデルフォードの筋力ではどうすることもできず、ただ腕が震えるだけであった。残りのスライムが足首から脹ら脛へ、その更に上へと這い登ってくる。引き剥がそうともがいても粘着質な音を響かせるのみ。どういう質量をしているのか、すばらしいスイカほどの大きさしかなかったスライムはアデルフォードの下半身を覆うほどに膨れ上がり、鎧の隙間をくぐり、衣服の繊維を通り越し、布と肌との間でさらに形を変えていく。甘ったるい臭いと羞恥に体が熱くなる。徐々に形を取り戻していくスライムは下着の内側でアデルフォードの秘所を探り僅かに押し広げて、潤滑油そのもののように痛みもなく圧迫もなく、しかし確かな形をしたものを中に滑り込ませてきた。入り込むものより、入り込んだ後、じんわりと胎内に広がっていくスライム自身の圧迫を感じられるようになった頃、膀胱までもを犯すつもりなのかスライムが尿道を責め立てられ、圧迫感と排泄欲には抗えずにスライムの中で失禁した。体を濡らしているのはスライムなのか自分の汚水なのか曖昧な境界で狂うことも意識を手放すことも出来ずに聖なる盾の効果が切れるまでアデルフォードは耐えることとなった。
アデルフォードが発見された時、目を覆いたくなるような状態だった。体液や吐瀉物に汚れ気を狂わされただけではなく尊厳を踏みにじられるほどの仕打ちをされていたと語っている。それでも生きて息をしていたことに安堵したというのは彼女にとって酷だろうか?供に連れていたのが黄金の騎士のトミミスだけだったのはアデルフォードにとっても幸いだったのは確か。このままネフィア探索を続けるほど薄情ではないあなたは帰還の魔法を詠唱した。
メイドのガーンナにはしばらく人払いをと命じて、浴室に直行する。アデルフォードの汗に濡れた肌から媚薬のような色香を漂わせているのに気を取られそうになるが、汚れ物は後にしてトミミスの手を借りながら濡らしたタオルで拭い、ぬるま湯で流したりしているとアデルフォードは目を覚ました。だがすぐに普段からは想像できないほどに錯乱した。何かを、自身を濡らす水を振り払おうとして言葉にならない声をあげる。トミミスがアデルフォードを抱き締めながら、彼女が落ち着くまで待ってやるとようやく我に返ったのか謝罪の言葉を口にして、あの時ネフィアで何が起きたかを語り始めた。辛いことなら話さなくていいとやんわり止めるも、彼女は聞いてほしいと強く懇願した。私が身を犯されていた、というのはこの様を見ればおおよそ理解できているでしょう。しかしそれだけではなく……。アデルフォードは下腹部を、丁度子宮のあたりを押さえながら口を開いた。その相手は新種のスライムで、今もそれに寄生されているのです。と。媚薬の性質を持ったこのスライムに襲われれば誰もがあのようなことになる。防衛者の私でさえ抵抗できなかったのだから、普通の人間に寄生すればひとたまりもない。エイリアンのように被害が広がる前に始末しなければならない。一体何が目的なのか、宿主を中から操ろうというのか。体が疼いて仕方がない。排泄欲がないのは子宮のみに狙いを定めたからだろう。私はもう大丈夫だからしばらく一人にして欲しいとアデルフォードは二人を浴室から追い出した。…私が女でなければ。アデルフォードの呟きは水音に掻き消される。
――やれやれ、何を聞くかと思えば。腹に住まう魔物を払うすべが無いならば簡単なことだよ。割いて直接毒を浴びせるか引きずり出せばよい。……いやはや、困ったお嬢さんだ。何もボルトを撃ち込まなくとも。我々神の化身はそれくらいで死にはせんよ。それとも何だね、我々の中に何かを宿した者がいたのかね?それとなく追放者のレオノアに聞いてはみたが、イツパロトルから切り離された神の化身は干からびた知識を与えただけで解決には至らなかった。シャワーのぬるま湯を頭から浴びながらアデルフォードは冷たい壁に触れる。下半身のだるさが、下腹部の、子宮の重さがただただ気持ち悪い。いっそ腹を割いて生まれ落ちてくれればいい。スライムの残滓か自身の愛液かでぬるついた秘部に指を遣れば、指先にスライムが触れてすぐに奥に引っ込んだ。生きている、しかし形のないそれを掻き出すことも出来ず、産み落とすこともできず、何を目的としているのかも分からない恐怖。直接毒を注ぎ込めばスライムは死ぬだろうか。子供は作れなくなるのだろうか。叶うなら主さまの子供も欲しかった、いや、主さまの子供が欲しい。でもこんな体では叶わない。アデルフォードは嗚咽を漏らしながら吐いた。ネフィアでも散々吐いたことを思い出し、胃液ばかりが喉を焼く痛みにアデルフォードはさめざめと泣いた。畳む
防衛者のアデルフォードが空間を歪められ飛ばされた先にいたのは見たこともないスライムだった。それは薄い桃色に色付き、媚薬に酷似した甘い臭いを発していた。背筋に走る嫌な予感に聖なる盾を詠唱する。そして武器を構えようとしたが、スライムは体の一部分を勢いよく弾けさせてアデルフォードへ飛ばし、彼女を巻き込み壁へと張り付いた。絡み付いたスライムを引き剥がそうと力を込めるも、あの軟体から想像もつかない強さで壁に繋ぎ止められている。アデルフォードの筋力ではどうすることもできず、ただ腕が震えるだけであった。残りのスライムが足首から脹ら脛へ、その更に上へと這い登ってくる。引き剥がそうともがいても粘着質な音を響かせるのみ。どういう質量をしているのか、すばらしいスイカほどの大きさしかなかったスライムはアデルフォードの下半身を覆うほどに膨れ上がり、鎧の隙間をくぐり、衣服の繊維を通り越し、布と肌との間でさらに形を変えていく。甘ったるい臭いと羞恥に体が熱くなる。徐々に形を取り戻していくスライムは下着の内側でアデルフォードの秘所を探り僅かに押し広げて、潤滑油そのもののように痛みもなく圧迫もなく、しかし確かな形をしたものを中に滑り込ませてきた。入り込むものより、入り込んだ後、じんわりと胎内に広がっていくスライム自身の圧迫を感じられるようになった頃、膀胱までもを犯すつもりなのかスライムが尿道を責め立てられ、圧迫感と排泄欲には抗えずにスライムの中で失禁した。体を濡らしているのはスライムなのか自分の汚水なのか曖昧な境界で狂うことも意識を手放すことも出来ずに聖なる盾の効果が切れるまでアデルフォードは耐えることとなった。
アデルフォードが発見された時、目を覆いたくなるような状態だった。体液や吐瀉物に汚れ気を狂わされただけではなく尊厳を踏みにじられるほどの仕打ちをされていたと語っている。それでも生きて息をしていたことに安堵したというのは彼女にとって酷だろうか?供に連れていたのが黄金の騎士のトミミスだけだったのはアデルフォードにとっても幸いだったのは確か。このままネフィア探索を続けるほど薄情ではないあなたは帰還の魔法を詠唱した。
メイドのガーンナにはしばらく人払いをと命じて、浴室に直行する。アデルフォードの汗に濡れた肌から媚薬のような色香を漂わせているのに気を取られそうになるが、汚れ物は後にしてトミミスの手を借りながら濡らしたタオルで拭い、ぬるま湯で流したりしているとアデルフォードは目を覚ました。だがすぐに普段からは想像できないほどに錯乱した。何かを、自身を濡らす水を振り払おうとして言葉にならない声をあげる。トミミスがアデルフォードを抱き締めながら、彼女が落ち着くまで待ってやるとようやく我に返ったのか謝罪の言葉を口にして、あの時ネフィアで何が起きたかを語り始めた。辛いことなら話さなくていいとやんわり止めるも、彼女は聞いてほしいと強く懇願した。私が身を犯されていた、というのはこの様を見ればおおよそ理解できているでしょう。しかしそれだけではなく……。アデルフォードは下腹部を、丁度子宮のあたりを押さえながら口を開いた。その相手は新種のスライムで、今もそれに寄生されているのです。と。媚薬の性質を持ったこのスライムに襲われれば誰もがあのようなことになる。防衛者の私でさえ抵抗できなかったのだから、普通の人間に寄生すればひとたまりもない。エイリアンのように被害が広がる前に始末しなければならない。一体何が目的なのか、宿主を中から操ろうというのか。体が疼いて仕方がない。排泄欲がないのは子宮のみに狙いを定めたからだろう。私はもう大丈夫だからしばらく一人にして欲しいとアデルフォードは二人を浴室から追い出した。…私が女でなければ。アデルフォードの呟きは水音に掻き消される。
――やれやれ、何を聞くかと思えば。腹に住まう魔物を払うすべが無いならば簡単なことだよ。割いて直接毒を浴びせるか引きずり出せばよい。……いやはや、困ったお嬢さんだ。何もボルトを撃ち込まなくとも。我々神の化身はそれくらいで死にはせんよ。それとも何だね、我々の中に何かを宿した者がいたのかね?それとなく追放者のレオノアに聞いてはみたが、イツパロトルから切り離された神の化身は干からびた知識を与えただけで解決には至らなかった。シャワーのぬるま湯を頭から浴びながらアデルフォードは冷たい壁に触れる。下半身のだるさが、下腹部の、子宮の重さがただただ気持ち悪い。いっそ腹を割いて生まれ落ちてくれればいい。スライムの残滓か自身の愛液かでぬるついた秘部に指を遣れば、指先にスライムが触れてすぐに奥に引っ込んだ。生きている、しかし形のないそれを掻き出すことも出来ず、産み落とすこともできず、何を目的としているのかも分からない恐怖。直接毒を注ぎ込めばスライムは死ぬだろうか。子供は作れなくなるのだろうか。叶うなら主さまの子供も欲しかった、いや、主さまの子供が欲しい。でもこんな体では叶わない。アデルフォードは嗚咽を漏らしながら吐いた。ネフィアでも散々吐いたことを思い出し、胃液ばかりが喉を焼く痛みにアデルフォードはさめざめと泣いた。畳む
防衛者の『アデルフォード』の話 #deflayh_pc
もう晩も過ぎたというのに、ノイエルは真昼の明るさを取り戻していた。家々を、人々を炎が舐め、白い雪は赤黒い泥水に変わりゆく。窃盗の証拠を塵一つ残さないようにあの巨人の枷を外したのはあなただ。あなたを罵ったモイアーのような目撃者も、じきにこの世から消えることだろう。
防衛者はその光景を寂しげに眺め、小さく祈りを捧げた。火の手の回っていない無人の家屋で、あなたと防衛者は全てが焼き尽くされるまで待機していた。燃え残った遺品をゆっくりと漁ろうという魂胆だった。
「これから、どうするおつもりで?」
防衛者はバックパックに巨大な十字架を詰め直していたあなたに振り返る。解放されたエボンの咆哮が硝子の窓を叩いていた。まだまだ全てが終結するまで時間はあるだろう。あなたは気まぐれに防衛者の唇を奪った。防衛者は主の矛先が自身に向くなど露にも思わず戸惑いを見せる。
「主。まさか、ここで、ですか?」
町の者は皆エボンの世話で手一杯だ。こんな状況だからこそ、ジュアの下僕である防衛者と気持ちいいことをする。ジュアの加護を受け祝福された町が崩壊していくその真っ只中で。
あなたは防衛者を簡易ベッドに押し倒し、上着をはだけて固く巻かれた晒しを器用に盗み取った。防衛者にあるはずのない二つの膨らみが露になる。防衛者の腕は晒しに押さえ込まれていた胸を隠そうと反応はしたが、しかしそうしたところで意味がないことを知っていた。
「主の望みであれば……」
あなたが気持ちいいことに積極的であることを知らずにいたわけではなかった。いつか我が身にも来ると覚悟はしていたがそれがよもやこんな時だとは想像していなかっただろう。あなたがこのまま止めるはずもないとも理解はしている、望まれれば抗えない形だけの意思表示だった。
防衛者と言えどもこうして衣服を剥いでしまえば中身はただの生真面目な生娘だ。純白の乙女と謳われるジュアの元で気持ちいいことに乱れていたはずもない。あなたの視線を受けて羞恥に顔を逸らす防衛者の胸に視線を下ろすと、彼女の胸の下に走る赤い線が目に止まった。こんな傷を負っていたことは知らなかった。彼女が誰かに治療を任せるはずもなく、一人未熟な魔法で治療したのだろう。完全には消せなかった傷跡がいくつも残っていた。防衛者を見れば困ったような顔で苦笑する。
「見苦しいでしょうか。目を瞑ってやってください」
男しかいない防衛者たちの中でどのように生きてきたかはあなたには知る由もない。『小さい方の防衛者』。防衛者の『メイゼン』と比べられ、彼女は皆からそう呼ばれていた。
「私はあなたの盾です。傷はあなたの代わりに受……っ」
遮るようにその傷に触れるとびくりと反応した。盾。それはあなたの所有物だ。あなたの支配下にあるペットも同じくあなたの所有物だ。自分の物が傷付くことは避けたいものだが、彼女が防衛者である以上避けられない。性別を偽り、個を捨てた彼女があなたには愚かに映った。
ここが閨であったなら気付けなかっただろう小さな傷跡はいくつも刻まれていた。その一つ一つをなぞっていくと、しなやかな筋肉の乗った体は想像よりも柔らかな弾力で答えた。あなたの指先は男にはない曲線をなぞり防衛者を高ぶらせる。暖炉の薪と外の建物がぱちぱちとはぜる音に混ざり、防衛者が瞼をきつく閉ざし指を噛み喉をひきつらせてなく声が微かに耳に届く。触れた場所にのし掛かる擽ったさを、痺れを、疼きを、あなたにすがりもせずに自傷で堪えようとしている。あなたは防衛者の手を取り歯形の残る指に口付けを落とす。潤んだ瞳が不安げにあなたを見つめ、やがて小さく頷いた。悩ましく、女の姿でしゃくりあげた。
崩壊する教会の鐘が二人を祝福するように鳴り響く。快楽の波間に防衛者がどうにか言葉を紡ごうと、あなたの腕に触れた。息が整うのを待てずに潤んだ瞳に熱を湛えた防衛者は、途切れ途切れの決意を口にした。
「ぁ、主、お願いがあります。なまえで、呼んでください」
この時だけは盾でなく個として、人としてあなたを受け止めたいとねだる『小さい方の防衛者』。あなたは嬉しげに彼女の待ち焦がれたその名を耳元で囁くと、防衛者の『アデルフォード』は蕩けた笑顔を見せた。
*おわり*畳む
もう晩も過ぎたというのに、ノイエルは真昼の明るさを取り戻していた。家々を、人々を炎が舐め、白い雪は赤黒い泥水に変わりゆく。窃盗の証拠を塵一つ残さないようにあの巨人の枷を外したのはあなただ。あなたを罵ったモイアーのような目撃者も、じきにこの世から消えることだろう。
防衛者はその光景を寂しげに眺め、小さく祈りを捧げた。火の手の回っていない無人の家屋で、あなたと防衛者は全てが焼き尽くされるまで待機していた。燃え残った遺品をゆっくりと漁ろうという魂胆だった。
「これから、どうするおつもりで?」
防衛者はバックパックに巨大な十字架を詰め直していたあなたに振り返る。解放されたエボンの咆哮が硝子の窓を叩いていた。まだまだ全てが終結するまで時間はあるだろう。あなたは気まぐれに防衛者の唇を奪った。防衛者は主の矛先が自身に向くなど露にも思わず戸惑いを見せる。
「主。まさか、ここで、ですか?」
町の者は皆エボンの世話で手一杯だ。こんな状況だからこそ、ジュアの下僕である防衛者と気持ちいいことをする。ジュアの加護を受け祝福された町が崩壊していくその真っ只中で。
あなたは防衛者を簡易ベッドに押し倒し、上着をはだけて固く巻かれた晒しを器用に盗み取った。防衛者にあるはずのない二つの膨らみが露になる。防衛者の腕は晒しに押さえ込まれていた胸を隠そうと反応はしたが、しかしそうしたところで意味がないことを知っていた。
「主の望みであれば……」
あなたが気持ちいいことに積極的であることを知らずにいたわけではなかった。いつか我が身にも来ると覚悟はしていたがそれがよもやこんな時だとは想像していなかっただろう。あなたがこのまま止めるはずもないとも理解はしている、望まれれば抗えない形だけの意思表示だった。
防衛者と言えどもこうして衣服を剥いでしまえば中身はただの生真面目な生娘だ。純白の乙女と謳われるジュアの元で気持ちいいことに乱れていたはずもない。あなたの視線を受けて羞恥に顔を逸らす防衛者の胸に視線を下ろすと、彼女の胸の下に走る赤い線が目に止まった。こんな傷を負っていたことは知らなかった。彼女が誰かに治療を任せるはずもなく、一人未熟な魔法で治療したのだろう。完全には消せなかった傷跡がいくつも残っていた。防衛者を見れば困ったような顔で苦笑する。
「見苦しいでしょうか。目を瞑ってやってください」
男しかいない防衛者たちの中でどのように生きてきたかはあなたには知る由もない。『小さい方の防衛者』。防衛者の『メイゼン』と比べられ、彼女は皆からそう呼ばれていた。
「私はあなたの盾です。傷はあなたの代わりに受……っ」
遮るようにその傷に触れるとびくりと反応した。盾。それはあなたの所有物だ。あなたの支配下にあるペットも同じくあなたの所有物だ。自分の物が傷付くことは避けたいものだが、彼女が防衛者である以上避けられない。性別を偽り、個を捨てた彼女があなたには愚かに映った。
ここが閨であったなら気付けなかっただろう小さな傷跡はいくつも刻まれていた。その一つ一つをなぞっていくと、しなやかな筋肉の乗った体は想像よりも柔らかな弾力で答えた。あなたの指先は男にはない曲線をなぞり防衛者を高ぶらせる。暖炉の薪と外の建物がぱちぱちとはぜる音に混ざり、防衛者が瞼をきつく閉ざし指を噛み喉をひきつらせてなく声が微かに耳に届く。触れた場所にのし掛かる擽ったさを、痺れを、疼きを、あなたにすがりもせずに自傷で堪えようとしている。あなたは防衛者の手を取り歯形の残る指に口付けを落とす。潤んだ瞳が不安げにあなたを見つめ、やがて小さく頷いた。悩ましく、女の姿でしゃくりあげた。
崩壊する教会の鐘が二人を祝福するように鳴り響く。快楽の波間に防衛者がどうにか言葉を紡ごうと、あなたの腕に触れた。息が整うのを待てずに潤んだ瞳に熱を湛えた防衛者は、途切れ途切れの決意を口にした。
「ぁ、主、お願いがあります。なまえで、呼んでください」
この時だけは盾でなく個として、人としてあなたを受け止めたいとねだる『小さい方の防衛者』。あなたは嬉しげに彼女の待ち焦がれたその名を耳元で囁くと、防衛者の『アデルフォード』は蕩けた笑顔を見せた。
*おわり*畳む
防衛者に殺される話 #イズミ #deflayh_pc
防衛者。私を殺してみせなさい。経験も、知識も、技能も、私よりずっと優れているあなたが私を殺せないはずがない。そうでしょう? 今まで一人の従者として私に仕え、私を守っていた貴方が私に刃を向けられる好機なのよ。もう少し嬉しそうな顔をして。私は、それを望むわ。
二振りの赤い短剣を携え、彼女は最愛の従者へ刃を向けた。聖なる槍を持つ騎士の言葉は届かない。届いたところで刃を交えることを止められはしない。
手堅く、慈悲深く、私を一撃で仕留めるつもり? でも狙わせてあげない!
この刃を的確に受け止める筈と理解した上で一閃する度、言い様のない快感が背筋を這い回る。頭の中はクリアになり、代わりに心の内はただ一人の男が侵食していく。夜を共にし体を交え心を明け渡しても得られなかったものに、命の奪い合いでようやく近づけた。でも、まだ全てじゃない。悪意も、敵意も、殺意も。全てを。
――ふ……ふ、ふふ、あははははっ、あはははははっ。
おかしくてたまらない。彼は息を乱しもしない。ただ目の前の最愛の男が高みへ押し上げていく。それでいい。それがいい。涙は止まらない。気付けば子供のように泣き叫んでいた。向けられているのは彼自身の悪意でもなく、敵意でもなく、殺意でもない。その向こうにいる敵の思念がそうさせている。甲高い音を立てて短剣が一振り弾かれ、防御の崩れた体の中心に得物が思い切り押し込められる――。
そう、だから、それでいいの。
百舌鳥の早贄。聖槍に貫かれ、手から滑り落ちた短剣の落ちる音。聖槍の穿った穴から生温いものが溢れて、体の芯ごと引き抜かれるような僅かな抵抗と共に槍が胸から離れていく。彼女が彼女自身の血の海に膝をつく前に、力を失った体は抱き留められたのを最期に彼女の意識は途絶えた。
「――と、まあ。そんな夢を見たのでした」
「……そんな話がありますか」
相槌を打ち続けていた黄金の騎士が徐に冷めた紅茶を飲み干すと、斬鉄剣のようにばっさりと主の長話を切り捨てた。畳む
防衛者。私を殺してみせなさい。経験も、知識も、技能も、私よりずっと優れているあなたが私を殺せないはずがない。そうでしょう? 今まで一人の従者として私に仕え、私を守っていた貴方が私に刃を向けられる好機なのよ。もう少し嬉しそうな顔をして。私は、それを望むわ。
二振りの赤い短剣を携え、彼女は最愛の従者へ刃を向けた。聖なる槍を持つ騎士の言葉は届かない。届いたところで刃を交えることを止められはしない。
手堅く、慈悲深く、私を一撃で仕留めるつもり? でも狙わせてあげない!
この刃を的確に受け止める筈と理解した上で一閃する度、言い様のない快感が背筋を這い回る。頭の中はクリアになり、代わりに心の内はただ一人の男が侵食していく。夜を共にし体を交え心を明け渡しても得られなかったものに、命の奪い合いでようやく近づけた。でも、まだ全てじゃない。悪意も、敵意も、殺意も。全てを。
――ふ……ふ、ふふ、あははははっ、あはははははっ。
おかしくてたまらない。彼は息を乱しもしない。ただ目の前の最愛の男が高みへ押し上げていく。それでいい。それがいい。涙は止まらない。気付けば子供のように泣き叫んでいた。向けられているのは彼自身の悪意でもなく、敵意でもなく、殺意でもない。その向こうにいる敵の思念がそうさせている。甲高い音を立てて短剣が一振り弾かれ、防御の崩れた体の中心に得物が思い切り押し込められる――。
そう、だから、それでいいの。
百舌鳥の早贄。聖槍に貫かれ、手から滑り落ちた短剣の落ちる音。聖槍の穿った穴から生温いものが溢れて、体の芯ごと引き抜かれるような僅かな抵抗と共に槍が胸から離れていく。彼女が彼女自身の血の海に膝をつく前に、力を失った体は抱き留められたのを最期に彼女の意識は途絶えた。
「――と、まあ。そんな夢を見たのでした」
「……そんな話がありますか」
相槌を打ち続けていた黄金の騎士が徐に冷めた紅茶を飲み干すと、斬鉄剣のようにばっさりと主の長話を切り捨てた。畳む
古書物解読の話 #イズミ #deflayh_pc
机に向かった主が虚ろな目をして古書物を眺めているところに呼び出された防衛者は「それ、どう解読したらいいわからない」と渡された本を受け止めた。脆い紙を金具で留めただけの、辛うじて本としての形をしているものだった。
「魔術の類いに関してはレオノアが詳しいのでは?」
「いいのいいの。詳しいといったって読まなきゃいけないのは私で、理解しなきゃいけないのも私」
第一レオノアの話はわけわかんないのよ。赤髪の主が机に突っ伏したまま答えた。防衛者の手の中の古書物は今までのものより薄い。ページを捲れば小さな文字が所狭しと並んでいる。
文字の並びを見るに古い東洋のものらしい。挿絵でデフォルメされた人間の裸体が躍っていた。
「薄いからって侮ってた。絵は裸ばかりで、色んな部分が隠されている。内容がわかるようでわかりたくない」
この薄い本が性典かただのエロ本かの区別がつかず、これ以上の解読が必要なのか判断に迷うものだった。
「全く変人っていうのはわけわかんないものばっかり残すからたちが悪いわ」
主は手袋をごみ箱に放り捨て大きなため息をついた。後に《ウ=ス異本》と名付けられる一連の東洋の古書物は、文献不足の魔術士ギルドのメンバーを大いに悩ませることになる。畳む
机に向かった主が虚ろな目をして古書物を眺めているところに呼び出された防衛者は「それ、どう解読したらいいわからない」と渡された本を受け止めた。脆い紙を金具で留めただけの、辛うじて本としての形をしているものだった。
「魔術の類いに関してはレオノアが詳しいのでは?」
「いいのいいの。詳しいといったって読まなきゃいけないのは私で、理解しなきゃいけないのも私」
第一レオノアの話はわけわかんないのよ。赤髪の主が机に突っ伏したまま答えた。防衛者の手の中の古書物は今までのものより薄い。ページを捲れば小さな文字が所狭しと並んでいる。
文字の並びを見るに古い東洋のものらしい。挿絵でデフォルメされた人間の裸体が躍っていた。
「薄いからって侮ってた。絵は裸ばかりで、色んな部分が隠されている。内容がわかるようでわかりたくない」
この薄い本が性典かただのエロ本かの区別がつかず、これ以上の解読が必要なのか判断に迷うものだった。
「全く変人っていうのはわけわかんないものばっかり残すからたちが悪いわ」
主は手袋をごみ箱に放り捨て大きなため息をついた。後に《ウ=ス異本》と名付けられる一連の東洋の古書物は、文献不足の魔術士ギルドのメンバーを大いに悩ませることになる。畳む
ありえない話ではなかった。岩が、駒が、鎧がそうであるように、イズミが手に入れた剣も『生きていた』。ただひとつだけ、他の生きている武器とは違っていたが。
黄金の騎士のトミミスが見守る中、イズミはバックパックに詰められたネフィアの宝物を次々とテーブルに並べていく。禍々しい魔法書、謎のポーション、得体の知れない食糧、何だかよくわからないオブジェクト。
「今回の目玉といったらこれかな?」
最後に取り出されたのは、襤褸切れに包まれた一振りの長剣だった。ネフィアに落ちている装備品には見向きもしないイズミの質をトミミスはよく知っている。珍しく武器を拾ってきたということは。
「生きている武器、ですか? 長剣の使い手はいないでしょうに」
襤褸切れに覆われていた刀身が露になる。磨かれたオブシディアンの、艶を帯びた黒をまといし剣にトミミスは目を奪われた。
「そのうち私が剣闘士を目指すかもしれないよ?そうでなくてもいずれ防衛者たちが使うことになるかもしれないからね。実用に向くかはこれから考えるとしましょう」
イズミはトロールの血を持ち出しゆらゆらと瓶を揺らしてみせ、「使えなくても、これはこれで面白い一品よ」と悪戯な笑みを浮かべてみせた。何をするかと思えば、トロールの血を刃に吸わせるべく、とくとくと垂らしたその瞬間、血は刃の表面に吸い込まれるように消え。
「アァァ……ァァ……」
男の声が。女の声が。掠れた声が。名状しがたき声が。歓喜の声が。悲痛な声が。一人の声が。多数の声が。あるいは刃が嬉しげに震えた音が声に聞こえただけなのかもしれない。生きている武器は、鳴いた。
「きゃっ!?」
その出所がこの長剣だと理解したトミミスが僅かに遅れて可愛らしい悲鳴を上げる。
「剣が、喋って……!」
「喋ったね」
トミミスの反応に満足してイズミはニヤリと笑い、黒をまといし剣を持ち上げてみせる。トミミスであれば苦労はしないだろうが、イズミにとってはこの長剣を片手で構えるには重すぎた。刃先は床を指し、錆びにも脂にも汚れていない黒く美しい敵意はキャンドルの揺れる明かりを小さく振り撒いた。
「モンスターの血を浴びてたからつい拾って来ちゃったのよ。喋る武器は私も初めて見たのだけど、これって珍しいのかしら? それとも新種だったり、実はモンスターだったり――」
イズミの言葉を遮るように、柄を握る手に血が滲む。まるで刃を握り込んだように――ぷつん、と――皮膚が裂け、柄から刃に伝う血が吸われきれずに床へと滴った。痛みに表情を固くしたが、それもすぐに解かれる。代わりにトミミスの気が張り詰めるのを感じてイズミは指を振った。
「…結構強い吸血。マゾでもない限り使えそうにないわ。前に持ち主がいたのかしらね、持て余して捨てられたのか、剣に囚われて倒れたか」
「生きている武器なら武器らしく、モンスターならモンスターらしく生きてもらいたいものですね。私がお持ちしましょうか?」
「平気。トミミス、あとは任せたよ」
刃が乾きを取り戻したのを確認してテーブルの襤褸で適当にくるむ。襤褸が少し血に汚れてしまったが、それくらい物々しい見た目なら、わが家の悪戯っ子たちも手を出そうとしないだろう。
「いい縁があるまで埃を被っててもらうとしましょう」
*おわり*畳む