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501-600
君だけの何も言わない死者
永遠を待つ夜の歌
清らかな映画のような
口づけはいのちのために
溶けていくお伽話なのに
眠れない日はそっと撫でて
戻りたいよ、今更戻れないよ
とても安らぐ死の匂いがして
あなたを今すぐ抱きとめたい
愛を知らずに爪を立てた

約束は思いの屈折
氷の化石
さかさまの悪夢のそば
あの夏の流星群のよう
沈黙に恋して
流氷のはじまり
月光でさえも孤独な憂鬱
とけたカナリアの運命
夜の力に隠された春
レプリカが知っているだけ

春ノート
私が色づくとしたら
きっと明日もそう言うわ
雨女に傘を頂戴
ひとしずくは誰の為
ぼくらの魂は海の果てまで繋がっていた
抜け殻はいつかの夜明けまで
魅せたい私は二つの顔をしている
恋しくて望んでしまった孤独
飲み込んだら傷吐き出したら呪い

眼差しを奪い取ったら始まりの合図
空になり静かな朝のはずだった
やがてかなしき鳥籠あつめ
にぎやかな写真のそばでいつまでも囀っている
君だけの咎のあいだに
検閲されたハッピーエンド
明日からは非日常
言わないでおくのは僅かに残った呪いだけ
運命の人じゃなかった
笑顔より泣き顔が見たくなったせい

美食家の前口上
銀の器に満たされた赤
気まぐれな私の注文をどうぞ
一口目は血肉に還って
だけど何を満たしてくれる?
メニューに無いなら今ここで
重みは全てがきみのため
香草、鬱憤、二人の結晶
なぜこんなにも愛してしまったのでしょう
マーダー・ラスト・オーダー

ゆらめきを愛し続ける穏やかな時間
パラドックスの羊をどうぞ
明け方の愛を怖がるなんて
飼い猫は自分自身の文字を知る
黄昏ならもっと赤に
黒いナイフに花が欲しくて
寂しがりの両手
引き金をひく咆哮
嘆きの影を知らない魚
灯火より大切な闇

沸騰する血潮
君が君であるために正義の話をしよう
ある幼い少女の証言により
鈍い炎の情動
純粋無垢な免罪符
奪われるものが顎門であればこそ
賽は投げられ、枷は求められた
理性を噛み砕かれた獣
ただ許しなど必要とされない
最後の弾丸はあなたに

死よりも恐ろしいこと
それで終われる話なら
優しく殺して甘く愛でて
マリア様の金は誰のもの?
屑達の仲間入りでも構わない
憂鬱は黒に染まる
人を嫌う脇役の日
道化を殺し無限に続く魔術
死体に引きこまれそう
心臓を奪いに来たよ

君の瞳が光で淀んでしまう前に
血は絶えて音が残るのみ
両手で足りないというのなら
きれいに羽ばたいてみせて
美しきものと呼ばれたかつての残滓
自我崩壊
繋がりを欲して濁り続けてしまうのか
唯一無二の進化論
その炎は命を燃やすとも
ゆえに我らは孤独を好む

見えない明日の境界に抗うから
最後の光が溢れてしまった
悪夢ならまだ覚めないで
深夜三時のノクチルカ
夢を抱いて眠りたい
窓を叩く嵐の夜に
三本足の支配者
明け方には嘘
肺に月を注ぐ
羊と後悔