あなたのお題は「眠る銃」です!できれば作中に『剣』を使い、無邪気な少女『グウェン』を登場させましょう。-http://shindanmaker.com/331820 #shindanmaker #グウェン続きを読む 無邪気な少女を殺すことは善人への第一歩とは、今やノースティリスの冒険者の間でもちきりの噂だった。野良少女や妹、乞食といったうら若き乙女たちが殺められ、時として少女を汚してから殺したり、殺してから汚す冒険者も現れた。各地をさ迷う少女たちに何をしようと法に問われぬ為、それを咎める者はなかった。 そんな折、農村ヨウィンの少女グウェンにも少女狩りの矛先が向けられた。錆び付いた鎧に物々しい兜、腰の剣は業物か。血の跡のような禍々しい模様が滲んだままのローブ。ヴェルニースの犬好きの少女や、ノイエルの不憫な少女など見境なく次々と手にかけてきた粗暴な冒険者がこのヨウィンに訪れたのである。 こんな田舎に訪れる冒険者は珍しく、閑古鳥のなく雑貨屋で品定めをする冒険者の一挙一動がグウェンの目にはとても新鮮に映っていた。冒険者の噂など露知らぬ好奇心旺盛な少女は冒険者の側に駆け寄った。「ついていってもいい?」 ただでさえ狭い村である。そこかしこにいる農夫や、滞在している軍人、彼らの目があるこの村でまさか凶行に及ぶ者などいるはずがない。警戒心を持ち合わせていないのも無理はない。無邪気さがそうさせている故に。 見知らぬ者にでも恐れを抱かず愛らしく話しかけてくるこの少女に冒険者は酷く興奮した。 モンスターを仕留め、返り血を浴びて微笑む少女。 突如として現れ人をお兄ちゃんと呼び慕う少女。 お金の見返りに衣服を脱ぎ始める少女。 そのどれでもない、これこそが無邪気な少女。冒険者は目の前の少女に確信を持った剣を突き立てた! 未発達の薄い体を易々と貫く刃に一瞬にして少女グウェンの表情は凍り付き、自身の胸から生える剣を見て何が起きたのか分からないといった様子で痛みを感じる間もなくミンチになった。 三日後、グウェンは自身の腐った死体と残骸を見て全てを悟る。無関心を決め込んでいるのか、元から興味は無かったのか、その側で平然と農作業を続ける農夫が異質なものに映った。 無邪気な少女は自衛を覚えた。 力と速さと相手の隙が必要な刃ではなく、引き金を引けば衝撃と共に相手を殺傷せしめる弾が発射される古めかしい小さな銃を選んだ。村に滞在している軍人のように遠くから狙って撃てばいい。その考えに至り、銃と共に眠るようになった瞬間から、少女は冒険者の狙う無邪気な少女ではなくなった。 無邪気な少女はもういない。ただそこには、それでもなお蹂躙される少女だけが存在していた。畳む 2024.8.28(Wed) 19:58:53 二次創作,NPC,掌編
無邪気な少女を殺すことは善人への第一歩とは、今やノースティリスの冒険者の間でもちきりの噂だった。野良少女や妹、乞食といったうら若き乙女たちが殺められ、時として少女を汚してから殺したり、殺してから汚す冒険者も現れた。各地をさ迷う少女たちに何をしようと法に問われぬ為、それを咎める者はなかった。
そんな折、農村ヨウィンの少女グウェンにも少女狩りの矛先が向けられた。錆び付いた鎧に物々しい兜、腰の剣は業物か。血の跡のような禍々しい模様が滲んだままのローブ。ヴェルニースの犬好きの少女や、ノイエルの不憫な少女など見境なく次々と手にかけてきた粗暴な冒険者がこのヨウィンに訪れたのである。
こんな田舎に訪れる冒険者は珍しく、閑古鳥のなく雑貨屋で品定めをする冒険者の一挙一動がグウェンの目にはとても新鮮に映っていた。冒険者の噂など露知らぬ好奇心旺盛な少女は冒険者の側に駆け寄った。
「ついていってもいい?」
ただでさえ狭い村である。そこかしこにいる農夫や、滞在している軍人、彼らの目があるこの村でまさか凶行に及ぶ者などいるはずがない。警戒心を持ち合わせていないのも無理はない。無邪気さがそうさせている故に。 見知らぬ者にでも恐れを抱かず愛らしく話しかけてくるこの少女に冒険者は酷く興奮した。
モンスターを仕留め、返り血を浴びて微笑む少女。
突如として現れ人をお兄ちゃんと呼び慕う少女。
お金の見返りに衣服を脱ぎ始める少女。
そのどれでもない、これこそが無邪気な少女。冒険者は目の前の少女に確信を持った剣を突き立てた! 未発達の薄い体を易々と貫く刃に一瞬にして少女グウェンの表情は凍り付き、自身の胸から生える剣を見て何が起きたのか分からないといった様子で痛みを感じる間もなくミンチになった。
三日後、グウェンは自身の腐った死体と残骸を見て全てを悟る。無関心を決め込んでいるのか、元から興味は無かったのか、その側で平然と農作業を続ける農夫が異質なものに映った。
無邪気な少女は自衛を覚えた。
力と速さと相手の隙が必要な刃ではなく、引き金を引けば衝撃と共に相手を殺傷せしめる弾が発射される古めかしい小さな銃を選んだ。村に滞在している軍人のように遠くから狙って撃てばいい。その考えに至り、銃と共に眠るようになった瞬間から、少女は冒険者の狙う無邪気な少女ではなくなった。
無邪気な少女はもういない。ただそこには、それでもなお蹂躙される少女だけが存在していた。畳む