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601-700
舐め合うだけの傷はいらない
夢魔は死んでしまった
無償の愛なれど無慈悲なもの
とけてゆく悲鳴
「約束だから」じゃなくて
影しか愛せない
やっぱり傷つきたくなかったのです
孤独な君に恋をしている
ありふれた僕を見ないで
触れるだけのキスはいらない

永遠を焼かれてしまった私みたいに
ヴェールは今も黒だった
では何を救済としていたか問おう
結ばれた糸の色を知っていますか
混ざりあえば濁るもの
復讐のための愛なのです
それが人生の墓場ですから
玻璃の海が割れる音
運命を繋ぎ直した赤い糸
どこにでも行けると信じていました

そして書は綴じられる
大喰らいの幕引き
一人で始めた戦い
歩みを止めた先にあるもの
雨音が言葉を繋ぐなら
遥かなる未来で
君を救い、君を巣喰う
優しき刃はふるえない
闇より白く
そして書は閉じられる

選択肢がなければよかった
確かめるには生贄になさい
長い映画のようなまどろみ
きみに朝が来るまでが夜
リセットと生まれ変わるまで
うつろう影に弓を引く
お前の海は赤いので
妄執を溶かしたミルク
噛み砕いたら与えよう
爪先だけが正義を示した

ずっと自分を信じられずに生きていました
砂の海でさらってください
つがいのはばたき
この羽に炎が灯るまで
悲しみは星々の蝶
唇は召喚の霜刃になれ
燃え尽きた灰色を確かめている
愛を囁く雨の下に
生命装置と管ひとつの飛翔
沼の底でモルフォはうたう

あの人の爪先
咲き初めしアンバーのすべて
硝子は霧雨となり溜息になる
凶器は三日月
退屈な渦のひかりと一緒に
血潮の流れる機械
ただひとすじに重なれば
燃えるように熱く
緩んだ螺子
屑鉄たちが笑う

あなたは刀で私は鞘で
理由をくれるなら人でいよう
不完全な人の器に押し込めて
尾を渡りもっと近くへ
もう友ではいられない
この傷を覚えてる
ここはあなたの死に場所じゃない
英雄と龍
神話は英雄の顔をしていない
私の愛した最後の光

届きそうな光を見つけたいよ
新月の夜に会いましょう
魔法少女は夢の底
だって星が死ぬのを望んでる
蜜蜂は殺人を犯した
シーラカンスはずっと見ていた
海月が覆い尽くすまえに
信仰に従いなさい
よこしまな永遠ばかり
四月の罪人は唱えていた

もしも忘れてしまったら
もしも君に会わなかったら
もしもこの手を離してしまったら
もしもこう言ってたら
もしも明日世界が終わるなら
もしも時間を戻せたら
もしも嘘をつき通せていたら
もしも涙を流せていたら
もしも君に会えていたら
もしも忘れずにいられたら

拝啓、お元気ですか
引き出しの中にしまっておいて
押し込めた感情が形になっていた
滲んだ文字だけが正解
言えない言葉を塗り潰している
暗号は燃え尽きる最後に
どこにも届かないのは知ってたよ
瓶詰めの恋を捨てに行く日
その気持ちを食べてしまいたかったんです
追伸、またいつか会いましょう