No.138

記念日の話 #レイラ #deflayh_pc

「神の化身の誕生日ですか? 僕もあまり覚えていないのですが、人の言う誕生日と呼べるものとはちょっと違うかもしれません。生まれた日というよりは、同期と会った日とか、自分が防衛者であることを意識した日というか。どちらかといえば記念日ですね」
 私は自分の誕生日を知らない。羨ましく思うこともありましたが、生まれた時に生みの親から放されていた時点で、私の誕生は祝われてはいなかったのでしょう。そして今、生まれてきたことを祝う人は既に亡く。
「だから誕生日の代わりに、僕と出会った日を記念日にするんですか。でも本当にいいんですか」
 何をとは彼は言いませんでしたが、きっと私と同じあの赤い光景を見ていたのでしょう。
「それでもいいのなら、僕は祈り、祝います。共に罪を分かち合いたいと思います。レイラさんさえよければ、ですが」
 私はあの時なくしたものがたくさんありました。それを思い出す度に悼むのです。私はあの時一度死の淵に立ちました。それを生まれ変わったと呼ぶのです。それら全てを忘れないためなんです。記念日として、ある種の呪縛のように、切り離せないものにしたいのです。畳む

二次創作,冒険者,掌編