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あなたのお題は「ふわふわしたギャルのパンティ」です!できれば作中に『贈り物』を使い、ノルンを登場させましょう。-http://shindanmaker.com/331820 #shindanmaker #ノルン
数時間前の事を思い出す。いや、数日前かもしれない。密航の竹箆返しを食らったのか、大嵐に見舞われ流れ着いたノースティリス。荷物は全て流され、装備品すら心許ない。それよりももっと重要視すべきことは、着ていた服が脱がされている……ということだ。なにも上着がめくれて流されただとか、靴がなくなっているだとかそんな些細なことではない。
「あれぇ、私の下着が無いぞおかしいなー?」
確認するようにわざとらしく口にした瞬間、緑髪のエレアの表情が引きつった。私のスカートの内側に、私の肌の外側に存在しているはずの下着。いわゆるパンティー。下腹部を覆う三角形のもの。体にしっかりフィットしているはずの布の、その行方について。
「すみませんが、私の下着を知りませんか?」
大きく息を呑んだ緑髪のエレアが視線を逸らす。この世界で生きる知恵を授けてくれたひねくれたお兄さんがまさか下着泥棒だとは思いたくないが、逸らされた視線を合わせて再度問いかける。
「すみません、私のパンツ」
「そう何度も言わずとも聞いている」
「だったら無視しないでくださいよ」
乙女の下着がなくなった大事件なんですからまず側にいる男性を疑うものでしょう。緑髪のエレアはやれやれとあからさまにお手上げのポーズをとった。
「物を無くすのは妖精の悪戯が原因だとよく言われている」
「そうなんですか? とんだ変態妖精もいるものですね」
と口にすると、彼と私の間に小さな緑色をした何かがすっと降りてきた。頭から花を咲かせた小さな緑髪の少年のような生き物だった。
「……黙って聞いてれば酷いなあ」
「誰ですかあなた」
「ボクはガイドのノルン。君の旅の手助けをするのがボクの役目なんだけど……早速手助けが必要みたいだね」
ガイドのノルンが何事かを小声で唱えると、私の目の前に白い三角形がどこからともなく湧いて出る。真ん中に小さなリボンのあしらわれたそれはまさにパンツだった。
「パンティーは強力な武器になるってよく知ってたね。ここにきてまずパンツを要求する冒険者は君がはじめてさ。これはボクからの贈り物。イルヴァの世界、シエラ・テールの時代にようこそ」
「ありがとうございまっす!」
ふかふかのギャルのパンティーだ。目の前の緑髪のエレアが身に着けているような硝子の鎧や生ものの靴のような妙な素材でできていない、布で作られているまともなギャルのパンティーだった。パンツがなくなったことや、たった今知り合った男からパンツを貰ったことなどどうでもいい。それを穿いたことでノーパンの痴女からようやく真人間になった心地がした。その余韻に浸っていると。緑髪のエレアが信じられないものを見たという顔をしているのに気付く。
「……本当に穿いてしまったのか?」畳む
数時間前の事を思い出す。いや、数日前かもしれない。密航の竹箆返しを食らったのか、大嵐に見舞われ流れ着いたノースティリス。荷物は全て流され、装備品すら心許ない。それよりももっと重要視すべきことは、着ていた服が脱がされている……ということだ。なにも上着がめくれて流されただとか、靴がなくなっているだとかそんな些細なことではない。
「あれぇ、私の下着が無いぞおかしいなー?」
確認するようにわざとらしく口にした瞬間、緑髪のエレアの表情が引きつった。私のスカートの内側に、私の肌の外側に存在しているはずの下着。いわゆるパンティー。下腹部を覆う三角形のもの。体にしっかりフィットしているはずの布の、その行方について。
「すみませんが、私の下着を知りませんか?」
大きく息を呑んだ緑髪のエレアが視線を逸らす。この世界で生きる知恵を授けてくれたひねくれたお兄さんがまさか下着泥棒だとは思いたくないが、逸らされた視線を合わせて再度問いかける。
「すみません、私のパンツ」
「そう何度も言わずとも聞いている」
「だったら無視しないでくださいよ」
乙女の下着がなくなった大事件なんですからまず側にいる男性を疑うものでしょう。緑髪のエレアはやれやれとあからさまにお手上げのポーズをとった。
「物を無くすのは妖精の悪戯が原因だとよく言われている」
「そうなんですか? とんだ変態妖精もいるものですね」
と口にすると、彼と私の間に小さな緑色をした何かがすっと降りてきた。頭から花を咲かせた小さな緑髪の少年のような生き物だった。
「……黙って聞いてれば酷いなあ」
「誰ですかあなた」
「ボクはガイドのノルン。君の旅の手助けをするのがボクの役目なんだけど……早速手助けが必要みたいだね」
ガイドのノルンが何事かを小声で唱えると、私の目の前に白い三角形がどこからともなく湧いて出る。真ん中に小さなリボンのあしらわれたそれはまさにパンツだった。
「パンティーは強力な武器になるってよく知ってたね。ここにきてまずパンツを要求する冒険者は君がはじめてさ。これはボクからの贈り物。イルヴァの世界、シエラ・テールの時代にようこそ」
「ありがとうございまっす!」
ふかふかのギャルのパンティーだ。目の前の緑髪のエレアが身に着けているような硝子の鎧や生ものの靴のような妙な素材でできていない、布で作られているまともなギャルのパンティーだった。パンツがなくなったことや、たった今知り合った男からパンツを貰ったことなどどうでもいい。それを穿いたことでノーパンの痴女からようやく真人間になった心地がした。その余韻に浸っていると。緑髪のエレアが信じられないものを見たという顔をしているのに気付く。
「……本当に穿いてしまったのか?」畳む
ロミアスに撃たれる話 #ロミアス
ネフィアのボス、『ミノタウロス』が壁を破壊する音は徐々に近付いていた。しかしそれがぱったりと止んで、嫌な静寂が辺りを包み込む。悪い予感はよく当たるもので、突然あなたの側の壁が大きく弾け飛んだ。
あなたの眼前で斧が振り上げられる。唸る得物の主はミノタウロス。
張り詰めた声で名前を叫ばれた。声の元は矢を番えるロミアス。
その瞬間、地面を蹴ってその場を離れろと思考は命じたが、足は竦んで動こうとしなかった。軽い混乱に陥ったあなたの思考に第二の命令が下される。防御せよ。上からの強力な一撃を受け止めれば盾ごと粉砕されるかもしれないが、しかし他に手はない。このまま頭を割られるのを黙って受け入れるわけもない。動かない足の代わりに腕を操った。
ミノタウロスの斧が振り下ろされた瞬間、予想していた衝撃は盾にではなく、盾を構えた左腕に走った。それも鋭く、一点を突くような。守りが崩されそのまま足元が覚束なく感じられるような浮遊感を覚えた。ある種の絶望にあなたは瞼を閉じる。――ロミアスは上手く逃げてくれれば良いのだが。
終わりの時は来なかった。斧の両断も、地面との衝突も無かった。目を開けたあなたはミノタウロスが斧で地面を深々と抉っているのを離れた場所から見ていた。何が起きたか理解できないまま、不安定だった体は倒れる前に何かに支えられている。
「まだ危機は脱していないというのに、何を呆けている?」
背中からかかる声と痛みに意識が引き戻された。自分の足で立ち、ロミアスを睨み付ける。二の腕に突き立っていたものを引き抜かれたのだとロミアスの手に握られた矢が語っていた。鏃の返しが肉を裂いて生温かな血が流れたのを淡々と頑丈なロープで止血を始めているのを、あなたは客観的な妙な心地で見ていた。
「もしこの矢が外れていたら、君はあの斧で死を遂げていたか、ミノタウロスが私の元に飛んできていたことだろう。どちらにしろ私の死は避けられなかっただろうな」
あなたの血が付着した鏃の調子を確かめ指で乱雑に拭い矢筒に放る。血の巡りの停滞か、感覚が麻痺しているのか、異形の森の弓からの毒が広がっているのか、然程痛みの酷くはない左腕は鉛のように重く感じた。
「死ぬよりはいいだろう? 利き腕ではないにせよ、その腕でまだ奴と戦いたいと言うのなら止めはしない。その場合私は手を出さずに隠れているとするが。ここで財宝を諦めるのなら、私は君が次元の扉を開くまでの時間稼ぎをする。それくらいの援護はしよう。運よく生きて帰れるかは運命の神次第というわけだ」
あなたはバックパックから脱出の巻物を取り出し頷く。ロミアスはそれを認めて魔法の詠唱を始める。周囲の大気がざわめきだした。あなたとロミアスに気付いたミノタウロスの咆哮を鈍足の魔法がかき消す。激昂する敵をロミアスはニヤリと笑い――あなたは次元の扉を開けた。畳む
ネフィアのボス、『ミノタウロス』が壁を破壊する音は徐々に近付いていた。しかしそれがぱったりと止んで、嫌な静寂が辺りを包み込む。悪い予感はよく当たるもので、突然あなたの側の壁が大きく弾け飛んだ。
あなたの眼前で斧が振り上げられる。唸る得物の主はミノタウロス。
張り詰めた声で名前を叫ばれた。声の元は矢を番えるロミアス。
その瞬間、地面を蹴ってその場を離れろと思考は命じたが、足は竦んで動こうとしなかった。軽い混乱に陥ったあなたの思考に第二の命令が下される。防御せよ。上からの強力な一撃を受け止めれば盾ごと粉砕されるかもしれないが、しかし他に手はない。このまま頭を割られるのを黙って受け入れるわけもない。動かない足の代わりに腕を操った。
ミノタウロスの斧が振り下ろされた瞬間、予想していた衝撃は盾にではなく、盾を構えた左腕に走った。それも鋭く、一点を突くような。守りが崩されそのまま足元が覚束なく感じられるような浮遊感を覚えた。ある種の絶望にあなたは瞼を閉じる。――ロミアスは上手く逃げてくれれば良いのだが。
終わりの時は来なかった。斧の両断も、地面との衝突も無かった。目を開けたあなたはミノタウロスが斧で地面を深々と抉っているのを離れた場所から見ていた。何が起きたか理解できないまま、不安定だった体は倒れる前に何かに支えられている。
「まだ危機は脱していないというのに、何を呆けている?」
背中からかかる声と痛みに意識が引き戻された。自分の足で立ち、ロミアスを睨み付ける。二の腕に突き立っていたものを引き抜かれたのだとロミアスの手に握られた矢が語っていた。鏃の返しが肉を裂いて生温かな血が流れたのを淡々と頑丈なロープで止血を始めているのを、あなたは客観的な妙な心地で見ていた。
「もしこの矢が外れていたら、君はあの斧で死を遂げていたか、ミノタウロスが私の元に飛んできていたことだろう。どちらにしろ私の死は避けられなかっただろうな」
あなたの血が付着した鏃の調子を確かめ指で乱雑に拭い矢筒に放る。血の巡りの停滞か、感覚が麻痺しているのか、異形の森の弓からの毒が広がっているのか、然程痛みの酷くはない左腕は鉛のように重く感じた。
「死ぬよりはいいだろう? 利き腕ではないにせよ、その腕でまだ奴と戦いたいと言うのなら止めはしない。その場合私は手を出さずに隠れているとするが。ここで財宝を諦めるのなら、私は君が次元の扉を開くまでの時間稼ぎをする。それくらいの援護はしよう。運よく生きて帰れるかは運命の神次第というわけだ」
あなたはバックパックから脱出の巻物を取り出し頷く。ロミアスはそれを認めて魔法の詠唱を始める。周囲の大気がざわめきだした。あなたとロミアスに気付いたミノタウロスの咆哮を鈍足の魔法がかき消す。激昂する敵をロミアスはニヤリと笑い――あなたは次元の扉を開けた。畳む
ロミアスをペットにした話 #ロミアス
ロミアスをペットにしてしばらく経った。ロミアスを傷つけ、何度も復活させ、手篭めにしたあなたをロミアスは恨んでいるだろう。しかしペットという制約上、ロミアスはあなたから離れる事はできない。ロミアスはわが家の中では紐を解かれ、自由にする事ができる。あなたはロミアスに今日の夕食を作る事を命じた。
「私はいつでも君を殺すことができるのだが、それでもいいのなら」
相変わらず反抗的である。
ロミアスはノースティリスに来たばかりで右も左もわからないあなたに乞食の死体を食べさせた事がある。今はもう、この世界を生き抜く事ができるあなたに妙なものを食べさせる事はできない。あなたはその料理が何なのか理解できるし、食べない選択もできる。
「私に何をさせたいのか全く理解できない。だが、これが主人となる君の命令だから渋々従ったまでだ」
作ったのは卵料理と、ヨウィンで採れた野菜のシンプルな料理だった。はなから料理の巧拙を期待してなどいない。あなたは上品なテーブルの上に並べられた料理に手を伸ばした。
「――おいおい、冗談だろう?」
些か緊張感を孕んだ、しかし聞き慣れた言葉と共にロミアスはテーブルクロスを思い切り引いた。クロスごと床に流れ落ちて叩きつけられる食器の音が響く。意図が分からず困惑するあなたの目の前の、何も無くなったテーブルの上にロミアスは薄っすらと色の付いた液体が入っている小瓶を置いた。
「毒薬ではいかないが、麻痺のポーションを少量混ぜておいた。あのまま食べていたら軽い痺れくらいは引き起こしていただろう。私は食事に薬を混ぜる考えに至る程度には君が嫌いだが、君は何故私を信じるんだ?」
これから背中を守ってもらうペットだからだと答えると、ロミアスは「君はもう少し人を疑え」とだけ言うと食器の破片を拾い集める。腰を浮かせたあなたを「これは私の仕事だ」とロミアスは留めるが、しかしあなたは席を立ち軽傷治癒のポーションを手渡した。料理の残骸と共に、鮮血が滴り落ちている。
「……ああ」
まるで気が付かなかったとでも言いたげに、ロミアスはポーションを受け取った。ロミアスがポーションを口にする間に、あなたはまだ原形の残っていた卵料理を口に運んだ。
「浅ましいことをせずとも、まだ料理は残っている」
拾い食いくらい、ロミアスと出会ったときに一度経験したのだからこれくらい平気だというのに。ロミアスの手料理は、優しい味がした。畳む
ロミアスをペットにしてしばらく経った。ロミアスを傷つけ、何度も復活させ、手篭めにしたあなたをロミアスは恨んでいるだろう。しかしペットという制約上、ロミアスはあなたから離れる事はできない。ロミアスはわが家の中では紐を解かれ、自由にする事ができる。あなたはロミアスに今日の夕食を作る事を命じた。
「私はいつでも君を殺すことができるのだが、それでもいいのなら」
相変わらず反抗的である。
ロミアスはノースティリスに来たばかりで右も左もわからないあなたに乞食の死体を食べさせた事がある。今はもう、この世界を生き抜く事ができるあなたに妙なものを食べさせる事はできない。あなたはその料理が何なのか理解できるし、食べない選択もできる。
「私に何をさせたいのか全く理解できない。だが、これが主人となる君の命令だから渋々従ったまでだ」
作ったのは卵料理と、ヨウィンで採れた野菜のシンプルな料理だった。はなから料理の巧拙を期待してなどいない。あなたは上品なテーブルの上に並べられた料理に手を伸ばした。
「――おいおい、冗談だろう?」
些か緊張感を孕んだ、しかし聞き慣れた言葉と共にロミアスはテーブルクロスを思い切り引いた。クロスごと床に流れ落ちて叩きつけられる食器の音が響く。意図が分からず困惑するあなたの目の前の、何も無くなったテーブルの上にロミアスは薄っすらと色の付いた液体が入っている小瓶を置いた。
「毒薬ではいかないが、麻痺のポーションを少量混ぜておいた。あのまま食べていたら軽い痺れくらいは引き起こしていただろう。私は食事に薬を混ぜる考えに至る程度には君が嫌いだが、君は何故私を信じるんだ?」
これから背中を守ってもらうペットだからだと答えると、ロミアスは「君はもう少し人を疑え」とだけ言うと食器の破片を拾い集める。腰を浮かせたあなたを「これは私の仕事だ」とロミアスは留めるが、しかしあなたは席を立ち軽傷治癒のポーションを手渡した。料理の残骸と共に、鮮血が滴り落ちている。
「……ああ」
まるで気が付かなかったとでも言いたげに、ロミアスはポーションを受け取った。ロミアスがポーションを口にする間に、あなたはまだ原形の残っていた卵料理を口に運んだ。
「浅ましいことをせずとも、まだ料理は残っている」
拾い食いくらい、ロミアスと出会ったときに一度経験したのだからこれくらい平気だというのに。ロミアスの手料理は、優しい味がした。畳む
あなたは《機械のマニ》の狂信者だ2 #マニ
あなたは地雷犬を従えアクリ・テオラを訪れた。
アクリ・テオラを廃墟にされた時から日に日に信仰を失いつつある機械の神は、あなたに反応することすら面倒だとでも思っているのか静かにそこで息をしていた。捧げられる彼の敬虔な信者の死体を全身に感じながら、続く痛みと虚無感に身を捩じらせもしていたが、今やそれすら億劫なほどに衰弱している。
顔を伏せたままのマニの顎を《ウィンチェスター・プレミアム》で掬い視線を合わせると、銀の髪の間から赤い目を覗かせてあなたを睨みつけてきた。少し手を出してみれば反抗の意思の片鱗を見せるマニにあなたは満足げに微笑み、祭壇の上で静かにマニを押さえ続ける電子機械に触れる。電子機械は光の中に消え、拘束が解かれたマニが息を詰めるのを感じた。
「お前に与えられるものは無い。ルルウィの元にでも行けばいいだろう」
長い間血の巡りが滞ったマニの冷たい手を取り、癒しの光を翳した。マニはされるがままにあなたの治療を受けている。結果は見えている抵抗に価値は無い。あなたを殺してもマニの行き着く先は定められているのだ。
何も与えられずとも得ることはできることを証明するかのようにあなたは銃をマニへ向けた。驚愕も安堵も浮かべずマニは銃に触れ、銃口を自身の心臓へと逸らせる。
「殺すなら、ここを狙え。だが……」
突きつけられた《ウィンチェスター・プレミアム》は引き金が引かれる前にマニの手の中で手品のように崩壊した。
「《ウィンチェスター・プレミアム》……随分と私の銃を気に入ってたようだが、それも今回で終わりだ」
あなたに歯が立たないのであれば、それ以外を狙えばいい。主の危機を察したのか横から飛び掛った地雷犬があなたとマニを引き離す。かつてのマニなら不意打ちでも撥ね返すことはできたが、この生物を支えられないほど弱い神と化している。マニは固い床に倒れ込みながら先ほどと同じように機械仕掛けの犬を分解しようとし、地雷犬は最期の足掻きに地雷を落とそうとしている。
あなたは地雷の圏内から離れ、背中で爆音を聞いた。そう強くは無い地雷といえど流石に軽傷ではいられないだろう。焼けた火薬と鉄と血の混ざる戦場と同じ臭いがする。爆風に晒されそれでもまだマニは生きていた。しかし無事に済む筈もなく、服の下に血に染まった生身の体が見えている。
「……やるじゃないか。今度はペットを利用するとは」
元よりグラビティ目当ての使い捨てのペットだ。あなたも重力操作の巻き添えにするこの機械に期待はしていなかった。衰弱したマニに対しては思いの他役立ってくれたようだが。それに加え、呪われた肉体・精神復活や下落など、喉の渇きをありとあらゆるポーションで癒され、逆に体は蝕まれていたことをマニは知っているだろうか。癒したばかりだった血塗れの腕で起き上がろうとするも、未だ続く重力がそれを阻んでいた。
「私がお前に向け、お前が私に向ける感情がどれだけ不要なものか。理解できないお前を理解することが無駄だということは理解できた」
あなたはマニに歩み寄り、床に這い蹲っているその頭を踏みつけ、重力のままに踏み躙った。頭は床に打ち付けられ銀の髪に新たな血が滲む。
「一時でもお前を信じた私が愚かだったよ」
マニは瞑目し踏み付けられた頭をゆるゆると振ろうとしていたがそれも儘ならない。何の変哲も無い鉄の拳銃に弾を込め、マニの示した心臓に銃弾を打ち込むとマニは緩やかに事切れた。
ただの死体には興味がない。口にしても腹を満たすだけの肉に、何の価値もない。マニの死体を祭壇に押し付け軽く祈りを捧げると眩い光と共に死体は消滅した。神が神の元に召される。まさか自分自身を捧げられることになるとは思ってもみなかっただろうが。修復できないようにガラクタにされた《ウィンチェスター・プレミアム》。そのパーツを拾い集め祭壇へ捧げる。重い足取りのあなたの側にダンジョンクリーナーが近寄り辺りを片付け始めるのを横目に、バックパックから願いの杖を取り出した。
――何を望む?畳む
あなたは地雷犬を従えアクリ・テオラを訪れた。
アクリ・テオラを廃墟にされた時から日に日に信仰を失いつつある機械の神は、あなたに反応することすら面倒だとでも思っているのか静かにそこで息をしていた。捧げられる彼の敬虔な信者の死体を全身に感じながら、続く痛みと虚無感に身を捩じらせもしていたが、今やそれすら億劫なほどに衰弱している。
顔を伏せたままのマニの顎を《ウィンチェスター・プレミアム》で掬い視線を合わせると、銀の髪の間から赤い目を覗かせてあなたを睨みつけてきた。少し手を出してみれば反抗の意思の片鱗を見せるマニにあなたは満足げに微笑み、祭壇の上で静かにマニを押さえ続ける電子機械に触れる。電子機械は光の中に消え、拘束が解かれたマニが息を詰めるのを感じた。
「お前に与えられるものは無い。ルルウィの元にでも行けばいいだろう」
長い間血の巡りが滞ったマニの冷たい手を取り、癒しの光を翳した。マニはされるがままにあなたの治療を受けている。結果は見えている抵抗に価値は無い。あなたを殺してもマニの行き着く先は定められているのだ。
何も与えられずとも得ることはできることを証明するかのようにあなたは銃をマニへ向けた。驚愕も安堵も浮かべずマニは銃に触れ、銃口を自身の心臓へと逸らせる。
「殺すなら、ここを狙え。だが……」
突きつけられた《ウィンチェスター・プレミアム》は引き金が引かれる前にマニの手の中で手品のように崩壊した。
「《ウィンチェスター・プレミアム》……随分と私の銃を気に入ってたようだが、それも今回で終わりだ」
あなたに歯が立たないのであれば、それ以外を狙えばいい。主の危機を察したのか横から飛び掛った地雷犬があなたとマニを引き離す。かつてのマニなら不意打ちでも撥ね返すことはできたが、この生物を支えられないほど弱い神と化している。マニは固い床に倒れ込みながら先ほどと同じように機械仕掛けの犬を分解しようとし、地雷犬は最期の足掻きに地雷を落とそうとしている。
あなたは地雷の圏内から離れ、背中で爆音を聞いた。そう強くは無い地雷といえど流石に軽傷ではいられないだろう。焼けた火薬と鉄と血の混ざる戦場と同じ臭いがする。爆風に晒されそれでもまだマニは生きていた。しかし無事に済む筈もなく、服の下に血に染まった生身の体が見えている。
「……やるじゃないか。今度はペットを利用するとは」
元よりグラビティ目当ての使い捨てのペットだ。あなたも重力操作の巻き添えにするこの機械に期待はしていなかった。衰弱したマニに対しては思いの他役立ってくれたようだが。それに加え、呪われた肉体・精神復活や下落など、喉の渇きをありとあらゆるポーションで癒され、逆に体は蝕まれていたことをマニは知っているだろうか。癒したばかりだった血塗れの腕で起き上がろうとするも、未だ続く重力がそれを阻んでいた。
「私がお前に向け、お前が私に向ける感情がどれだけ不要なものか。理解できないお前を理解することが無駄だということは理解できた」
あなたはマニに歩み寄り、床に這い蹲っているその頭を踏みつけ、重力のままに踏み躙った。頭は床に打ち付けられ銀の髪に新たな血が滲む。
「一時でもお前を信じた私が愚かだったよ」
マニは瞑目し踏み付けられた頭をゆるゆると振ろうとしていたがそれも儘ならない。何の変哲も無い鉄の拳銃に弾を込め、マニの示した心臓に銃弾を打ち込むとマニは緩やかに事切れた。
ただの死体には興味がない。口にしても腹を満たすだけの肉に、何の価値もない。マニの死体を祭壇に押し付け軽く祈りを捧げると眩い光と共に死体は消滅した。神が神の元に召される。まさか自分自身を捧げられることになるとは思ってもみなかっただろうが。修復できないようにガラクタにされた《ウィンチェスター・プレミアム》。そのパーツを拾い集め祭壇へ捧げる。重い足取りのあなたの側にダンジョンクリーナーが近寄り辺りを片付け始めるのを横目に、バックパックから願いの杖を取り出した。
――何を望む?畳む
ノースティリスの猫は、アンデッドの肉以外なら何でも食べる。普通の猫であれば命に関わるものでさえ食べてしまえるのは、遥か昔の猫の神の血を引いているからだと言われている。人々に愛されている生物の一つであり、貴族が何匹も飼うこともしばしば見かけられた。
特に貴族の中でシルバーキャットが愛されているのは、その毛色だけでなく、銀の猫と名付けられていることも理由のひとつだ。毒に反応するといわれ、貴族の食器に使用される銀。その生きた毒味役としての猫。貴族は…ミーアは、パーティーで感じた不穏な感覚に、猫をもって応じることにしたのだ。
「るんるん♪猫さぁん、ご飯ですよ」
猫は、愛されている。
「たーんとお食べ♪」
猫は、他の生物同様に毒を盛られれば死ぬ。
「……パーティーが終わったら、またミーアと一緒に遊ぶでありますぅ」
猫かぶりのミーアは、シルバーキャットが料理を食べ終えるのを待ち、その小さな頭をゆっくりと撫でた。畳む