No.132

マニの元信者の話 #マニ

「やってくれたな。裏切り者め!」
 愛する信者の改宗に、マニは激昂した。忠実なるシモベ、信者の模範とまで言わせた信者は溜め込んだ弓を一心不乱に祭壇へ捧げていた。
「限りある短い生を私の元で消費していればいいものを、よりによって、あのルルウィに! これは私に対しての辱めか。お前に与えた私の全てを持ち去るのか!」
 その元信者は神の声を聞くエンチャントを外したのだろう、マニの声に耳を貸さない。
 祈りを捧げ、新たに下僕を賜ったルルウィ信者を見下ろしながら、クミロミがマニの肩を叩く。
「あの信者は、下僕を牧場で飼い殺しにするつもりだよ。僕の妖精の一匹は、あの女たらしに売られていったんだ……」
 その言葉の通り、ルルウィの下僕の黒天使は牧場へと送られた。元より、この信者は神を『信ずる者』『信じ仰ぐ者』ではなかったのだ。畳む

二次創作,NPC,掌編