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あなたのお題は「止まらない吟遊詩人」です!できれば作中に『猫』を使い、迷える魔術師『レントン』を登場させましょう。-http://shindanmaker.com/331820 #shindanmaker #レントン

 冬も過ぎたと思われたが未だ肌寒い風が頬を撫でる昼下がり。レントンの生きる理由の一つであるレイチェルの絵本は既の興味から失われていた。しかし死ぬ理由も見つからないまま仕方なくレントンは佇んでいた。魔法店があり、癒し手がいて、魔術士ギルドへの入り口があるこの場所は人の出入りが激しい。静まることのないこの場所はまるで濁流の中に身を潜めている心地だった。おまけに吟遊詩人が朝な夕なグランドピアノを演奏しては聴衆に石を投げられている。少なくともレントンが見ている間、吟遊詩人が最後まで演奏しきったことはない。
「うるさい!」
 またも這い上がった吟遊詩人が誰かの投石でミンチになった。
 何故この吟遊詩人はこうまでして演奏しているのだろう。吟遊詩人が演奏しているのは猫を踏みつけてしまうという子供でも弾けるような基礎的で冒涜的な曲だ。全く才能の片鱗を感じられない軽い音は場違いも甚だしく、なるほど聞いているだけで人を苛立たせるような演奏だった。三日に一度聴くその演奏は、この吟遊詩人を意識し始めた頃に比べてわずかではあるが上達の兆しは見えてきている。しかしたった三日に一度のわずかな間の一曲。いつになったらこの演奏は終わるのだろう。いつまで飽きずにこの吟遊詩人は演奏していくのだろう。そう思うと途端に苛立たしさが生まれた。もしこの吟遊詩人が最後まで演奏しきったその時は、「ブラボー」とでも言いながら石を投げてやろう。そうすればもう死んでもいいかな。レントンはどんよりと暗い顔をしたまま吟遊詩人の血痕を見やった。レントンは『猫ふんじゃった』の終わりを知らなかったのだ。畳む

二次創作,NPC,掌編

あなたのお題は「人間の天罰」です!できれば作中に『遺跡』を使い、ノルンを登場させましょう。-http://shindanmaker.com/331820 #shindanmaker #ノルン

 やっほ。久しぶり、元気にして……なさそうだ。その様子じゃエーテル抗体のポーションも満足に手に入ってないみたいだね。いったい今いくつ発症しているんだい? ……そんなに! 今更言っても遅いけど、三の倍数の月はエーテルの風が吹くから気をつけてって言った気がするんだけどな。そろそろヴィンデールクロークも手に入れた頃だと思ってたけど、うん? 持ってるけど羽が邪魔で装備できない? それはお気の毒に。エーテル抗体はネフィアの最深部の宝箱を開けたらたまに見つかるから、気力のあるうちに遺跡を荒らしてみたらいいよ。……へぇ、最後の抗体は病気の母娘に。それはいいことをしたね。それで病気は……そうか。君の判断が正しいのか間違っていたのかは僕にはわからないけれど、少なくともこれからはエーテル抗体を自分の為に使えるね。ああごめんごめん。冒険者も善人悪人人それぞれだから悪気はないんだ。……もうすぐ八月。君が初めてこの地に来た頃が懐かしいね。異国から冒険者がやってくる季節。ボクは彼らを案内する役目があるから――君にはそろそろ引退してもらおうと思ってね。畳む

二次創作,NPC,掌編

あなたのお題は「名の知れた貴族」です!できれば作中に『毒』を使い、猫かぶり『ミーア』を登場させましょう。-http://shindanmaker.com/331820 #shindanmaker #ミーア

 ノースティリスの猫は、アンデッドの肉以外なら何でも食べる。普通の猫であれば命に関わるものでさえ食べてしまえるのは、遥か昔の猫の神の血を引いているからだと言われている。人々に愛されている生物の一つであり、貴族が何匹も飼うこともしばしば見かけられた。
 特に貴族の中でシルバーキャットが愛されているのは、その毛色だけでなく、銀の猫と名付けられていることも理由のひとつだ。毒に反応するといわれ、貴族の食器に使用される銀。その生きた毒味役としての猫。貴族は…ミーアは、パーティーで感じた不穏な感覚に、猫をもって応じることにしたのだ。
「るんるん♪猫さぁん、ご飯ですよ」
 猫は、愛されている。
「たーんとお食べ♪」
 猫は、他の生物同様に毒を盛られれば死ぬ。
「……パーティーが終わったら、またミーアと一緒に遊ぶでありますぅ」
 猫かぶりのミーアは、シルバーキャットが料理を食べ終えるのを待ち、その小さな頭をゆっくりと撫でた。畳む

二次創作,NPC,掌編

あなたのお題は「ふわふわしたギャルのパンティ」です!できれば作中に『贈り物』を使い、ノルンを登場させましょう。-http://shindanmaker.com/331820 #shindanmaker #ノルン

 数時間前の事を思い出す。いや、数日前かもしれない。密航の竹箆返しを食らったのか、大嵐に見舞われ流れ着いたノースティリス。荷物は全て流され、装備品すら心許ない。それよりももっと重要視すべきことは、着ていた服が脱がされている……ということだ。なにも上着がめくれて流されただとか、靴がなくなっているだとかそんな些細なことではない。
「あれぇ、私の下着が無いぞおかしいなー?」
 確認するようにわざとらしく口にした瞬間、緑髪のエレアの表情が引きつった。私のスカートの内側に、私の肌の外側に存在しているはずの下着。いわゆるパンティー。下腹部を覆う三角形のもの。体にしっかりフィットしているはずの布の、その行方について。
「すみませんが、私の下着を知りませんか?」
 大きく息を呑んだ緑髪のエレアが視線を逸らす。この世界で生きる知恵を授けてくれたひねくれたお兄さんがまさか下着泥棒だとは思いたくないが、逸らされた視線を合わせて再度問いかける。
「すみません、私のパンツ」
「そう何度も言わずとも聞いている」
「だったら無視しないでくださいよ」
 乙女の下着がなくなった大事件なんですからまず側にいる男性を疑うものでしょう。緑髪のエレアはやれやれとあからさまにお手上げのポーズをとった。
「物を無くすのは妖精の悪戯が原因だとよく言われている」
「そうなんですか? とんだ変態妖精もいるものですね」
 と口にすると、彼と私の間に小さな緑色をした何かがすっと降りてきた。頭から花を咲かせた小さな緑髪の少年のような生き物だった。
「……黙って聞いてれば酷いなあ」
「誰ですかあなた」
「ボクはガイドのノルン。君の旅の手助けをするのがボクの役目なんだけど……早速手助けが必要みたいだね」
 ガイドのノルンが何事かを小声で唱えると、私の目の前に白い三角形がどこからともなく湧いて出る。真ん中に小さなリボンのあしらわれたそれはまさにパンツだった。
「パンティーは強力な武器になるってよく知ってたね。ここにきてまずパンツを要求する冒険者は君がはじめてさ。これはボクからの贈り物。イルヴァの世界、シエラ・テールの時代にようこそ」
「ありがとうございまっす!」
 ふかふかのギャルのパンティーだ。目の前の緑髪のエレアが身に着けているような硝子の鎧や生ものの靴のような妙な素材でできていない、布で作られているまともなギャルのパンティーだった。パンツがなくなったことや、たった今知り合った男からパンツを貰ったことなどどうでもいい。それを穿いたことでノーパンの痴女からようやく真人間になった心地がした。その余韻に浸っていると。緑髪のエレアが信じられないものを見たという顔をしているのに気付く。
「……本当に穿いてしまったのか?」畳む

二次創作,NPC,掌編

ロミアスに撃たれる話 #ロミアス

 ネフィアのボス、『ミノタウロス』が壁を破壊する音は徐々に近付いていた。しかしそれがぱったりと止んで、嫌な静寂が辺りを包み込む。悪い予感はよく当たるもので、突然あなたの側の壁が大きく弾け飛んだ。
 あなたの眼前で斧が振り上げられる。唸る得物の主はミノタウロス。
 張り詰めた声で名前を叫ばれた。声の元は矢を番えるロミアス。
 その瞬間、地面を蹴ってその場を離れろと思考は命じたが、足は竦んで動こうとしなかった。軽い混乱に陥ったあなたの思考に第二の命令が下される。防御せよ。上からの強力な一撃を受け止めれば盾ごと粉砕されるかもしれないが、しかし他に手はない。このまま頭を割られるのを黙って受け入れるわけもない。動かない足の代わりに腕を操った。
 ミノタウロスの斧が振り下ろされた瞬間、予想していた衝撃は盾にではなく、盾を構えた左腕に走った。それも鋭く、一点を突くような。守りが崩されそのまま足元が覚束なく感じられるような浮遊感を覚えた。ある種の絶望にあなたは瞼を閉じる。――ロミアスは上手く逃げてくれれば良いのだが。
 終わりの時は来なかった。斧の両断も、地面との衝突も無かった。目を開けたあなたはミノタウロスが斧で地面を深々と抉っているのを離れた場所から見ていた。何が起きたか理解できないまま、不安定だった体は倒れる前に何かに支えられている。
「まだ危機は脱していないというのに、何を呆けている?」
 背中からかかる声と痛みに意識が引き戻された。自分の足で立ち、ロミアスを睨み付ける。二の腕に突き立っていたものを引き抜かれたのだとロミアスの手に握られた矢が語っていた。鏃の返しが肉を裂いて生温かな血が流れたのを淡々と頑丈なロープで止血を始めているのを、あなたは客観的な妙な心地で見ていた。
「もしこの矢が外れていたら、君はあの斧で死を遂げていたか、ミノタウロスが私の元に飛んできていたことだろう。どちらにしろ私の死は避けられなかっただろうな」
 あなたの血が付着した鏃の調子を確かめ指で乱雑に拭い矢筒に放る。血の巡りの停滞か、感覚が麻痺しているのか、異形の森の弓からの毒が広がっているのか、然程痛みの酷くはない左腕は鉛のように重く感じた。
「死ぬよりはいいだろう? 利き腕ではないにせよ、その腕でまだ奴と戦いたいと言うのなら止めはしない。その場合私は手を出さずに隠れているとするが。ここで財宝を諦めるのなら、私は君が次元の扉を開くまでの時間稼ぎをする。それくらいの援護はしよう。運よく生きて帰れるかは運命の神次第というわけだ」
 あなたはバックパックから脱出の巻物を取り出し頷く。ロミアスはそれを認めて魔法の詠唱を始める。周囲の大気がざわめきだした。あなたとロミアスに気付いたミノタウロスの咆哮を鈍足の魔法がかき消す。激昂する敵をロミアスはニヤリと笑い――あなたは次元の扉を開けた。畳む

二次創作,NPC,掌編