No.136

ロイターが囚われる話 #ロイター

 手首に走る赤い線から溢れた血は重力に従って床に滴り落ちる。両手は荒縄で縛られ、傷口を押さえることはできなかった。あまり時間を無駄にすれば血を失うだろう。生きる為に男の要求を飲むか、誇りを捨てずに死ぬか。しかしロイターを捕らえた男は耳元で囁いた。
 ――捕らえられたのはお前だけだと誰が言った?
 男はロイターの知る者の名前を一つずつ口にしロイターを煽る。虚言だと確かめる術もない。ロイターには初めから選択の余地など無かったのだ。
 天井の梁を通りロイターの腕へと繋がっている縄がぴんと張られ、無理矢理両腕が上げられる。傷口は心臓より上へ。これで流れる血は幾らか緩やかになるだろう。しかし状況は何も変わらない。男が下穿きを下げ長棒を取り出し、既に堕落しているそれをロイターの眼前に露にした。
 言葉にされずとも何が望みなのか理解できないほど馬鹿ではない。急かすように縄を引かれ血が腕を伝った。ならば言葉にせずとも何を望むか理解してもらう。ロイターは長棒を受け入れるべく口を開けた。畳む

二次創作,NPC,掌編